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砂漠の国の、引きこもり  作者: 猫の人
男と少女の2人ぼっち生活
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「敵が弱い、かね?」

 新庄が初めて見るモンスター。

 それは、大きくて白い蠍だった。大型犬とほぼ同じ大きさである。


 その姿は確かに地球では見ないものだったが、それだけでモンスターと判断したのではない。

 新庄ら、異世界転移者には、近くにいるモンスターの存在が何となく分かるように知覚能力を付与されていたのだ。この能力により、敵の位置と強さが何となく分かるのである。



 新庄はその知覚能力により、モンスターに対し嫌悪感を感じていた。

 そして敵が弱いこともわかっていたので、冷静に対処する。


「≪サンドカッター≫。

 うわ、本当に弱い」


 モンスターに感じる嫌悪感の強さは、そのままモンスターの強さである。大した脅威ではない。新庄はそう思って弱い魔法で攻撃してみた。

 魔導書から砂でできたビームのようなものが出て、白い蠍を貫く。あっさりと蠍は死んだ。

 そのあっけない幕切れに、新庄はなんとも言えない気持ちになった。



 ≪サンドカッター≫の魔法は、ゲームでは不人気魔法の1つである。

 触媒として砂を消費するし、威力が低いのがその理由である。砂は簡単に手に入るが、ガラスになるし建築で大量消費する素材。弱い攻撃魔法で消費するのはコスパが悪い。一撃で敵を倒すこともできず、敵を倒すまでに何度も使うはめになるのならもっと強い魔法の方がいい。そう思われている。

 悪い意味で同系統の≪ウォーターカッター≫よりはマシだが、ゲームでは序盤の、さらに最初の方しか使われない魔法であった。



 敵が弱すぎたのか、それとも魔法の威力が上がっているのか。

 その判断ができなかった新庄は、近くの石を相手に≪サンドカッター≫の試し撃ちをしてみる。


「敵が弱い、かね?」


 動かないように固定した石は、≪サンドカッター≫で、確かに削られた。

 しかし削るまでにそこそこの時間がかかったし、魔法の触媒となった砂が山となって積もるなど、「強い魔法」といった雰囲気ではない。新庄としては、判断に困る結果である。


 とりあえず、≪サンドカッター≫は弱い。敵も弱かっただけ。まだまだ油断はできない。

 新庄は思考の安全マージンを取るため、そのように結論付ける。



 そして、倒したモンスターから素材を回収すると、意外と柔らかい甲殻に「防御力が低そう」という感想を持つのだった。

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