何かの出入り口
はじめは好奇心が強かった。
だから、長く続けていたことも案外あっさりと捨てる事もできた。
新しいことをはじめるって言うことはそういうものだ。
始めて最初のうちは比較的順調に思える時間が過ぎる。
少なくとも、わからないことが多いから、少しずつ理解していけばいいだけなのだから。
そして、時間がたって、自分が入ってきた入り口が遠くになったと思い始めたときに、
自分の進んでいる道が突如としてわからなくなる。
入り口に戻ろうにも、すでに遠くになってしまっている…手は届かない。
自分の足元もわからない。
だから、もがこうにももがくこともできない…停滞することもできない。
しかし、それでも時間は進んで行く。
ふと、足元に地面が見えてきて、足が地に着いた感覚を得る。
自分が進んでいる場所がどこなのか、どこに向かっているのか…入り口はどこへ行ってしまったのか…。
それは全くわからなくなってしまっているが、それでも足場が出来上がっていた。
前も後ろもわからないが、とにかく進むしかなくなる。
どれくらい進んだか全くわからなくなったころに、出口らしいものが見えてくる。
この出口がどこかに向かう入り口なのか、それとも、現状のまま先に進むための入り口なのかわからないが、
結局どこかに繋がる入り口であるということだけは間違いない。
入り口を得るために、どれだけのものを失ってきたのか。
出口にたどり着くために何を得て、そして何を失ってきたのか…。
道中を見返すことができればそれもきっと可能なのかもしれない。
しかし、ここに入ってきた入り口は何処へと消えてしまっている…。
探す術はあるかもしれないし、時間もきっとあるはずだ。
探すことは自由だが、探さないこともまた自由…。
探さない道を選び、ただ目の前に用意された入り口とも出口ともわからない場所に飛び込むのもまた自由。
後ろからは二つの声が聞こえる。
「ここにはいないほうがいい」という声と、
「ここから出て行く準備をきちんとしてから行け」という声だ。
結局、どっちの声も先へ進むべきことを教えてくれている。
時期は今すぐなのか、もう少し先なのか…。
時期が絶望的にずれてしまえば、この出入り口ともつかないモノは消えてしまうだろう。
消えてしまった場合は…きっと、これとは違う出入り口を探すことになる。
足場の見えない道を進むことになるだろう。
後ろも先も見えない道を進むことにもなるだろう。
出入り口が現れるタイミングはきっと人それぞれが決めるのだろう…。




