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夫がよそで『家族ごっこ』していたので、別れようと思います!  作者: 青空一夏
第二部

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【レオン視点】


 俺は広場の壇上から、眼下に並べられた罪人たちを見下ろした。

 ざわついていた群衆も、俺が一歩前に出ただけで静まり返る。視線はすべて、俺に集中していた。チャスはまだ目を逸らしたままだ。アルトの作った氷の中に閉じ込められながら、顔をしかめている。


「チャス・レイフォード」

 俺が名を呼ぶと、その場の空気がぴんと張りつめた。奴はぎこちなく顔を上げたが、その目にはもう、あの傲慢な光は残っていなかった。


「お前は王より預かった騎士団の権威を私物化し、その地位を使って民を裏切り、子供たちを金で売り飛ばした」

 俺の声は、風に乗って広場の隅々にまで届く。それを遮る者はいない。息を呑むように、皆が耳を澄ませていた。


「お前の行いは、騎士である前に人として終わっている」

 チャスが小さく唇を動かすが、言葉になっていない。もう言い訳など、意味を成さないのだ。


 俺はゆっくりと右手を掲げ、はっきりと宣言した。

「チャス・レイフォード。お前は公開処刑とする!」


 言葉が落ちた瞬間、どよめきと賛同の声が広場を揺らした。誰もがその裁きを待ち望んでいたのだ。民衆の怒りも、正義も、いまここに結実した。


 チャス、これが、お前の結末だ。

 自ら積み重ねてきた罪の重さ、骨の髄まで思い知れ!


 

【エルナ視点】


 旦那様の声が広場に響いた瞬間、私は正義が勝った瞬間だと感動すらした。

 「……公開処刑とする!」

 その言葉を、私は確かにこの耳で聞いた。 


 ざわめきが広場を駆け抜け、民衆たちの間に賛同の声と歓声があがった。孤児院で働いていた女性の証言にもあったように、子供たちが次々と姿を消していたのだ。真相が明らかになった今、民衆たちの怒りは凄まじかった。


 私はチャスを見つめた。あの男は、うなだれたまま微動だにしない。茫然自失とはこのことか。あれが、かつて“正義”を掲げた騎士の末路なのだと思うと、喉の奥がひりついた。しかし、子供を“カボチャ”と呼び、無垢な命を数字で数えていたあの男に、もはや同情など不要だ。


 氷が溶けた数日後、チャス騎士団長の公開処刑は滞りなく執行された。

 そして同じ場で、ガスキン子爵もまた、同罪として処刑された。


 領主として本来ならば、騎士団の不正を止める立場にありながら、それを見て見ぬふりをしていた――いいえ、利益の話を持ちかけられて断ったとはいえ、何も行動を起こさなかった。その責任はそれだけの重罪に値する。


 ガスキン子爵が所持していた音晶石には、孤児を他国へ売り飛ばす取引に加わらないか、と誘う生々しい声が残されていたのだから。


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