表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

隔てるもの

作者: emi

彼が此処にいないなんて嘘だよ




目を閉じれば


必ずそこにいてくれる彼に


必死で手を伸ばしたことは


これまでに何度あっただろう




瞼の向こう側にいる彼が


消えてしまわないようにと


ギュッと目を閉じたことは


これまでに何度あっただろう




次に目を開いた瞬間に


彼がすぐ側にいますようにと願いながら




ゆっくりと




ゆっくりと




目を開いたことは


これまでに何度あっただろう




何度同じことを繰り返してみても


私の視界に入るのは


彼と一緒に住んだことのないこの部屋の景色と


彼がいないこの世界




落胆しながら


彼の遺影の前へと座り


じっと彼の顔を見つめてみる




私は何度


こんな時間を過ごして来たのだろう




彼の遺影を見つめてみても


彼が此処にいないなんて


やっぱり


信じられなくて


私は何度


遺影の向こう側を見ようとしてきただろう




彼が此処にいないなんて嘘だよ


何度もそう呟きながら




ねぇ


死ぬってなんだろう




私の疑問に


いつも通りの微笑みを返す彼だけが


あの夏の続きを知らないだなんてさ




きっと嘘だよ




私は


彼の最期を看取ったにも関わらず


彼の死と向き合ってなどいないのだろうか




彼と私を隔てるもの




死とはなんだろう




私はこの先もずっと


この気持ちと共に生きていくのだろう



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ