ストーリー1 旅立ち
チリチリチリー
目覚まし時計の音が部屋中に鳴り響く。
「ん〜うるせーなーすぐ起きますよー。」
時計を止めようとしていると、
「しょうちゃーん、朝ごはんできてるわよー。」
「はーい、すぐいくー。」
母への返事を済まし学校への身支度をしてリビングへ向かう。
リビングに着くと机にはトーストとベーコン、野菜の盛り合わせと質素ではあるが美味しい匂いを漂わせる朝食があった。
「しょうちゃん早く食べないと学校遅れるわよー。」
母は毎朝の習慣のように僕に言ってくる
「わかってるよ、すぐに食べるよ。」
朝食が食べ終わり、自分の部屋に荷物を取り戻り玄関へ向かう。
「しょうちゃん弁当忘れてるわよ!」
「おっと、危なかった、せんきゅーお母さん。」
「いってらっしゃーい。」
「行ってきまーす。」
玄関を出ると、空は一面雲ひとつない清々しいほどの晴れであった。僕はイヤホンを付け、ポケットに手を突っ込み淡々と歩いて行く。
「あー、今日も一日はじまったなー。」
独り言を呟きながら通学路を歩いて行く。
「今日はなんて清々しい日なんだ、こんな日にはきっといいことが起こるに違いない!きっとそうだ!」
そんなことを思っていると信号の先に学校が見えてきた。
キーンコーンカーンコーン
学校の鐘が遅刻の知らせをのせて聞こえてくる。
「なんでだよー!いっつも通りのはずなのに!?」
スマホの時間を見てみると、
「えっ、もうこんな時間!?さっきまで余裕な時間だったじゃん!?」
愚痴をこぼしながら校門をくぐり靴箱の方へと向かっていると、一人僕に送れて走ってくる生徒がいた。
「しょうくーん、まって〜〜!」
あれは同じクラスの場盛り上げ担当兼おてんば担当葉賀陽子だ。いつも元気で明るい性格だが、物事を考え行動することが少なくいつもドジをふむ。だがきちんとしているところもあり、どこにやる気スイッチがあるのかよくわからない。
「葉賀も遅刻か?葉賀にしては珍しいな」
「いやーなんかねー、いつもと同じように登校してたんだけど、学校についてみたら、、、こりゃびっくりだよ!鐘が鳴ってるんだ!私は久しぶりに外で鐘の音を聞いたよ〜」
「葉賀も同じかー、俺たちお寝ぼけ組だな!」
そんなジョークを交えながら階段を駆けのぼり教室へ走りこんだ。
「あれ?誰もいないね、今日集会か何かあったっけ?」
「今日は何もなかったはずだけど?もしかして臨時集会かも。」
「それはまいったね〜、だけど他のクラスは居たような気がしたけどね。」
「たしかに、、、なぜだ、、、ドッキリか?」
「みんなやる気満々だね〜、どこにいるんだーー?」
バタンっバタンっ
開いていた窓や扉が一斉に閉まりだした。
「!!?」
ガタガタガタガタガタガタ
机や椅子が一斉に揺れだした。
「地震か!?とりあえず葉賀、机の下にもぐれ!」
「だけどしょうくん。床揺れてないよ?」
「!?ほ、ほんとだ。」
僕は机の下にもぐろうとするのをやめようとしていると、黒板のほうから風が吹いているような気がした。
「なんで風が吹いてくるんだ!?」
黒板の方を見てみると黒く大きな穴が開いていた。
「葉賀!黒板を見てみろ!穴が空いてるぞ!」
「えっ?ほっほんとだ!大変だよ!机は揺れてるしポルターガイスト!!?」
ドンっ
机と椅子の揺れは大きな音と共におさまり教室は妙に静まりかえった。
「なんだこの穴は!?不気味すぎるにも程があるだろ。」
そんなことを言いながら一歩づつ近づいていく。
「しょうくん危ないよ!」
その時だ、凄まじい光ともに僕たちの意識は遠のいていってしまった。」