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砂漠の国の、引きこもり  作者: 猫の人
閑話⑤ アマゾネス
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「逃げ道、作るように言っとくわ」

 ドラゴンの群れに襲われると知った彼女たちの動きは迅速だ。

 戦力的に厳しいと判断して、すぐに逃げる事を選んだ。


 隠れ里は、人から隠れる目的で作られた村だ。モンスターから隠れるためではない。

 また、農業も行っていたので、村は空から見れば簡単に発見できる。

 敵襲、つまりモンスターの襲撃に警戒するのは当然だった。



「シェルターはこっちよ! 急いで!」

「リーダーは点呼をして! 全員揃ってない班はある?」

「避難訓練でやったでしょ、ちゃんと並んで!」


 空からの襲撃に警戒するため、逃げる先は地下になる。

 こんな時の為に掘られていた地下施設へと村の全員が避難する。


「怪我人はいない? 全員揃ってる? 具合の悪そうな人がいたら教えてね」

「ドラゴンがここを通りすぎるまでの我慢だからね」

「ほら、お姉ちゃんの所においで」


 村には子供もいる。

 村の中核である転移者の女性たちは、不安そうな人たちに声をかけ、「きっと大丈夫」と優しく励ます。


 地下施設は籠城を想定しており、普段から食料の備蓄が置かれているので、しばらくは飢えずにすむ。水は魔法でどうにかできるし、数日程度であれば、籠っていられる。

 ドラゴンがこの近くに残っているかどうかに関しては、索敵が専門の、それだけに特化したギフト能力者がいたので、目視確認できなくても問題なかった。



「ドラゴン、村の中にいます。休憩中? 暴れたりする動きは無いです」

「参ったわね。長居するかもしれないの?」

「可能性は、ちょっとあります。

 そもそも、ドラゴンがなんでここに来たのかも分からないですけど」


 転移者のまとめ役の女性は、索敵担当の少女に地上の様子を聞いていた。


 ドラゴンは全部で30はいるらしく、奇襲できれば絶対に勝てないとは言い切れないが、それでも確実に死者が出る規模だった。

 下手な博打は打てず、無策で攻勢に出るのは論外だ。正面からぶつかれば、彼女たちは全滅しかねない。



「運が無かったわね。こんな面倒事が回ってくるなんて。

 他の村にでも行ってくれればいいのに。なんで私たちの村なのよ」

「ギフト能力を感知されたのかもしれないですね。私たちがモンスターを見分けるのと同じで」

「ここが見付かってないなら、それも無いと思うけど。

 ――どっちだと思う?」

「バレてないと、思いたい、です」


 ドラゴンは、村にやって来た。

 それが何かの目的で移動している最中で、たまたまここで休憩しているだけなのか?

 それとも、ギフト能力者を狩るためにここにやって来て、持久戦を仕掛けてきたのか?

 その目的によって、とるべき選択肢は変わる。



「逃げ道、作るように言っとくわ」

「ですよねー」


 当面は様子見。

 彼女たちはその間に出来る事をやるため、行動を開始した。

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