〜短かき日常〜
入学式から1ヶ月、エイユウはいい意味で想像を超えた学校生活を送っていた。
入学式のすぐ後、エイユウはフューチャーに話しかけた。その時は不思議な勇気と自信が沸いてた。一目惚れにも似た感情がエイユウの背中を押した。フューチャーは特別反応は示さなかったものの嫌そうなそぶりは一切見せなかった。共通の趣味もあり、二人はすぐに親しくなった。
入学式から1入学式から1ヶ月後のある日。
エイユウが恒例となったフューチャーとのRPGの進行状況について話している時。
「みなかみくん。みやぞのさん」
人との接触の抵抗をまだ拭い切れていないエイユウは反射的に身構えた。フューチャーは何が起きたか判別できずフリーズしていた。
「やっぱ変だよね。タメでいいかな? 俺もそのゲーム好きなんだ」
話しかけて来たのは男子グループの中ですでに中心となっていた水野 丈夫だった。
エイユウは元々誰とも関わらないつもりでいたが、話しかけてくれたことを素直に嬉しく思っていた。そもそもエイユウはひねくれた人間ではなかった。近づいてくるものを跳ね除けるなど選択肢にすらなかった。このことから三人で趣味のことを話すようになった。エイユウとタケオが親友同士になるのもそれからすぐだった。
毎日の楽しい学校生活は流れるように過ぎていきあっという間に夏休みが訪れた。
夏休み明け再び始まるはずだったエイユウにとって人生史上最高の日常は突如姿を消し去った。
誰も想像していなかった新たな日常が始まることになる。