第十話 【最終評価】
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最終評価/本配属
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【最終評価】
管理端末の画面には、仮配属評価の最終一覧が表示されていた。
氏名。
仮配属先。
希望部署。
評価者名。
総合評価。
所見。
形式は、これまでと変わらない。
ただ一行だけ、最後まで変化しなかった。
【評価者コメント:未提出】
評価者名:九条 怜
期限表示は、すでに赤に切り替わっている。
それでも状態は「遅延」にはならない。
提出されていないのではない。
提出されない状態が、維持されている。
九条は、端末から視線を外さなかった。
内線が鳴る。
「最終確認です」
声だけが届く。
部署名も、名乗りもない。
「当該新入社員、瀬戸遥斗。仮配属期間は本日で終了します」
九条は応答しない。
「評価が存在しないため、本配属審議には上げられません」
淡々とした事実確認。
「規定に従い、処理対象へ移行する判断となりますが――」
「異議はない」
九条が答えた。
一拍。
「ただし、処理理由は訂正する」
「訂正内容を」
「評価不能では、不十分だ」
沈黙。
「本件は、評価を成立させないまま完了する」
沈黙。
「本件は、評価を成立させないまま完了する」
端末の画面が更新される。
【最終評価:未確定】
【状態:観測終了】
評価はしない。
処理もしない。
ただ、観測を完了した。
それが、この案件の最終形だった。
「記録として残します」
「それでいい」
内線が切れる。
九条は、評価欄を見つめたまま、指を伸ばさなかった。
埋める必要はない。
埋めてはいけない。
それが、この案件の最終形だった。
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