異形
グレンラガンと彼岸島に喧嘩売る表現。
「それでは生徒会長、新垣あやめさんの開会宣言です」
放送部のアナウンスが流れる。
北畠と別れて1時間後、体育祭が始まろうとしていた。
既に入場整列は終わり、後は会長の宣言を待つのみだった。
タンタンタン。
会長がタラップを踏んで朝礼台に上る。
しかし、そこでざわめきが起きた。
手に不可解なものを持っていたからだ。
スピーチ原稿にしては『それ』は大きすぎるし、何より異様だった。
俺と会長の距離は50メートル程離れてはいるが、俺は『それ』をはっきり直感した。
例の『古書』だ。
頭の中を危険信号が駆け巡る。
ある嫌な予感が襲いかかるが、自分の理性がそれを否定する。
いつのまにか握った手は汗ばみ、背中には脂汗が浮き上がる。
教師陣と全校生徒がざわつく中、その予感は的中してしまった。
「招き奉る我の拍手にも畏くも
天降りましませ大御神
(をぎたてまつるわれのかしわでにかしこくも
あまくだりましませおおみかみ)
いくす・さてゅうす・らーす
」
瞬間、足元が抜けたような浮遊感に襲われた。
次いで目の前がまっくらになった。
気がつくと相変わらず会長は朝礼台に立っていた。
ただ会長の奇行をとがめる教師や生徒は誰一人いなかった。
運動場にあつまった全員がその場に昏倒していた。
いや、会長を含めて三つの人影を見つけた。
一つは当然会長、距離は俺から50メートルの位置。
もう一つは江崎、会長と俺の中間にいる。
最後は、妹の加奈、俺から見て右手、3時方向に15メートル程だ。
だが、特筆すべきは別にある。
朝礼台の前には、3メートルをゆうに超える異形の化け物が現れていた。
上半身は仁王像のような逞しい人間。
下半身は獣、おそらく山羊。
頭部からは山羊のものらしき角が一対生えていた。
なるほど鬼のようにも見える。
臀部からは長い尻尾が生えている。
だがそれらよりもっとも異質なのは、その股間に勃起した陰茎があることだ。
太さは丸太以上、長さは1メートルを超え、まるで天を衝くドリルのようだ。
どれ程、時間が経っただろうか。
数秒のようにも感じられたし、数時間の様にも思えた。
会長と化け物がゆっくりとこちらに向きを変えた。
もうすぐ終わります。




