20. 近況報告
8日。開店直後のヌカボシに大町と朝葉、文丸、凪輝、藤松が揃って歩み入った。
「おはよー。みんな、もうちょいしたら来るよ」
八幡がお冷を数人分運んで来た。
5分程経つと、天馬、椿、灯華が店に駆け込んだ。
「ごめん、待たせた!」
「大丈夫、僕達もさっき来たばっかだよー」
天馬と大町が一言交わした後、昨日までに石巻浦見台高校と祀陵高校で何があったのか、後から来た3人が交互に話した。
「それでね、あくまで私の予想なんだけど……向こうが狙ってるの、人じゃなくて、また、あの本なんだと思う」
「本、って……祖志継家のご先祖さん探したって話の?」
「そう」
灯華は続けて、その本が2年生事件で1度盗まれた事を椿と大町らに説明した。天馬や八幡など元1のメンバーは当時聞いたので知っていたようだ。
「で、それを持ってるのが、椿さんの友達の……須江さんなの」
「珠綺ちゃんが?」
「そう」
灯華によれば、元々その本の持ち主は須江の亡き祖父で、書斎に保管していた所を持ち出されたのを、彼女が犯人から返された後持つ事になったという。
「そうだったんだ……珠綺ちゃん、大丈夫かなぁ」
「大丈夫! その辺は私達が手を打っとくから」
「灯華ちゃん……ありがとう、お願いね」
「任せて」
灯華の頼もしい返事を聞き、椿は安心したようだ。
天馬と椿は別の用事があるようで、石巻浦見台高校の話が一通り終わった所で退店した。
「デートでもするんだろうよ、あのリア充め……で、万路生に別の話って?」
「中埣君が言ってた、サスペンス愛好会、って人達の事なんだけど……」
「サス好ぉ?」
朝葉が顔をしかめた。
「サス好はねぇ……変人、つうか物好きの集まりかなぁ。もちろん非公開のね。仙台末娘事件辺りから野次馬っつうか、周りで何かある度に首突っ込んでんだよね」
「そうなんだ……じゃあ、その人達は祖志継家とかあまり分かってない感じ?」
「全っ然! あたしらの方が分かってるよ、ねぇ?」
大町らはコクリとした。
「そうなの。本当、おかしいねぇ」
灯華は呆れ果てていた。
そこに、大町らにメッセージが送られて来た。
「進理君だ……『石巻にサス好居た!』って、嘘でしょ!?」
「噂してれば、あいつら……」
大町がメッセージの内容を告げると、朝葉が頭を抱えた。
【学校法人秀堂学園石巻浦見台高校】
須江珠綺
進学コース 2年1組→3年1組
バイオリンが得意なご令嬢。椿が東松島市に住んでいた頃の友達




