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Cafe Shelly

Cafe Shelly 俺についてこい!

作者: 日向ひなた

「アキラ先輩、これってどうすればいいんですか?」

「明美、いい加減覚えろよなー。これ、前にも説明したろ。こいつはこうやって…って、どれ貸してみろ!」

 ったく、使えねぇ後輩だなぁ。そう思いながらもパソコンのキーを叩く。

 俺の仕事はプログラマー。といっても、我が社はプログラム開発の会社ではない。工場で扱う部品をさばいている商社である。迅速に、工場の現場に注文された商品を届けることをモットーにしている。その会社で俺の仕事は、社内で扱うシステムを開発したり、保守を行うというもの。

 こういった仕事は外部にお願いする会社もあるようだが、我が社ではこの技術部隊を抱えている。俺はそこのリーダー的存在。課長は別にいるのだが、プログラミングの仕事は全く行なっていない。人と仕事の管理だけに徹し、実質のプログラマーは俺を含めて十名ほど。そして昨年、この使えねぇ後輩である明美が新人として入社してきた。

 新人と言いながらも、三年間はソフトウェアを開発していた会社に勤務しており、中途採用で我が社に入ってきた。この時は即戦力になると思っていたのだが、分野が違うと応用も難しいみたいで。一年以上経つのに、まだ一人前になれていない。

 俺もこの業界に入って十年経つ。中学生の頃からオタクで、自作のソフトウェアなんてのは色々と手がけてきた。そのおかげで、この会社に専門学校卒の新入社員として入ってから、即戦力としてやっていくことができた。だから、俺よりも年上であっても、俺より使えない人はいる。

 だからこそ、役職こそ主任という立場ではあるが、行動部隊のリーダーとなっている。けれど、この明美の使えなさにはとにかく困っている。誰かに指導を任せたいところなんだが、それすらできる人がいない。みんな自分の仕事にアップアップである。

 当の明美は、俺の指導に対して愚痴をこぼすわけでもなく、とにかく必死になって食らいついてくる。その根性は認めてやる。まぁ、外見だけ見ればとても可愛い女性ではあるのだが。

 性格も悪くはない。このチームで最年少だからなのか、みんなにお茶を淹れてくれたり、掃除なんかも積極的にやってくれる。雑用係としてなら文句はないのだが。

「アキラくん、ちょっと」

 この日、課長に会議室へ呼ばれた。ったく、クソ忙しいのに。

「明美、これやっとけよ」

「はいっ」

 明美を指導中だったので、やる事を伝えて場所を移動。にしても課長、何の話なんだろう?

「アキラくん、君の働きはとてもありがたい。私はそう思っている」

 席に着くなり、課長は真面目な顔でそう言い始めた。褒め言葉にしては顔がやたらと渋い。こいつはまだ続きがあるな。

「この会社の中でも、君のスキルは高く評価している。けれど…」

 ほらきた。けれど、と言われたら次にくるのは悪いことに決まっている。

「アキラくん、君がやっているのはパワハラじゃないのかね。明美くんに対して厳しすぎるという声をよく耳にするんだが」

 きたっ、パワハラという言葉。この言葉はとても便利な言葉だ。ちょっと厳しくすると、今の若い連中はすぐにパワハラだと叫び始める。俺から言わせれば、その言葉自身が俺のように上に立つ人間に対してのパワハラだと思うのだが。

「課長、パワハラだって明美が言っているんですか?」

「いや、そうではない。他のメンバーがそう感じているし、私もそう思っているところがある。アキラくんはどうして明美くんに対してそんなに厳しいのかね?」

「厳しいも何も、あいつは使えませんよ。即戦力だと言われて配属されましたけど、なかなか覚えてくれないんです。いっつも俺に頼ってばかりで、仕事をフルに任せることができないんですよ」

「そうは思えないんだけどね。明美くん、いつも一生懸命じゃないか。気が利くところもあるし、私としては何の不満も感じないのだけどね」

 あー、課長は明美のそういう態度に騙されてるわ。確かにあいつ、外面はいいんだよな。でも、実際のところ技術面ではそうじゃないんだけど。

「アキラくん、君の教え方がわるいんじゃないのかね?」

「教え方が悪いって、そんなことないでしょ。俺は今まで何人も面倒をみてきたんですよ。そいつらはすぐに理解して、今じゃしっかりと仕事をこなしてくれているじゃないですか」

 俺の教え方が悪いなんて、課長は何を言っているんだよ。俺の実績をきちんと見てねぇじゃねぇかよ。だが、課長は渋い顔のまま。

「この際だからハッキリ言っておこう。アキラくん、周りからはね、君の教え方はイマイチよくわからないという声が上がっているんだよ。難解な言葉が多いし、理屈が先に立ちすぎて理解しにくい、そう聞いているよ」

「理屈って、このロジックの世界は理屈が大切でしょう。そこを理解できない連中は頭が悪いんですよっ!」

 ちょっとムキになってしまった。けれど、これに理屈が大切というのは間違っていないと自信を持って言うことができる。

「わかったわかった。そこでだ、ここからが本題なんだが。このセミナーを受講しに行かないか」

 そうやって課長が出してきたのが一枚のチラシ。商工会議所が主催するセミナーで、タイトルが「これからの時代の部下の教育方法」というもの。

「アキラくんのような社員が対象でね。我が社として他の部署からも中堅社員をこのセミナーに参加してもらうことにしたんだ。確か同期の飯塚くんも参加すると聞いているよ」

 飯塚が参加だと。それを聞いたら俺も参加しないわけにはいかない。飯塚とはライバルの関係にある。同期入社でこの会社で唯一生き残ったヤツ。生き残った、というのは出世街道に対してのこと。飯塚はこの会社の本職である工場で使う部品をメーカーから調達する役割を担っている。いかにして仕入額を安くし、短納期で納めてもらうのか。この仕事を請け負う営業マンだ。

 あいつには負けたくない。

「わかりました。受講させていただきます」

 とにかく俺は誰にも負けたくない。同期入社の中でも、俺がトップ、俺がリーダーになってやるんだ。その気持ちは誰よりも強い。

「では手配をしておくから。よろしく頼むよ」

 あらためてチラシを眺める。講師は羽賀純一。誰だ、こいつ?

 チラシの経歴を読む。プロコーチ、か。コーチングっていうのがあるのは知っていたが内容はよくわからない。へぇ、こいつ、四星商事で営業マンやってたんだ。四星商事といえば日本を代表する一流商事会社だぞ。ふん、こんなエリートの講師に、俺たちのような泥臭い会社のことなんてわかるのかな?

 そうしてセミナーの当日、俺は自分の仕事を他のメンバーに任せつつも遠隔管理できるようにしておいた。万が一の時には俺のスマホからパソコンの操作ができるような仕組みだ。特に明美は不安だからなぁ。そういや、明美が入社してから俺が会社にいないというのは初めてじゃないかな?

 あいつ、「ここがわからないんですけど」なんて他のメンバーに迷惑かけてねーだろうなぁ。

「みなさん、おはようございます!」

 セミナー開始。受講生は二十名ほど。その中に俺のライバルである飯塚もいる。他の連中も俺と同じくらいの年齢か。どいつもこいつも、目がギラギラしてやがる。

「まずは自己紹介させていただきます。私、羽賀純一と言います」

 そう言いながらホワイトボードに自分の名前を書く。この羽賀さんって講師、思ったよりも気さくな感じだな。もっとエリートぶったやつかと思ってた。

 そこからは面白いように講義に入っていくことができた。講師が一方的に説明するのではなく、ディスカッションやゲームのようなワークなどを通して、人に物事を教えるコツを学んでいける。気がついたら終了時間となっていた。

「それでは最後に、今回学んだことで自分が実践することを三つ書き出しましょう」

 最後に手元にきたシートに、三つのことを書き出す。俺が書いたのはこれ。

・適切なフィードバックを与える

・質問を使って相手に考えさせる

・PDCAサイクルをしっかり行わせる

 他にも活用したいことはある。もちろん、この三つだけでなく、学んだことは全て使ってみたい。

「最後に、実行してみてどうしてもうまくいかない、こんな時にはどうしたらいいのか、といったことがあればボクに遠慮なく相談してください。ボクの連絡先は最初に皆さんにお渡ししたプロフィールシートに記載されています」

 そう言われて改めて最初に配られたプロフィールシートを見る。そこには電話番号とメールアドレスが記載されている。こうやってきちんとアフターフォローもしてくれるなんて、ありがたいな。

 こうしてセミナーは終了。明日から俺の指導方法も変えていかなきゃいけないな。

 でも、あの使えない明美に対して、具体的にどうすればいいんだ?そうだ、このことを早速羽賀先生に聞いてみよう。

「あの、すいません」

 片付けをしている最中ではあったが、講師の羽賀先生に声をかけてみた。

「はい、なんでしょうか?」

「私、こういうものです」

 まずは名刺交換。そして早速本題に入る。

「実は、ウチに使えない新人がいるんです。新人といっても中途採用で入ってきたヤツで、指導を始めて一年以上経つんですけど、まだまだ仕事を覚えなくて困っているんです」

「中途採用で一年以上経つのに、まだ仕事を覚えない方がいるんですね。それはお困りでしょう」

「そうなんですよ。でも、周りの連中は彼女は自分が言うほどじゃないって思っているみたいで。まぁ確かに雑用的なところは自主的に動いてくれるので重宝してはいるんですけど。でも、肝心の実務の方はちょっとって感じなんですよ。そういったヤツに対して、具体的に今回教えてもらった指導方法って役に立つんですかね?」

 すると羽賀先生、腕組みをして少し考え始めた。そしてパッと顔を上げて、こんな提案をしてきた。

「もう少し詳しくお話を聞きたいですね。これからだとギリギリかな…この後ご予定は?」

「えっ、予定ですか?まぁ、時間はありますけど」

「じゃぁ場所を変えて、もう少し詳しい話をお聞かせください。街の方に行きたいのですが」

「えぇ、いいですよ」

 そういうと羽賀先生、急いで帰り支度をして俺と一緒にタクシーに乗り込んだ。

「今から行くのは、ボクの行きつけの喫茶店なんです。ここでお話を伺いましよう」

「はぁ…」

 どうしてわざわざその喫茶店にタクシーまで使って移動しようとしているのか。喫茶店なら今日の会場の一階にもあったのに。不思議に思いながらも街へ到着。そして羽賀先生は俺を誘導して喫茶店へとたどり着いた。

「ここの二階なんです」

 羽賀先生が指さしたのは黒板で書かれた看板。Cafe Shelly、カフェ・シェリーか。こんなところに喫茶店があったなんて、初めて知ったな。

 扉を開けると、心地よいカウベルの音。同時に漂ってくるコーヒーの香り。それだけではない、その中に甘い香りもミックスされて、瞬間的にいい気持ちにさせてくれる。

「いらっしゃいませ」

 聞こえてきたのは女性の声。少し遅れて男性の声で同じく「いらっしゃいませ」の声。

「あ、羽賀さん」

「マスター、マイちゃん、こんにちは。今日はお客さんを連れてきたよ」

 羽賀先生、このお店の常連さんみたいだな。

「真ん中の席、使わせてもらうよ」

 ニコリと笑って羽賀先生の言葉に応えるマスター。いい関係が作れているな。俺も会社でこんな関係が作れるといいんだけど。

「さてと、先ほどの話の続きをしましょう。もう少し、気になっている新人さんのお話をうかがってもよろしいでしょうか?」

「はい、さっきも言いましたがとにかく使えないやつなんですよ。いくら教えても覚えてくれないし。何かあったらすぐに質問してくるから、こっちも仕事が進まなくて。でも、何故だか周りのメンバーの評価は高いんですよ」

「評価が高い?それはどうしてですか?」

「雑務に関しては気が利いていましてね。先回りをしていろんなことをやってくれるんです。お茶をいれたり掃除をしたり。あ、あとは書類をまとめたりといった作業は助かりますけどね」

「なるほど。もう一つ聞いてもいいですか?」

「はい、なんでしょうか?」

「今日のボクの講義を聞いて、自分に足りないところはどんなことだと感じましたか?」

「自分に足りないところ…まぁ、最後に書いた三つのことかな」

 俺はそう言って、最後に書いたシートをバッグから取り出して羽賀先生に見せた。

「フィードバックと質問、それにPDCAサイクルですね。この三つがきちんとできていれば、その新人さんはきちんと教育できると思いますか?」

 そう言われて、少し考えてしまった。この三つができたとしても、明美がきちんと仕事を覚えるとは思えない。まだ何かが足りない。そんな感じがしている。

「まだ何か足りない、そんな感じがしているようですね」

 羽賀先生、俺の気持ちがわかるのか?まさにその通りなので驚いてしまった。

「その足りないものを、このお店で見つけてみようと思いまして。マイちゃん、シェリー・ブレンド二つお願い」

「かしこまりました」

 このお店で足りないものを見つける?どういうことなんだろう?

「なんだか不思議そうな顔をしていますね」

「えぇ、どうしてこのお店で足りないものが見つかるのかなって、そう思いまして」

「それは、これから運ばれてくるコーヒー、シェリー・ブレンドに秘密があるんです。このコーヒーは飲んだ人が今欲しいと思っているものの味がするんですよ」

「飲んだ人が欲しいと思っているものの味?ど、どういうことですか?」

「シェリー・ブレンドにはそういう魔法がかかっているんですよ。まぁ百聞は一見に如かず、です」

「コーヒーがくる間に、もう一つお尋ねしてもいいでしょうか?」

「はい、どんなことでしょうか?」

「理想の新人って、どんな方をイメージしていますか?」

「理想の新人、ですか。まぁ欲を言えば、こっちが教えたことは一度で覚えてもらって、さらに俺が言うことには逆らわずに素直に行動を起こしてくれる。あ、それとできれば最初からそれなりの知識を持ってくれるとありがたいですね」

「なるほど、それが理想の新人さんなのですね。そう考えると、今育てている新人さんに欠けているところはどこだと思いますか?」

「うぅん、まぁ前職がSEだったから、知識はそれなりには持っているんですけど、専門分野が違うからそこを教えているんですけどね。俺が言うことに対しては逆らうわけじゃないんですけど、とにかく覚えが悪いんですよ。どうして一度で覚えてくれないかなぁ」

「ということは、教えたことに対して覚えが悪い、ここさえ改善できればそれほど問題ないということなのですね」

「まぁ、そういうことになりますかね。それなりに可愛い女の子なんですけど。その見かけで周りの連中は騙されているんだよなぁ」

「ははは、かなり厳しい意見ですね。でもこれでわかりました」

「何がわかったんですか?」

「アキラさんのリーダーシップのとり方です」

 リーダーシップのとり方?オレのどこに問題があるのだろう?

 すると羽賀さん、バッグから折りたたみ式のホワイトボードを取り出した。

「アキラさんは会社でリーダー的な立場にある。そうですよね」

「はい、課長はいるんですけど、技術的なことのリーダーは実質オレがやっていますから」

「つまり、こんな感じですね」

 一番上に赤色で丸を描く。その下に黒色で二つの丸。さらにその下に四つの丸。これらを上から線でつないでいく。まるでピラミッドのような形だ。

「このようなピラミッド型でチームを率いている。そんな感じではないでしょうか」

「まぁ、そうなりますかね。オレが下のメンバーに指示をして動かしている。でも、明美、あ、例の新人ですけど、明美が思うように動いてくれないんですよ」

「なるほど。これはピラミッド型組織といって、上の指示で下のメンバーを動かそうというリーダーシップのとり方になります。ほとんどの組織はこんな感じで動いています」

 まぁそうだろう。というか、こういう組織以外にリーダーシップのとり方ってあるのか?これが普通の組織のあり方じゃないのだろうか?

「このピラミッド型の組織の良いところは、上の意向が下にスピーディーに伝わりやすいという点です。しかし欠点としては、下からの意向が上には伝わりにくい、ということがあります」

「そうなんですか?ウチはわりと和気藹々としているから、みんなの意見を耳にしていると思うのですが」

 と言いつつ、このときに課長の言葉を思い出した。オレの教え方がイマイチよくわからない、というものだ。課長から言われるまで、そんな言葉を耳にしたことがなかったので意外だった。

「じゃぁ、どんな組織がいいんですか?」

「それについては、シェリー・ブレンドを飲んでから考えましょう。おっ、ちょうどいいタイミングできたきた」

 振り返ると、店員さんがコーヒーを運んできたところだった。

「マイちゃん、ありがとう。早速飲んでみてください。そして、どんな味がしたのかを教えてくださいね。味だけじゃなく、何か感じることがあったらそれもお願いします」

「では早速…」

 魔法のコーヒーとやらを口にしてみる。うん、なかなかいい味しているじゃないか。苦味と酸味、それだけじゃない。奥には甘味も感じる。いや、もっと複雑な味が見事に絡み合って一体感を成している。絶妙な味だ。

 この時、一瞬頭の中で会社のメンバーの顔が浮かんだ。それぞれバラバラの個性が一つに繋がり、絶妙な感じで絡み合う。そして、同じ目的に向かってみんなで意欲を持って取り組む。そんな姿がイメージできた。そうだ、オレが望んでいるチームの姿がそれなんだ。

「どんな味がしましたか?」

 羽賀先生の声でハッと我に返った。そうだった、今はコーヒーを飲んでいたんだった。

「なんだか絶妙な味ですね。いろんな苦味や酸味、他にもいろんな味が複雑に絡み合って、一つになっている。おかげでウチの会社のメンバーのことを思い出しましたよ。俺が率いているチームも、こんな感じでバラバラの個性が一つになるといいなって、そう思いました」

「つまり、それがアキラさんの望んでいるチームの姿なんですね」

「そうなりますね。今までそんなことあまり考えていませんでしたが、そうなるといいなって、今そう思いましたよ」

「これが魔法コーヒー、シェリー・ブレンドの力なんですよ」

「えっ、ど、どういうことですか?」

「先ほどお伝えした通り、このコーヒーは今欲しいと望んでいるものの味がするんです。だからそのような味がしたんですよ」

 まさか、と思ったが確かにその通りだ。

「じゃぁ、俺が望んでいるチームの姿がそうだとしたら、どうしたらそうなるんですか?」

「そうですね、逆に言えば、そうなるために今何が足りていないと感じますか?」

 そうなる、つまりバラバラの個性が一つになるために足りていないもの。これについて考えを巡らせてみた。さっきのピラミッド型でリーダーシップを取ろうとすると、統制は取れるだろうが各自の個性を潰してしまいかねない。無理やりやらせてしまうような感じになるからだ。

 無理やりではなく、各自が思い思いに仕事を進める。でも、これだと統制が取れない。方向性がバラバラになってしまう。バラバラのものを一つにするために、今足りていないものってなんだろう?

「ダメです、ギブアップ。羽賀先生、今俺に足りていないものってなんなんですか?答を教えてくださいよ」

「答を教えると言われても、残念ながら私はアキラさんの仕事ぶりを見ているわけではありませんので。じゃぁ、さっきのピラミッド型組織ではない、別の組織のあり方、それを先にお伝えしましょう」

 すると羽賀先生、今度は赤丸を中心に周りに五つの黒丸を描いた。

「真ん中がリーダー、そして周りがメンバーです。そして…」

 黒丸を矢印で繋ぐ。

「このように、メンバーが相互に意見を交換しあえるように…」

 今度は真ん中のリーダーから各メンバーへ相互の矢印を引く。

「リーダーが各メンバーへ働きかけを行い、かつメンバーもリーダーへ意見を述べる。このような相互関係が成り立っている組織が今の時代は必要とされているとボクは思っています」

 お互いの意見を相互に交換しあえる、まさに俺がコーヒーを飲んだ時のあのイメージそのものだ。

「このような組織をアメーバー型とも言いますが、ボクはこれを『ファシリテーション型組織』と呼んでいます」

「ファシリテーション型?」

「そう。ファシリテーションとは組織の行動を促す技術のことです。ピラミッド型はどちらかといえば『俺についてこい!』と言わんばかりのやり方になります。それだと下のメンバーは常に上の指示・命令で動くことになります。人は納得しない指示・命令では動こうとはしないものです」

「確かに、理不尽な命令では動きたくありませんからね」

「けれど、こちらのファシリテーション型だと、自分たちで行動のための答えを出します。さらに、各々の個性を生かすこともできます。その結果、自発的に動こうとする動機付けをしやすくなるのです」

「じゃぁ、ピラミッド型よりもファシリテーション型の方がいいってことなんですか?」

「実はそうでもないんです。これは時と場合によって使い分けて欲しいのです」

「使い分け?」

「はい。ファシリテーション型はみんなの意見を取り入れて、みんなで行動するので、一見するといいように見えますが大きな欠点があります」

「欠点?どんな?」

「それは何かを決める時には時間がかかってしまう、ということです。逆にピラミッド型は上の人が決めてしまえばいいので、即断即決ができます」

「あ、なるほど。つまり緊急を要する場合にはピラミッド型の方がいいってことですね」

「そうなんです。他にも上の人でないと決められないような重要事項なんかは必然的にピラミッド型になります。例えばアキラさんに会社の経営について、なんてことを言われても意見できないでしょう?」

「確かに、情報処理系のことなら色々と意見できますけど、会社経営については何も知らないですからね」

「では、今アキラさんが望んでいる組織はどちらの形の方が向いていると思いますか?」

「俺たちの仕事って、チームを組んでみんなの力を一つにしてソフトウェアを開発するから、ファシリテーション型だな」

「では、ファシリテーション型になるには何が不足していると思いますか?」

「そうですね、やはりみんなの意見をきちんと聞く。そういった場を作っていないっていうことはありますね。どうしても俺が一方的に指示をすることが多いですから」

 ここで気がついた。その質問、さっきも同じようにされたはず。その時は何も思いつかなかったけれど、一つ知識を入れると自分に不足しているものが明確になった。羽賀先生、すごい人だ。俺にこう言わせたくてファシリテーション型の知識を与えてくれたのか。

「さらに、その新人さんがもっと使える人間になるために、どんなことが必要だと思いますか?」

 そう言われた瞬間、俺はあることを思いついた。おそらく自分の中ではその答は出ている。が、それをもっと明確にするには…

「失礼」

 そう言って、俺は目の前のコーヒーに口をつける。そう、このシェリー・ブレンドに今俺が欲しがっている答を教えてもらおうと思ったのだ。

 コーヒーを飲んで味を確認する。すると、そこには自由気ままに舌の上で転がる一つの味を感じた。その味がなんなのか、自分ではよくわからない。けれど、間違いなく何かが舌の上で転がり続けている。なんだ、これは?

 ここで思った。このわけのわからない味こそが明美である。明美は自由に動き回りたいと思っているのか。うん、そうだよな。それについてはもうわかり切っていることだ。

 今まで明美の能力を低く見ていたのは俺自身。だから明美を俺の思うように動かそうとしていた。その結果、狭い範囲でしか動けていない明美がいたわけだ。もっと彼女を自由に動かすべき。自分の意志で行動してもらうべき。そうじゃないかな。

「なにかわかりましたか?」

 羽賀先生の言葉で我に返った。

「はい、わかりました。もっと明美を自分の意志で、自由に行動させてみること。もっとあいつを信頼して仕事を任せてみること。これが必要だって思いました」

「そうなんですね。じゃぁ早速、そこから始めてみてはいかがでしょうか」

「はい、そうしてみます」

「それともう一つ、私からアキラさんに提案があります」

「提案?どんなことですか?」

「もし、その明美さんに迷いが生じて、何かを教えたくなったら。私の講義で伝えた山本五十六の言葉を思い出してください」

「えっと、確か『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば人は動かじ』でしたよね」

「はい、これはOJTの手順ですからね」

 これは羽賀先生の講義の中で学んだことだ。

「最初に『やってみせ』でお手本を見せる。そこで相手にイメージをつけるんでしたよね。そしてその後に『言って聞かせて』で解説をする。それから『させてみせ』でやらせて、最後に『ほめてやらねば』はほめるだけじゃなくできていないところをフィードバックする。そうでしたよね」

「はい、そうです。これはボクの推測ですけど、アキラさんは今まで『言って聞かせて、させてみせ、ほめずに指摘』じゃなかったですか?」

 うっ、痛いところを突いてくるなぁ。実はその通りだった。俺の悪い口癖の一つに「このくらい、言われなくてもわかるだろう」というのがある。どうして経験者なのにこのくらいわからないかなぁ、という思いが強いからだ。けれど、よく考えてみれば知らないものは知らない。なのにイメージも植え付けないまま、一方的に教え込んでしまったために、明美は理解できないまま作業をやらせられる。だからまた質問をしにくるのだ。

 けれど、それがわかっていながら俺は三つの行動のところにこれをあえて書かなかった。自分の非を認めたくない、そういう気持ちが強いから。これは俺の悪い癖だな。そこを見抜かれたのか。

「わかりました。山本五十六の言葉、しっかりと胸に刻んでおきます。今日はご相談に乗っていただき、ありがとうございます。あの、本来はこういった相談って料金をお支払いするんですよね。どのくらいお支払いすればよろしいでしょうか?」

 ここまで親身になって相談を聞いてくれたんだ。当然お礼として報酬はお支払いしないと。こんな素晴らしい先生をつかまえて占有してしまったのだから。

「お金ですか?いやぁ、そんなこと考えてもみなかったな。ボクはただ、ここのコーヒーが飲みたくてアキラさんをお誘いしただけだし」

「えっ!?」

 その言葉には驚いてしまった。弁護士とかだと30分5000円くらいで相談に乗ってくれるから、そのくらいはお支払いしなきゃと思っていたのだが。

「じゃぁ、せめてここのコーヒー代だけでも俺に出させてください」

「いいんですか?じゃぁ、お言葉に甘えようかな」

 ニコリと笑う羽賀先生。この人、すごく信頼できる。よし、羽賀先生の言葉に従って、早速明日からチームをまとめるやり方、明美に対しての指導の方法を変えてみよう。

 こうして俺の大きな学びの一日が終わった。今回は大きな収穫を得ることができたな。明日からが楽しみだ。

 翌日、会社に行くと驚くことが起きていた。

「えっ、これ明美が一人で全部やったのか?」

「はい、アキラ先輩がやっておけと言われていたこと、全部やっておきました」

「かなり時間かかったんじゃないのか?」

「そうですね。まぁ丸一日はかかりましたけど。でも定時内には終わりました」

 俺が明美に指示をしていた作業。プログラムの一部を修正して、動作の確認まで終わらせるというもの。俺がこの作業をやれと言われたら、おそらく三日はかかるだろう内容だ。

「でも、修正作業はともかくとして、動作確認がそんなに早く終わるとは思わないけど…」

「あ、それなら動作確認用のソフトを新たに組んで、自動で終わらせるようにしたんです。こういうの、私得意なんですよ」

「えっ、そんなやり方があったのか…」

 今まで動作確認は、チェック表を作って一つひとつ手作業で行っていた。これが面倒で時間がかかっていたのだが。これをプログラムを組んで自動でやらせるとは。一体どんなプログラムを組んだんだ?

「ちょ、ちょっとそのやり方見せてくれ」

「はい」

 明美は実際に動作確認のプログラムを走らせて、俺に見せてくれた。完璧だ。これはすごい。

「明美、すげぇな、感心したよ」

 ここで思い出した。昨日学んだPDCAを回すためのKPTってのをやってみよう。

「明美、ちょっといいかな。昨日俺が勉強してきていいなって思ったKPTを今からやってみようと思うんだが」

「KPTってなんですか?」

 当然知るはずがない。ここでテキストを見せて解説をしようと思ったが、羽賀先生の言っていた「山本五十六」の言葉を思い出した。

「まずやり方を教えるから。えっと、今回はA4用紙を使おう」

 お手本なので、裏紙でいいか。ミスしたコピー用紙を持ってきて、俺はKPTの表を描いてみせた。

「これは効果的な振り返りの手法なんだ。そうだな、今回は昨日俺が学んできたセミナーの振り返りをやろう。まずKはよかったことから…」

 そうやって、昨日のことを思い出しながら、セミナーでよかったことを口にしてそれを書いていく。同様にP、できなかったことやうまくいかなかったことを出し、さらにTの改善点を出す。

「とまぁ、こんな感じで物事を振り返るといいんだ。ここに解説資料があるから」

 ここで初めて解説資料を取り出して説明をする。すると明美はすぐにやり方に対して納得できたようだ。

「じゃぁ早速、昨日の振り返りをやっていこう。まずはKから」

「えっと、今まで習ったことをうまく活かせた」

「今まで習ったことをうまく活かせた、だな」

 明美の言うことを復唱して用紙に書く。この作業を五分間続けた。意外にも明美はスラスラと口にしてくれて、10項目ほど出すことができた。次にP、うまくいかなかったところだ。

「アイデアを思いつくのに時間がかかったところ、ですね」

 これも復唱して出す。明美が出す項目は謙虚に自分を見つめ、さらにプログラムについてもう少しこうすればよかった、というような具体的なものが多かった。

 さらに明美は、Tのところで自動化の作業に対してやる気の出るような言葉を出してきた。それだけ今回の作業が楽しかったらしい。そして最後に出してきたのがこの項目だった。

「まずは今回の経験を元に、皆さんのやっている仕事の検証作業を自動化することです。この仕事、ぜひ私にやらせてください!」

 明美の勢いはすごいものがあった。どうやら明美は俺が任せようとしていた分野よりも、検証作業の自動化を進める方が向いているようだ。適材適所、これはぜひ明美にやってもらいたいところだし、他の誰でもができるものではないと感じた。

「このKPTを使ったら、もっと効率アップしそうですね」

「確かに、昨日学んでこれはいいと思ったんだ。これならPDCAをきちんと回すことができそうだしな」

「じゃぁ、私から提案いいですか?」

「なんだい?」

「このKPTを全社で取り組めるような入力フォームを作って、日報とかに反映させるようなソフトを作ってみてはいかがでしょうか?」

「明美、それナイスアイデアだ!よし、早速課長に掛け合ってみるよ。明美はすぐにソフトの基本構想を作ってくれないか?」

「はい!」

 ほんのわずかな時間で、明美から出された提案。これは乗ってみるしかない。うん、いいじゃないか。

 ここでふと思った。あれっ、今までは立場が逆だったよな。明美にあれをしろ、これをやれと指示をするだけで、明美からやってみたいという提案はなかった。いや、俺がさせなかったのか。

 けれど、実は明美にはいろんなことをやれるだけの能力があったんだ。俺が勝手に「できないヤツ」の烙印を押して、接していただけなんだ。

 本来俺がやるべきこと、それは今回のように部下がやりたいことに対して、道を切り開いてやることだ。俺自身がプログラミングの作業をいつまでもやっているわけにはいかない。

 羽賀先生の言う通り、俺は御山の大将になっていたんだ。

 この日を境に、明美の大進撃が始まった。俺ができないヤツだと勝手にレッテルを貼っていた明美だったが、実はとんでもない能力を秘めていた事に驚かされた。

 俺が今まで明美に教えていたことやお願いをしていたこと、これは明美にとっては専門外のことだということがわかった。明美が得意とするのは今回提案した事業のプログラムのような、何かを確認したり検証したりする分野である。前の会社でそういったところのプログラムをやってきたからだ、ということを改めて知った。

 さらに明美のすごいところは、企画からプログラムの仕様作成、組み立て、そして動作の検証と全て一人でできるところ。俺たちの仕事は、それぞれが別々の人が担当をして進めることがほとんどである。いわゆる分業制になっている。そのため、仕事の流れの引き継ぎがうまくいかないこともある。

 俺もプログラムの組み立て、いわゆるプログラミングについてはチームの誰よりも詳しいと自負している。が、その他については他の人に任せているため、あまり得意ではない。だから明美の能力には驚かされている。

「明美、次どうすりゃいいんだ?」

 今では立場逆転。俺が明美に進め方などを尋ねることが多くなった。

「アキラくん、最近変わったよな」

 先日、課長からそう言われた。

「えっ、何がですか?」

 思わずそう聞き返してしまったが、自分でも変わったと感じている。

「いやぁ、前はどちらかというと『俺についてこい!』っていう感じのリーダーだったんだけど。最近はみんなに作業を任せて、そのフォローをしっかりやってくれるようになったよね。特に明美くんに対しての態度。今じゃどっちが指導する立場なのかわからなくなってきてるんじゃないの?」

「あはは、まぁ確かにそうかもしれませんね。俺が明美のことをあまりよく見ていなかったんだと反省していますよ。まさか、あんなに有能なヤツだとは思わなかったですから。完全に俺の思い込みでしたね」

 ここは素直に反省する点である。だが、課長はさらにこんなことを言ってきた。

「実はね、その明美くんなんだけど。おそらくアキラくん、君に気があるんじゃないかなって思うんだけどなぁ」

「えっ、お、俺にですか!?」

 これはびっくりだ。明美のこと、今まで恋愛対象とかの目線で見たことはなかったから。

「ど、どこを見てそんな風に思ったんですか?」

「そんなの、見てればわかるよ。これ、みんな言ってるよ。気づかなかった?」

 まさか、明美からそんな風に思われているとは。でもそれは本当なのか?

 明美という女性を改めて見てみる。前までは使えないヤツ、そう思っていた。が、普段の仕事の上での気配りは目を見張るものがある。その上、得意分野についてのプログラムの能力、それだけでなく企画力や人を巻き込む力なども目を見張るものがある。

 そして何より、若くて可愛い。客観的に見てモテるタイプだとは思う。それどころか、この会社の中でもお嫁さんにしたい候補で言えばナンバーワンを取れるくらいのものを持っている。

 なのに、俺は今までそんな存在に気づかなかった。課長からそう言われて、ちょっと明美を意識して見てしまうようになってしまった。

「アキラ先輩、最近どうしたんですか?」

「えっ、な、なにが?」

「だって、前だったら私をガンガン指導してくれていたのに。このところ妙に優しくなったなって思って」

「だ、だってあんなの、パワハラって言われたらまずいじゃないか」

「私はパワハラだなんて思っていませんよ。あれは出来ない私を指導してくれているんだって、そう思っていましたから」

「で、でも、あんなやり方じゃダメだって、前に研修で習ったから」

「ま、今の先輩の方が…」

 この時、明美の顔が真っ赤になっていることに気づいた。それを見た時、課長の言葉が間違いないと自分でも確信した。そしてそこから、俺は明美のことをただの後輩とは見れなくなってしまった。

「アキラくん、そろそろはっきりしてあげたらどうなんだ?」

 あの日以降、俺も明美を意識してしまい、二人の仲が少しギクシャクしてしまっていた。それを見かねた課長が個人的に俺を飲みに誘い、そんなことを言ってきた。

「はっきりって、何がですか?」

 課長が言いたいことはわかっている。けれど、それを言っちゃうと照れ臭いじゃないか。

「何がって明美くんのことだよ。君も意識しているんだろう。側から見ていてそれが伝わってくるよ。周りのみんなも心配しているぞ」

「でも、社内恋愛だなんて、仕事に差し支えるじゃないですか」

「いやいや、むしろ今の状況の方が差し支えるよ。みんなアキラくんと明美くんの二人のことが気になりすぎて、仕事が手につかなくなっているからね。君たちだってそうだろう」

「まぁ、確かにそうですけど…」

「どうだ、ここは男らしく、ビシッと決めてみては」

 課長のお許しが出たんだ。男らしくビシッと、か。よし、決めた。明日告白してみるか!

 そして翌日、どのタイミングで俺は明美に告白をしようか迷いながら仕事を進めた。

「アキラ先輩、ちょっといいですか?」

「な、なんだい?」

「あの…これ、食べてください!」

 明美、突然俺にリボンのついた小さな包みを手渡した。

「な、なに、これ?」

「クッキーです。友達に習ったもので。いつもお世話になっている先輩に食べてもらいたくて」

 職場でいきなりこれかよ。課長を始め、周りの視線が俺に集まる。もうこのタイミングしかない。

「明美、俺もちょっといいかな」

 俺は明美の両肩に手をやり、改めて対面する。心臓がドキドキする。今にも飛び出しそうだ。

「明美、お、お、俺に…」

 ここで深呼吸。そしてこの言葉を発した。

「俺についてこい!」

「えっ、ちゃんと今もついてきているじゃないですか。先輩、何を改まって…」

「仕事じゃなくて、プライベートも全部俺についてこい!」

 言ってしまった後に気づいた。これってほとんどプロポーズじゃねぇか。すると明美、急に照れて下を向いた。さすがにこれは行き過ぎだったか?

「…はい」

 この瞬間、フロアの全員が湧いた。大きな拍手が飛び出した。

 ちなみにその後、俺は明美についていくような生活になったのは、また別のお話。


<俺についてこい! 完>

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