表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
砂漠の国の、引きこもり  作者: 猫の人
男と少女の2人ぼっち生活
43/695

「ここ、砂漠の真ん中ですよね? はは、俺、夢でも見てるのかな?」

 それは、新庄の作ったゴーレムが寿命でちょうどいなくなったタイミングである。

 砂漠の向こうから、商人の放った調査隊がやって来た。そして新庄が作ったオアシス外壁にたどり着いたのである。



「なんだこれは!?」

「壁だ……。こんな場所に、どうやって?」


 彼らは一様に、外壁に慄いたが、それでも仕事を投げ出すことはしなかった。


「ご主人様が、井戸を一晩で作るような男の身辺調査と言っていただろうが。

 井戸だけでなく、壁も作れる。それだけにすぎない。

 行くぞ」


 調査隊の隊長だけは冷静に、自ら前に出つつ、部下へと指示を出す。

 部下たちも落ち着いた様子の隊長の背を見て冷静さを取り戻し、指示に従う。

 高い壁を越えるために足場を作り、外壁の上へと登る。



「中は……オアシスだ!」

「すげえ、小さな森まである……」

「ここ、砂漠の真ん中ですよね? はは、俺、夢でも見てるのかな?」


 壁の上は、横幅が広く作られている。

 調査隊はその安定した足場から、壁の中を見渡すが、そこで再び驚愕することになる。


 新庄らが神から与えられたオアシス。そして拡張されつつある緑地。彼らのいる方からラクダの姿は見えなかったが、鳥が羽を休めているのは分かった。

 ここまで砂漠を歩いてきた彼らの目に、それはまるで楽園のような光景として映った。



「上手くやれば、あれを俺たちが手にいれることになるんだな。

 いっそ、ご主人様を裏切ってでも……」


 砂漠において、あまりにも尊い光景。

 それを見た調査隊隊長の目に、欲望の色が宿る。

 あの場所が欲しいと、自分だけのものにしたいと、そう考えてしまったのだ。


「いや、まずは敵戦力の把握からだ。馬鹿なことをして返り討ちに遭うわけにはいかん」





 彼らは無防備な壁の上からオアシスの調査を行う。

 壁から降りれば再び登るのに多大な労力が必要になるので、より確実に生き延び情報を持ち帰るため、安全策をとった。


「壁の中を見ても、家らしきものは数軒しかありません。うち2軒は人が住んでいるように見えますが、他は空き家のようです。

 そして住人ですが、外に出るのは2人しかいませんね。それ以外は断言できませんが、多く見積もっても10人もいないはずです」


 とったのだが、1日かけて行った調査により、直ぐに強行策へと切り替わる。

 たった10人。それぐらいなら、なんとでもなると思ってしまったのだ。



「お前たち、どうせここまで来たんだ。あのオアシスでゆっくり鋭気を養っていきたいと思わないか?」


 彼らの目的は調査であって、新庄やオアシスの確保ではない。

 だが、それでも欲に駆られた隊長の提案に異を唱える者はいなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ