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未読
「痛っつぅ~~」
俺は1日を反芻しながら、独り自室のベッドでジタバタした。
現実の女子に対し諦観に似た悟りを開いていたはずなのに、軽いジャブで見事にノックアウトされてしまった。
俺の悩みはそれだけではない。
いま、手には小さな紙切れが握られている。
そこには『LINE ID』という見出しと、数字とアルファベットの組み合わせが並ぶ。
これは会長のものだ(おそらく)
生徒会予備室に取り残された時、長机の上で見つけた。
最初、部屋に入ったとき机の上には何も置かれてはいなかった。
状況から、これは会長がわざと残したものと見て、間違いない。
だが俺は未だメッセージを送れずにいる。
「これも何かのトラップではないか」
「オンラインゲームのネカマやオフパコに釣られる実況者のように、何者かが俺を陥れようとしているのでは」
そんな考えが駆け巡り、かなりの時間悶絶しっぱなしだ。
「ええぃ、毒を食らわば皿まで」
意を決し送信する。
『こんばんは、よろしく』
なんとも間抜けな文面だが仕方ない。
送るや否や。
「ドンドンドンドンッ」
部屋のドアが震えた。