第3話
ちょっと短い上に説明会です。
ぼくいっぱいかんがえたよ
【可素】とは。
英名・マナリウムの発見者イギリス人女性科学者マナ・ワトソン曰く「生命の声に応える意志ある元素」ということである。
当然、日本でもマナリウムが湧き出る場所を探し出し、調査分析を開始した。
実際に色んな条件下で測定した結果、彼女の言う言葉は正しく、その事を日本語的な言葉に直した時にこうなった訳である。
生体反応元素
これが元素周期表に加えられた、金属でもなく、非金属でもなく、その中間でもない、第4のグループ。
マナ・ワトソンの新発見も世紀を驚かせたが、その後【ゲート】を開通する事に成功させたメキシコの大学院生リカルド・オリベイラの功績もまた大きい。
彼は古代インカ帝国の遺跡群の中から【ゲート】の候補となる【可素】が噴き出すポイントを見つけただけに留まらず、ある可能性に気付いたのだった。
【可素】が「生命の声に応える意志ある元素」であるなら、この今まさに噴き出しているポイントで生命体である自分の声にも応えてくれるのではないか?と。
「どうか、どうか僕を異世界に連れて行って欲しい」
と言ったかどうかは分からないが、類似の言葉を放ったのだろう。
見事に【ゲート】は開かれ、正に人類は新たな扉を開き新世界へと飛び出して行くことになったのだ。
その後、探索がトントン拍子で上手くいった訳では無い。
大気の成分の違いを把握する為に最初に行ったのはシンプルに【ゲート】の向こう側へ大気採取用の道具を長い棒に取り付け、突っ込み引き戻すというもの。
これは大気自体は確かに採取出来たのだが、研究室に持ち運びいざ計測という時点で中の容量が減っていたのだ。
マナ・ワトソンが中々その正体を掴みかねた理由、何故かマナリウムは存在が安定しないという問題がここで立ちはだかったのである。
そこでドローンで【ゲート】から入ったかなり奥の方へ行ってみようとしたり、遠隔操作型アンドロイドなどを投入するも、今度は入った途端に全て動かなくなったのだ。
いくつか検証した結果、発覚したのは【ゲート】は地球と新世界を繋ぐ扉の役割を果たす訳だが、物質が通った後には目に見えない何かできちんと扉が閉められてしまうという事である。
ドローンが【ゲート】を潜り、向こうに見える遺跡らしき廊下に入った瞬間に落下、遠隔操作アンドロイドも同じ結末を辿ったのはそうとしか考えられないのだ。
人造モルモットは”脳なしの能無しで息してるけど生きてない”と言われるキリスト教徒はいい顔しない、実験の為に人が生み出した人造生物なので意図して動き回ることはない。
そんな便利な実験体を【ゲート】から防護服越しに新世界へと人造モルモットを放ち、その様子を観察する事には成功した。
他の昆虫であったり爬虫類といった小動物でも実験したが、ケース越しに放置する事も可能ではあった。ただ、個体の大きさに寄って時間は違えど全て死滅してしまったが。
つまり、物質、ある程度の質量を持つ物質は通れるが量子・電子信号に音波まで扉によってシャットダウンされてしまうのである。
その後、やっぱり各国の研究機関やら軍隊さんやらがいっぱい頑張って何とかしたのだった。
そこから数年、新世界での発見が相次ぐ中、22世紀の最初の大きな進歩と言えるのが【可素】を留めおく事が出来る非生命体、すなわち無機物質の発見と利用方である。
それこそが【可素リアクター】なのだ。
簡単に言ってしまうとバッテリーであり、普段は充足させておいていざという時に生体反応させる訳だが、いきなりその性能を十全に使うのも難しい代物で初期の用途は決まっている。
所謂、アニメや漫画や小説で出てくる魔法の1つである【肉体強化】なのだ。
これは鉄板の使用方法である。
何故かと言えば【EAS】は外部の装甲と電気信号に寄って身体能力の底上げを行うが、脳が着いて来ない場合があるのだ。
それでは宝の持ち腐れである訳だが、【可素リアクター】を併用する事で中の身体能力は勿論のこと、反射神経・動体視力・思考速度まで上がるチート地味た恩恵を得れてしまう。
しかし、それに慣れてしまうと探索者としての戦闘以外の肝心な部分が育たない為に、無闇矢鱈に使用する事は薦められていない。
と、ここまで長い説明があった訳だが、今、正に、こここそが、人類の進歩の、見せ所なのだ。
これでも説目を省いたんです。
これ以上は第3次戦争やら何やらが·····




