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大町編  作者: 麦果
第4章 山形万路高校
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62.2年ぶりの祀陵祭

 次の日。大町とその仲間達――朝葉と北目、二日、文丸、嵯久と湊、唯乃、愛歌、夕陽、藤松、下川原、睦花(むつか)、夏芽、森生、岳は祀陵高校の体育館を訪れていた。

 進理と響矢は石巻浦見台高校のみ、凪輝と光央(みつお)は友達が通っている他の公立高校を先に回るそうだ。


「おっはよーございまーす‼」

 ステージから元気にあいさつしたのは笹上だった。その隣で大霜(おおしも)が観客に手を振っていた。

「さーて、始まりました! 2年ぶりの祀陵祭! オープニングの司会は3年6組、笹上麦人と」

「大霜蒔士(まきし)がやらせていただきまっす‼」

「やったれー‼」

 1番前で叫んでいるのは塩柄と郷六(ごうろく)、他元1の男子数人だった。

(いつもは静かな二人が珍しいな……笹上君と大霜君が実行委員だったのも意外だし)

 去年は仙台末娘事件の影響で中止、今年が2度目かつ最後となる祀陵祭。それを楽しみたい気持ちは普段目立たない仲間も同じなんだと大町は感じた。

「それではさっそく! 我らが、2days+のみなさんです! お願いしまーす‼」

「待ってました!」

 大霜の言葉と共に吉成のドラム、錦ヶ丘のエレキギターが鳴り響き、幕が左右に開いた。応えたのは朝葉と文丸だ。

「祀陵祭にようこそ! 俺達……」

「2days+です!」

 楽司と新坂、錦ヶ丘、吉成、奏が名乗り、1曲目『ヒーローは君だけかい?』の演奏が始まった。


  ヒーローは君だけかい?

  そのステージに僕らも立たせてくれないか?

  小さくたって歌いたい

  ヒロインだってあの子だけじゃない

  生意気だって言いたいんでしょ?

  私達の音奏でるから何とでも呼べばいい

  僕だって私だって主役になりたい


 大きな拍手の後、楽司がバンドのメンバーと名前の由来を語った。

「バンド名の〝2days〟は毎年二日間行われる、この祀陵祭を指してます。それプラス、他のステージでもやりたいよねー……って事で〝2days+〟という名前になりました」

 大町はその話を知っていたが、この場で聞くと楽しみが増す。

「次はこの場にぴったりなのを……それではお聞きください、2days+で『105万分』」


  105万分つまり約2年この時間を

  君はどうやって数えていたの?

  過ぎ去った日々数えこぼれた砂は浜辺のよう

  ない物ねだりの涙は海になったの

  退屈そうに漂って待ってやっと会えた


 奏の解説によれば、この『105万分』は祀陵祭の中止が決まった直後から、今年向けに考えていたそうだ。

 オープニングライブは2曲までとの事で、講義室での演奏時間を知らせた後終了した。


「お疲れー」

 朝葉が、吉成ら2days+と、ステージ最前列で盛り上げ役になっていた元1数人、椿と伊賀をねぎらった。

「あれっ? ライブ終了?」

 凪輝と光央が体育館に入ってきた。

「今終わったとこ……って、友達んとこは?」

「今年から他校生禁止らしいよ。他の子に言われたんだけど、他校生門前払いだって」

「何それつまんなーい」

 光央の話に睦花があきれ返った。

「ま、その分祀陵祭楽しもっか!」

「だな!」

 睦花が光央と肩を組んだ。

「お熱いねぇー……って、付き合ってんだっけか」

「まだだよー」

 下川原と夏芽も睦花らに続いた。

 朝葉と北目、藤松、夕陽、湊、愛歌、唯乃は3年生の模擬店から見るようだ。二日と嵯久が彼女達に付き添った。

「僕達も行こっか」

「だね」

「佐門の分まで楽しもうぜー」

 大町と文丸、岳、森生、凪輝も校舎に向かった。

【宮城県祀陵高校】


大霜蒔士(おおしもまきし)

2年1組→3年6組・硬式テニス部

中学での経験から女子を嫌ってたが克服し、気さくな性格に。前からつるんでいた笹上に加え、クラスでは陸とも一緒


郷六蓮哉(ごうろくれんや)

2年1組→3年3組・ハンドボール部

ヘタレだけど良いやつ。仙台末娘事件以降、友人の愛子や葛岡とともに同級生達に歩み寄った



【宮城県大崎尚進高校】


(よどみ) 睦花(むつか)/むっか

創造芸術系列2年3組→3年3組・家庭部

小悪魔系だが家庭的。光央と付き合っていると勘違いされがちだが、今の所は両片思い


台森光央(だいもりみつお)/みーさん

社会福祉系列2年3組→3年3組・サッカー部

世話好きなクラスのリーダー格。睦花と付き合っていると勘違いされがちだが、今の所は両片思い

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