待つ戦士
低い画力ですが、自分の未熟な文章力では詳しい場所の描写やキャラクターの全体図を伝えきる事ができないと思いますので、所々に頑張って描いた絵を乗せていきたいと思います。
太陽が植物達を照らして、動物たちが跳ねまわり、大地を蹴って走っている。
小鳥たちが、さえずり心地よい音と共に羽ばたいてゆく、緑豊かな森の奥深くに誘い込まれるような感覚があるあまりにも心地よい大森林の中、一人の少女がボロボロの姿で体を必死に動かしていた。
遠くへ...もっと遠くへ逃げないと...
少女は人のいない場所を目指した。
ただひたすらに逃げた、あいつらからできるだけ離れないと...そう焦る気持ちが足を引っ張って彼女は木の根っこに足を引っかかってしまい、洞穴の入り口に転落してしまう。
「きゃっ────」
「.....すぴぃ...すぴぃ...」
そこでその下で丁度寝ていた一人の戦士の腹に落ちるように倒れ込んでしまう。
その衝撃で鳥たちは飛び立ち、戦士は「ぐはぁっ!?───」という声を最後に気絶してしまった。
少女もまた徹夜でずっと逃げていたため、この衝撃に耐える余裕もなく、戦士の上で痛む体を抑えつつ、意識が遠のいていくのであった。
.....そしてそこから10分後
「...ん...ん~....」
男は地面から体を起こし、体を思いっきり伸ばそうとした。
しかし腹の上に違和感を覚えたため、その行動は一旦中断され、そちらの方へ視点を向けた。
そこには服は所々やぶれており、顔は土で汚れて、髪はぼさぼさになっている少女が綺麗な寝息を立てて眠っていた。
「...困ったな、こう気持ちよく寝られてたら動こうにも動けんではないか。」
服をしっかりつかまれており、ちょっとの力で起きてしまうのではないかと不安になるが、いつまでも掴まれてるわけにもいかないのでゆっくりと起こさないように慎重に少女を自分の寝床に寝かせた。
さて、おはよう、勇者今日も俺は元気だぜ。
戦士は20歳くらいだろうか、いい笑顔で墓石に挨拶をし、「今日の飯は久しぶりに街に行って肉でも買ってくるからそれ食おうぜ」と意気揚々と少女を置いて出発しようとした。
「....はぁいつも通りで行きたかったが、こうなぁここで寝られちゃなぁ...ほっとけねぇよなぁ」
少女はぱっと見で判るほどボロボロで、所々怪我をしている。
....殴られた後みたいな感じだなまるで...痣になっちゃってるじゃないか。
男は近づいて、少し息を吸って痣になってる所に手を置いて、詠唱を始めた。
「天の神よ、今のこの荒波の権限においてこのものの傷を癒したまえ」
その瞬間辺りが水で沈んだような感覚に陥り、洞穴の中に住んでいた動物達は慌てふためく。
しかしそれも一瞬で終わり、その感覚が終わったと同時に男は立って歩いて行った。
動物が少女のそばに近寄ると、さっきまでボロボロだった服や身体は完全とは言えないがある程度治癒されており、匂いもほのかに塩の海を彷彿とさせるような匂いを醸し出している。
「ピッツァラ、その少女を頼んだぞ、後墓の護衛もだ。」
男は振り返らずに口を大きく開き、その近づいた動物に対して話しかける。
ピッツァラと呼ばれる動物は敬礼(`・ω・´)ゞをして、その男の背中が見えなくなるまでずっと敬礼をしていた。
~ センターラン街 ~
日がすっかり落ちて、街中が暗闇に包まれる頃、一人の戦士が街中を歩いていた。
背中には大きな不可思議な武器を持っており、それはまるで戦車を連想させる存在感を放っていた。
人が扱えるとは到底思えない武器を背中に欠伸をしながら平然と背負い歩いているこの男は一体...
なんで俺早起きできないかね、もうこんな真っ暗、いやまぁ朝の6時に起きてこれだからな、もうこれ以上は無理無理
精霊時経路 そう呼ばれるアイテムで時間を確認して、現在は21時を回っている。
こんなに遠くまで来なければいけないのには理由があった、孤軍奮闘いつも前線を一人で支えてた男に友人は一人しか居なかったからだ。
しばらく暗い街を歩いて、怪しげな路地裏に入るとそこを2分ほど歩いた場所に謎の扉があった。
「テンプル~~~、開けてくれ~~~、飯くれ~~~~」
「ただいま、留守中です、ご帰宅願います。」
「お~~~いテンプル~~~、昔魔王を倒すために一緒に戦った中だろ~~~、飯くれ~~~」
古いドアがきしむ音と共に少し埃っぽい部屋の中の空気が一気に外へ飛び出してくる。
戦士はあまりに煙たすぎて大袈裟に咳払いをして、テンプルと呼ばれる男の娘の顔をしかめさせる。
「あ~、テンプル、部屋の掃除はした方がいいぞ。」
「うっさい、こっち側全然使わないんだよ、というかもうちょい早く来てよ、店閉まってるし。」
こちらの世界では電気などは存在しない、全て火か魔法で賄うしかない。
しかし魔法は詠唱と人の相性によるためこんな夜中に行動できるのは、一部の人間しかいない。
火は魔物や幽霊を引き寄せる性質を持っているため、まともに戦える人間でなければ火も使用できない。
「へいへい、んで?飯は?」
「こっちだよ、全く...あんたという奴はいつまで経っても変わらず礼儀知らずで人の迷惑を考えない奴だ。」
「ハッハッハッ、いかんせん友達がおらんもんだからな、数少ないお前みたいな奴にはありのまま生きたいわけだ。」
「いや、だからそれが迷惑だと....ああ、もういいや、ほら飯だ。さっさと引き返してくれ。」
テンプルと呼ばれる男に連れられ着いた場所は沢山の食糧が置いてある食糧庫であった。
好きなだけ持っていけと言われて、テンプルは自分の寝室へ向かおうとする。
そこにちょっと待てと戦士が呼び止める。
テンプルは何?と振り返るといきなり結構な重さの袋が投げられてきた。
中身を見るとそこには沢山の金貨が入っていた。
「こんな大金...一体どこで?」
「ずっと溜めてた奴だ、魔物とかもついでに狩ってた事が多いからな、道中の商人とかに素材とか毎回売ってたらそれだけ溜まった。」
「いや、でもこれだけあったら僕の所から取らなくても「それは違う」
「お前が居なかったらここまで、俺は歩いて来れなかったし、これはお前への恩返しでもあるんだ。」
「....恩なんて君に返せないほどあるというのに、これ以上何を?」
「そのままだ、そのままで居てくれ、また素材が集まったら売って金にするか、珍しいものならそのまま持ってくる。」
そう言って戦士の男は食糧庫へ向かって行った。
テンプルは自分の部屋に戻っていった、そして机の上にお金を置くと一枚の写真を手に取り、眺めていた。
その時の目はどこか寂しそうで、それでもあいつは変わらないなという安心がある目でもあった。
「よし、これだけあれば十分だ、しかし、これだけの食材よく用意できるなあいつ。」
一週間は耐えしのげそうな食料を武器の後ろに更に背負って、ふと疑問に思った。
これだけの食糧、用意するのは相当な労力のはず、何故ここまでの量が用意できるのか。
「....まぁあいつなりに頑張ってるって事だな、俺も俺の役目を果たさねぇとっと....」
そう言って戦士は食糧を一杯入れた鞄を背中に担ぎ、テンプルの家を後にした。