叱責はごもっともですが、まずは迷子を探しましょう
さようなら、愛しい人の友人視点です
名前が出てこないのは思いつかなかったから
・・・誰か私の代わりにつけてあげて←おい
「・・・帰る・・・!」
「ティア!ちょっとティア、待ちなさい!
貴女また迷子になるつもり!?」
キラキラと光る白銀の髪をたなびかせて突然走り去った親友に咄嗟にのことで繋いでいた手を離してしまった私は悲鳴を上げた。
フェスティシア・フォン・シュバルツ、それが私の親友の名前。
小柄な体躯に、愛らしい顔立ちで正真正銘伯爵家の高貴な身分の子なのに優しくて庶民の私なんかにも差別をせずに接してくれる自慢の親友。
そう自慢の親友・・・なんだけど、彼女には欠点があった。
それは極度の方向音痴なところ。
事実、ちょっと飲み物買ってくると観覧席から離れた彼女を見つけて戻ってくるまでに10時間以上もの時間がかかってしまった。
その間に予選から決勝まで試合は進み、優勝者まで決まってしまう始末。
飲み物を売ってる露店が観覧席から3分も歩かない場所にあったから油断してしまった私が悪い。
露店は目と鼻の先にあったのに、彼女がいたのはてんで違う場所。
一人でどこかに行かないの!
もう大会終わっちゃったわよ、だから一緒に行くって言ったのに!
何かあったらどうするのよ!
などなどと注意をしながらようやく見つけた奇跡的に買えてたらしい袋を持つ彼女の手を引いて私はリオージェ王子の元に向かう。
彼女の婚約者サマは溺愛してる婚約者がいないのに試合中に気がついていたらしく、序盤からすでに不安そうだったのだ。
彼女の無事な姿を見せてあげなきゃ!と奇妙な使命感に駆られていた私は手を引かれている彼女がどんな顔をしているのか気づけていなかった。
王子サマの姿を遠くに見ながら
「王子、優勝したんだよ。
見れてなかった分いっぱいお祝いしてあげないとね」
と彼女に声をかけた瞬間。
彼女は冒頭のセリフを叫んで走り去っていったのだ。
あー、何かまた思い込んでるな・・・。
小柄な彼女は人混みの中すぐに消えて見えなくなってしまい、小さくため息をつく。
こうなると探すのは厄介だ。
大会も終わり、続々と観戦者達が帰途につこうとザワザワしてるこの会場内。
まるで子供のようなサイズの彼女をこの人混みの中から探すのはなかなかに至難の業だ。
さてさて。
後ろから聞こえるリオージェ王子の声に私は更に深いため息をつきつつ、腕につけた魔輪をなぞるように撫でる。
彼女に魔法は一切通用しない。
つまり探すときも完全に人力になる。
なぜ目を離したのかと、ある意味理不尽で彼女に対しては当然な叱責を覚悟しつつ、私は振り返りいつものようにこう言うのだ。
「叱責はごもっともですが、まずは迷子を探しましょう」
苦労性な常識人です
同い年で、階級的には天と地ほどもティアと差がありますがティアもティアの家族も対等に彼女の事を扱ってます
むしろティアの両親や兄妹達は学園でのティアの迷惑のかけぶりに親友ちゃんに頭があがりませんw
オージも親友ちゃんを保護者として認識しているため自分がいない時にティアが迷子になると彼女のせいにしたりしますw




