「ほら。ゲームと違う仕様なら、そういった事もできると思うのです!」
新庄は町で大量に手に入れた骨を使い、オアシス周辺を緑化していく。
ヤシの木ばかりではなく、他の木も育てている。中にはバナナの木など、クラフトで苗を用意した物もある。
ただ、木の種類を色々と増やしたくとも、限界がある。
今度は骨ではなく土を作る植物の方が追い付かなくなった。骨粉を使った成長加速は毎回土を駄目にしてしまうのだ。
自然に育つ分には落ち葉などで土に栄養が補給されるので、そういった事態にはならない。
そこそこの大きさまで骨粉で育てたら、あとは時間をかけて育つのを待つことにした。
ある程度育っていれば、いきなり枯れるという事もないだろう。新庄は植物に詳しくないので、ただの素人判断であったが。
数や種類を優先したが、オアシス周辺の緑地は確実に増えている。
いきなりすべての木を伐採するという事は考えていない。
これで加倉井と2人で生活していく分には、木材が足りないという事は無くなりそうであった。
そうすると、新庄は次の目標として畑作に手を入れる事にする。
ゲームであれば、土にクワを入れて畑を耕し、種を蒔くだけだった。
近くに水場があれば畑は維持され、追肥なども基本はしない。やるとすれば骨粉による加速ぐらいだが、木を育てる過程で、現実でそれをするのは危険だと学んでいる。
「新庄さん、その骨粉を土に混ぜる事は可能です?」
「ん? やった事は無いな」
「じゃあ、やってみませんか? ほら。ゲームと違う仕様なら、そういった事もできると思うのです!」
普通に畑を耕す気だった新庄。
しかし加倉井に考えていなかった事を提案された新庄は、言われるままにクラフトをしてみる。
通常、土を作るときは砂と植物素材、水の3つだけだったが、そこに骨粉を足してみる。
「『豊かな土壌』……。いや、うん。アレンジレシピが増えているわけか」
そこで出来たのは、『豊かな土壌』という、新庄の知らない、ゲームには無かったブロック。
もともと、ゲームの時でも基本のレシピにアレンジはできたのだ。代表的なのが『キノコスープ』で、これに花系統の素材を足すと、ほんのわずかな時間だけだったがバフやデバフ効果などが付いた。
今回の場合、骨粉の分だけ植物の成長にボーナスが付くのだろうと推測される。
新庄は、ゲームの情報を持っていない加倉井の自由な発想に舌を巻いた。新庄の場合はゲーム知識が枠を作っていたようである。
上手くいったようなので、加倉井はドヤ顔をしていた。
できた物を検討した結果として、『豊かな土壌』に貝殻を混ぜたものが畑に使われる事となった。
新庄がテレビのバラエティー番組で、ホタテの貝殻を畑に使っている映像を思い出したからだ。
本来であれば貝殻を使った畑と使わない畑、それらを比べた方が良いのだが、畑の狭さから、実験的な事はできない。
使った方が効果がありそうだと、貝殻有りの土壌から試すと判断された。
育てるのは、乾燥や暑さに強い、この地方の沿岸部で育てられている小麦とトウモロコシ。『砂小麦』『デザートコーン』という穀物だ。
ビタミンが心配になるが、そこは今後の課題である。
なお、畑以外にもアレンジされた土は使われる事となった。
植物素材を多く使った場合は『腐葉土』が作れることが分かっている。
細かい説明が無いので、効果についてはよく分かっていない。新庄は腐葉土を木々の生えるエリアに撒き、広く浅く効果が出るように願う。
腐葉土もブロックとして出来るのだが、それを崩してばら撒く事も、現実には可能なのだ。
農業経験者ではない新庄である。何をするのも手探りでしかない。今後も苦労をするだろうが、2人で力を合わせて乗り越えていくはずだ。
新庄達の農業は、まだこれからだ!




