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IWN(淫夢を狙え)  作者: MUR
第三幕
12/25

耳年増

 予想外の妹の様子に戸惑いながらも部屋の中に招き入れる。

 勉強机の椅子を加奈に譲り、自分はベッドに腰かける。

 ところが待てど暮らせど話を切り出す気配が無い。

 これがいつもであれば、俺のやらかしに対し罵詈雑言を浴びせてくるはずだ。ひどい時には殴ってくることもある。


「どうした」

 仕方なく俺から水を向ける。

「柿崎先輩のことなんだけど」

「やっぱり付き合ってるのか」

「ちがう」

 どうやら噂はガセだったようだ。

 なぜか一安心した。


「でも告白はされた」

「ファッ!?」


「うっさい」

 充血した目で睨みつけられた。

 おとなしく黙って聞くことにする。


「とりあえず返事は一週間待ってもらうことにした」

「なんですぐに決めなかったんだ」

「笑わない?」

「もちろん」

「恋人になったら多分キスとかするよね」

 力強くうなずく。


「ひょっとするとキス以上も」

「当然だろ」


 現役高校生の性欲舐めてもらっては困る。

 もしプラトニックな関係を貫くことが出来る奴がいるとしたら、そいつは隠れホモかEDに間違いない。


「そういうのちょっと怖い」

(ブッ)

 普段ビッチぽい加奈がそんなことをいうとは夢にも思わなかった。

 いつも友達と恋バナをしてるくせに、いざ自分の番になるとしり込みするとか、どんだけ純情なんだよ、プギャー。


 鬼の形相がそこにあった。


「ちょっ待てよ。首しめようとすんな、マジ柔道部はシャレなんないから」

 どうやら少し漏れていたらしい。

 危うく絞め落とされる所だった。

「で、どうするんだ」

「わかんない……」


 ラチがあかないので一つ提案してみる。

「俺が明日、明後日でどんな奴か詳しく聞き込みするからそれを参考にするか」

「ありがとう」

 普段ウゼェとしか感じない加奈も、こうあからさまに元気がないと、助けてやりたいと思ってしまう。

 俺もずいぶん甘いもんだ。


「先に風呂入ってこいよ」

「うんわかった」

 素直に部屋を出ていく加奈。いつもはこうはいかない。

 ちなみに、俺の後の湯は絶対に使おうとしない。


「さて」

 引き受けてしまったからには調査しなければならない。

 問題は俺の交友関係が絶望的に狭いことだ。


「あいつしかいないか」


 俺は数少ない伝手に連絡を取るためアプリを起動した。


 幼馴染の柔道部、江崎美智。

明日3/21午後8時10分次回投稿予定

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