「思えば、魔王退治もこれでいいんだよな。魔王城なんて物があるなら、外から壊せばいいんだ」
書面上で機関車事件の後始末をつけた新庄は、残る実務をする前に、一度ドラゴンの森を襲撃することにした。
こういった手出しが出来るのも、相手に余裕があるからだ。
その余裕を削るため、そして手出しされた事への反撃として、森の奥の岩山にロケット砲を打ち込んでやろうと考えた。
当初はロケット砲の実戦初投入という事もあり、軽めの攻撃をして実践データを得る程度に留める予定だったが、その予定を変更して、もっと徹底的にやってしまう事にした。
そのためにロケット弾に使う素材の追加生産を行い、今回だけで100発以上撃てるだけの材料を揃える。
素材だけで完成までさせないのは、細かい調整を現地で行うからだ。作るのは大した手間ではないのである。
「ロケット砲100連発。ラスト、合体して巨大ロケット砲にはならないが、環境破壊級の一発だから許してくれよ」
新庄は飛空艇でドラゴンの森までやって来た。
転移者たちにこの飛空艇は秘密なので、出かける目的は教えずに抜け出してきた。
しばらく留守にすることは伝えているので、問題はない。
森に近付くと、空を飛べるドラゴンが迎撃にやって来た。
まだ大砲への対策が取られていなかったようで、空を飛ぶドラゴンに、大砲は有効なようだ。
それらは地上に降りてから大砲で叩き落とし、今回の収穫物となった。強力な火砲の前では、無対策な敵など、ただの獲物にすぎなかったのである。
そうやってドラゴンを入手した新庄は、大砲の対空陣地をロケット砲の陣地に変更した。
狙いを岩山に向け、10kmは離れた所から砲撃を開始する。
「狙いよりやや下に当たったか。
仰角高めにすればいいのか?」
撃つたびに調整を行い、岩山を瓦礫の山へと変えていく。
「思えば、魔王退治もこれでいいんだよな。魔王城なんて物があるなら、外から壊せばいいんだ」
ドラゴン側からの反撃は無い。
それをいいことに、新庄は予定通り、ロケット砲を撃ち込んでいく。
「いや、セイクリッドな核弾頭で魔王領を焼け野原にした勇者もいたような気が」
そして、環境破壊用の弾頭まで撃ち込んだ。
「そう考えると、勇者も中々鬼畜だな。どっちが魔王か分からなくなる」
その影響は直ぐに出ないが、しばらくすれば結果が出るだろう。
「ま、他人の事は言えないけど」
そうして、一方的にドラゴンを攻撃し終えた新庄は去っていった。




