表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
砂漠の国の、引きこもり  作者: 猫の人
男と少女の2人ぼっち生活
17/695

「魚の骨も無限じゃないからな……」

 新庄は木材が自由に使えない状況に危機感を抱いていた。

 松明をはじめ、かまどの燃料など消耗していくので、木材の補充はかなり大きな問題だったのだ。


 ゲームのように、木が数日で育つことはない。普通ならば、何年もかけて育つものだ。

 そして枝を払えば苗木が落ちてくる等という都合のいい話もない。木材の入手は簡単ではない。


 ただ、新庄にはギフトがあり、そのうちのいくつかはこの状況を打破する力があった。



「水と、砂、苔を合成。うん、苔でも土を作れるな」


 緑化計画ということで、新庄は土を作った。

 土は砂に色々と混ざった状態のものだ。クラフトで製作も可能である。


「魚の骨で骨粉は作れるけど……」


 ゲームにおける「骨粉」は、植物を成長させるアイテムであった。主にスケルトン系のモンスターから入手するのだが、魚からも手に入る。なぜか動物からは手に入らなかった。


 新庄は魚の骨を集め、そこから骨粉を製作。

 骨粉から「白の染料」が作れることも確認してから、次の確認をする。


「上手くいきますように」


 新庄は自分にギフトを与えた神様らしき存在に祈りを捧げると、骨粉を切り株にふりかけた。切り株と言ってもまた生きているので、成長する可能性は残っている。ほんの僅かな可能性に期待していた。



 骨粉の効果は劇的だった。

 ヤシの木の切り株、その根本から新しい芽が出て、そのまま一気に成長したのである。

 あっという間に1mぐらいまで大きくなり、新庄の腹に届くサイズとなった。追加で骨粉をふりかけるが、そこからは成長しない。


 元の木は5mはあった事から考えると、骨粉が成長させられるのは、ここまでということ。

 新庄は残念そうに視線を落とすが、そこで地面の様子が目に入る。

 新庄が用意した土が、砂地になっていた。


「土の水分と栄養が急成長の対価ってことか」


 植物は光合成だけで大きくなるわけではない。他にも色々と必要なのだ。骨粉による成長加速をしようにも、土が無ければ不可能だった。



 その後、土を入れ換え骨粉を使えば、ヤシの木はそこからも大きくできることが分かった。

 元の木よりも大きくなることはなかったが、これは大きな成果である。


 ただし。


「魚の骨も無限じゃないからな……」


 必要とされる素材が木から骨に変わっただけとも言う。

 骨の安定した入手方法は、まだ無い。

 新庄の苦悩は続くのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ