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私は、涙がこぼれそうになるのを必死でこらえていた。けれど――確かに、何かが心の中で、すうっと冷たく、静かに消えていくのを感じた。
それはきっと、彼に対する愛とか、未練とか、執着とか……そんなものだったのだろう。
あの最後の戦闘の日、命をかけて守ったのは、密かに想いを寄せていた男の命だった。だが、それと引き換えに、私は騎士としての未来も、女として愛される未来も――すべてを失った。それでも当時の私は、アレグランを守れたことが、ただ嬉しかった。
だから結婚を申し込まれたときも、「責任をとる必要なんてない」って言った。「同情じゃ、幸せになれないから」って、ちゃんと伝えた。
それでも――アレグランが、「これから愛を育てていこう」って言ってくれたから。
私は信じたんだ。
騎士でなくなっても、顔に醜い傷が残っても、女として、妻として、これから愛されるのだと……そう信じてしまった。
私が、ばかだった。甘かったんだ。
私の頬にあるこの傷は私にとっては“勲章”でも、アレグランにとっては忌々しい足かせだったのかもしれない。
アレグランの本音を聞いた夜、私は一晩中、声を押し殺して泣いた。
今さら何を言われたって、もう戻れない。信じた気持ちごと、壊れてしまったから。
アレグランとの関係に終止符を打つために。
新しい人生を歩くために――
私は泣ききった。朝が来るまで、すべての悔しさを流しきるように……




