出会い
ドアを開けると地獄だった。
いや、この書き方は正確ではない。地獄の始まりだった、が正しいだろうか。
しかしながら、その事実に気づくのは全てが手遅れになった後となる。
なぜなら、そこは美少女の園だったのだから!
「秋元君、どうしてここに?」
「いや、うっかり部屋を間違えたみたいで」
部屋奥の超絶美少女から質問を受ける。こころなしか笑顔が怖い。まるで尋問されているかのようだ。
黒髪ロングにぱっちりとした二重の瞳、端正な顔立ちに加えて、シャープな小顔。某秋葉原アイドルグループの基準を余裕でクリアしているだろう。
「ホントだろうな」
唐突に真横から手首を握られた、いやどちらかというと極められた。ギリギリと締め付けられる。お前こそ本当に女か、と喉まで出かける。
「痛いからやめてくれ」
だがその願いは適わなかった。かわりに意外な人物がいることに遅まきながら気づく。
「なんで加奈がこんな所にいるんだよっ」
「こっちもビビったよ、兄貴がいきなり現れて」
俺の背後に回り込んで、ボックス入り口ドアを、キィ、と閉めた。
「「「何を見た?」」」
「いや、何も見てないけど、『アッー』ていう悲鳴だけしか」