「まずはこれかな。 ……さすがに、この程度では死なないよね?」
新庄の旅は順調だった。
船に揺られ何事もなく。むしろ天候に恵まれた事で予定より早く移動できた。
ドラゴン退治のために造っている町の建設予定地では外壁を造り、道路を敷き、水場やいくつかの簡単な建物を並べていった。
これはただの気紛れだ。
町を作るという話そのものは新庄が糸嶺、殺された転移者仲間に語ったものだったので、故人となった糸嶺への手向けとして手を貸したに過ぎない。
そうやって寄り道をしつつ、ドラゴンが棲むという森まで辿り着いた。
最後は船も何も出ていないので、自前の船での移動だった。
ここまで、およそ二ヶ月の旅路である。
「さて。生きてドラゴンに会える幸運と、ドラゴンと会話が成り立つ奇跡が起きないといけないわけだけど」
新庄がここまで来たのは、ドラゴンと話をしたかった、神の情報を得たかったからだ。
ドラゴンと 戦うわけではない。
「さて、どうしようか?」
ドラゴンを見つける事は簡単だった。
むしろ、森の主人であるドラゴンが侵入者に気が付いた。
空を見上げれば、十を数えるドラゴンを見る事ができた。
こちらを殺そうとしているドラゴンを相手に、どこまで手加減し、会話を成立させるのか?
「殺せないっていうのはキツイよねー。
実力に差がないとできないって言うし」
殺すだけなら簡単だ。
何も無い状態の新庄は弱いが、準備万端の新庄は転移者の中でもかなり強い。
ドラゴン複数を相手にしても殺し切るだけなら余裕であった。
ただ、生け捕りとなると勝手が違い、手間がかかる。
“強い”以上のものが求められる。
「だから色々と用意してきたんだけど、ね」
普通に戦う相手との戦闘経験なら、ドラゴンたちも十分に重ねてきただろう。
しかし新庄は生産職のギフト能力を持つ人間で、彼らの経験を軽く上回る行動をする。
「まずはこれかな。
……さすがに、この程度では死なないよね?」
新庄は一瞬で陣地を展開。
同時、百の大砲がドラゴンを狙い、火を吹いた。




