「新庄。あいつら、この町に来ていたみたいだ」
「新庄。あいつら、この町に来ていたみたいだ」
「おや、まぁ。勧めたときは反発していたんだけど、実利を取ったのかな?」
新庄たちはドラゴンの森の近く、数年前から連合が開拓を始めた町に来ていた。
ここは以前、新庄が手を貸したので、見た目だけ立派な壁に囲まれた、人類の最前線になる町である。
町の中身は人材が不足しているのでスカスカという、歪な場所でもあった。
移住者は募集しているものの、モンスターの脅威に晒されている町に住みたい者などほとんどおらず、奴隷で住人を賄っていたりする。
「似たような顔立ちだから、同郷と思われたみたいでな。港の連中に聞かれたよ。あいつらの知り合いなのかってね」
そんな人口が少ない町だから、住人はだいたい顔見知りである。
港の職員もオアシスから出ていった彼らの事を知っていて、興味本位で聞いてきたようだ。
なお、その職員は彼らの事は知っていても、事情までは把握していなかった。
「どうする?」
「俺は会わない方が良いだろう。そっちは顔を見せておくか?」
「いいや。こんな所で揉め事は起こしたくない。会うとしても余裕があるだろう、帰りにするさ」
新庄は出ていったアンチたちと顔を合わせれば、揉め事になると判断した。
そのため、今はまだ会うべきでないと結論を出す。話を振った九重も、同じ結論だ。
ギフト能力者が暴れればここから先の行動に支障が出るかもしれないので、安全策を選択した。
「他の連中に、この事は教えておくか?」
「そうだね、言うだけ言っておこう。揉め事にさえならないなら、会うのも自由で構わない。
こちらに飛び火さえしなければ自己責任でいいだろう」
「下手に隠したところで、他から伝わるかもしれないからな。事前に教えておく方が無難か」
あとは仲間に伝えるかどうかだが、新庄らは隠し事は無しで構わないと考える。
むしろ、これは隠しきれないのだから教えないと不味い。
情報を伏せた事がバレると、信頼が失われる。
隠さねばならない事情があれば分かってもらえるかもしれないが、今回の件は納得してもらえそうになかった。
これもただの安全策だ。二人は堅実に、リスクの小さい判断をしていた。
元アンチ新庄一派がここにいると聞いた仲間たちだが、彼らが最後に見せた醜態もあり、自分達から会いに行こうとする者はいなかった。
出ていった後は大人しくしていたのだが、そこは評価されず、ここに来たのも悪い見方をされる。
残念ながら新庄たちは操られていたアンチたちとすれ違い、ここでは接触できなかった。




