信長
筆の乗ってる時に進めるスタイル。
校正?知らない子ですね。
「ほほう、つまりは某の力を借りたいと申すのでござるな」
「そのしゃべりかた止めろや」
妙に嬉しそうなのが腹が立つ。
しかし悲しいかなこれはオタクの性なのである。
普段役に立たないディープな知識や技術が褒められるとどうしようもなくはしゃいでしまうのがオタクとかマニアの性分なのだ。
「この本を読んでほしいんだけど」
あきらめて口調は無視することにする。
「ふむ」
俺は鞄から例の古書を取り出し渡した。
受け取った瞬間、北畠の目がスッと細くなる。
「貴殿、これをいずこで?」
「何か知っているのか?」
「ちょっと待っててもらえるか」
「分かった」
どうでもいいけど口調が素に戻ってんぞ。
そういう中途半端な設定なら止めればいいのに。
いつもと同じように俺は歴研のノーパソを立ち上げた。
次いで信○の野望を起動させる。
その間、北畠は奥の物置をごそごそやっていた。
「おお、見つけたでござる」
と言いつつ桐の箱に入った何かを持ってきた。
大きさは筆箱程度といったところか。
というかそんな大事そうなものを適当に置いてたのか。
やっぱダメだわ。
「それは」
「以前、貴殿とこの学校について語ったのは覚えておろう?」
「ああ」
はっきり覚えていた。
「この学校の敷地の一部が昔神社だったてことだろ」
「左様」
おおげさに北畠が頷く。
「某も先輩から伝え聞いたのだが、学校開設の際、その神社跡地から出土したものがあったのでござる」
「その一つがこれにて候」
「ということは……」
おぼろげながら話が見えてきた。
「もう一つが貴殿の持つ古書、皮で装丁された和本という訳でござる」
意外なところで情報を仕入れることができた。
北畠とつるんで初めて得をしたかもしれない。
まだ収支は圧倒的に-(まいなす)だが。
「どうしてこれを」
「依頼主の情報はしゃべれない」
後で会長、その他二人に何をされるか分かったものではない。
「なるほど、誰それからの頼みでござったか」
しまった。
こいつも妙なところで鋭いのを忘れていた。
余計な情報を与えてしまったがもう遅い。
「あいわかった、お力添えしてしんぜよう」
北畠は本を受け取ると机でうんうん唸りながら解読作業を始めた。
待っている間、俺は戦国大名・河野通直をプレイして時間を潰すことにした。




