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大町編  作者: 麦果
第1章 祀陵高校
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2. 祀陵の災難

「説明するよ」

 文丸(ふみまる)が写真を見せながら詳細を語った。

 8日、始業式当日の放課後。学校付近で目撃されたのを最後に、5人の生徒が行方不明となった。その5人とは祀陵高校の3年生でバンド活動をしている楽司(がくし)新坂(にいざか)錦ヶ丘(にしきがおか)吉成(よしなり)(かなで)の事である。

「もちろん親御さんから警察には言ってあるみたいだし、SNSでも拡散希望って出してはいるんだけど……まだ何も分かってない」

 文丸は自身が投稿した物を表示した。そこには概要と行方不明者の情報が簡潔にまとめられ、多くの人に共有されているようだが手掛かりになりそうな返信は皆無だった。出て来るのは友人を探している彼を励ます言葉と、それに対する彼の返事だけである。

「本当だ……」

「話はここまで、今日も探しに行くよ。大町君は僕、朝葉さんと一緒に来て」

「うん」

 一同は退店し、その場で各自散って行った。


 大町、文丸と朝葉は辺りの様子を伺いつつ、国道48号線沿いを市内方面へと進んだ。

「あいつら、どこで何してんだか」

「無事帰って来てくれるといいんだけど……錦ヶ丘君のギター、まだ聞けてないし」

「あたしも吉成のドラム聞きたい。去年、祀陵祭なかったもんね」

「それ、どういう事?」

 大町は二人に去年の事を教わった。

 祀陵高校では前の夏に女子生徒を狙った事件が起き、全国ニュースでも取り上げられた。その影響で休み明けの祀陵祭が中止となり、二人の失踪した同級生を見に行く約束は叶わなかったそうだ。

「そうだったんだ……あっ、それがあの、仙台末娘事件?」

 大町が事件名を思い出すと、文丸と朝葉が首を縦に振った。

「確か……お父さんと三つ子のお姉さん、他の親戚の人が祀陵の子連れ去ろうとしたり、それが出来なくて暴れ回ったりしたんだよね?」

「そうそう……あれ、吉成、僕のクラスだって言ってた気がする」

「錦ヶ丘君もそれ言ってた!」

「マジ!?」

 大町はたまげた。

「さっきのカフェも現場になったんだよ。あたし、被服部の子と見てたー」

「何それ初耳!!」

 大町と文丸は朝葉の話に食らい付いた。彼女は、最後まで逃走を続けた犯人がヌカボシに乱入し捕まるまでを終始見届けていたらしい。

 19時頃まで街中探し回ったが、今日も進展はなかった。

【学校法人南奥羽万路学院宮城万路高校】


土樋文丸(つちといふみまる)

実践教養コース3年7組・文芸部

錦ヶ丘の地元の友達、特に推理小説を好む



【宮城県祀陵(しりょう)高校】


葉山楽司(はやまがくし)

2年1組→3年3組・放送部

2days+(ツーデイズプラス)のリーダー兼ボーカル


新坂玲音(にいざかれおん)

2年1組→3年3組

2days+のベースで毒舌担当


錦ヶ丘奏真(にしきがおかそうま)

2年1組→3年2組・生徒会

2days+のギター、常識人ポジション


吉成還斗(よしなりかんと)

2年1組→3年3組・化学部

2days+のドラムで温厚キャラ


川平奏(かわだいらかなで)

2年1組→3年1組・放送部

2days+の紅一点ボーカル

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