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夫がよそで『家族ごっこ』していたので、別れようと思います!  作者: 青空一夏
第二部

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22 

 出発前、私はアイビーの手を取った。

「もう大丈夫。これから私たちがすべてを明らかにするわ。あなたも一緒に来て、堂々と顔を上げて証言してちょうだい」

「……はいっ」

 その目に浮かぶ涙を見て、私はやわらかく頷いた。


 そのすぐ後――荷車に荷物が積まれ、馬にまたがる騎士たちが静かに集まってくる。王都騎士団の一行は、まもなくガスキン地方へ向けて動き出そうとしていた。


 ルカは制服姿の騎士たちをきょろきょろと見回しながら、アルトの背中にぴたりと寄り添っている。

「ママといっしょに、ぼくもおてつだいするんだ」

 小さな声でそう言ったルカに、私は目を細めた。

「ルカもアルトも一緒よ。家族全員で行きましょう。」


 そう言いながら馬車の扉をそっと閉じると、私は足元の裾を払って、横に立つ旦那様を見上げた。この装いは、陛下から賜った特命騎士用の礼装──見た目は上品なドレス風だが、実は騎乗にも適した特注のキュロット仕様になっている。胸元には特命騎士の徽章が光り、背中に掛けた細身の剣が、私がただの貴族の妻ではないことを物語っていた。馬にまたがると、隣に立つ旦那様と目が合った。ふと微笑むと、彼も口元をゆるめる。


「準備はいい?」と問いかければ、旦那様は「いつでも」と短く頷いて、手綱を握った。朝靄が街を覆い、街灯もまだかすかに灯っていた。私たちは、王都の石畳を馬で進みながら、すぐ後ろを騎士団の一団と、ルカとアルトを乗せた馬車が続いていく音を背に感じていた。


 今回は、魔力で加速する特別製の魔導馬車と、王都騎士団でも屈指の脚力を誇る魔導馬を使っての遠征だ。道中の補給も騎士団が事前に手配してくれており、私たちは途中ほとんど足を止めることなく、ひたすら目的地へと向かった。


 ガスキン地方の門前に到着する頃には、空はすっかり夜の帳に包まれていた。私たちが姿を現すと、駐屯していた騎士たちが目を見開き、慌てて整列した。辺りには、遠くからでもわかる緊張の空気が漂っている。私は馬から静かに降り、マントの裾をさっと払って特命騎士徽章を見せる。


「王命により、特命騎士として来ました。ガスキン地方警備騎士団への調査を行います。――まずは、ただちに門を開け、私たちの指示に従いなさい!」

 はっきりと告げると、門番の騎士たちは息を呑み、揃って深く頭を垂れた。


 私の隣に馬を並べていた旦那様が、一歩前に出る。

「我ら王都騎士団は、王命のもと動いている。滞りなき受け入れと、全面協力を頼む」

 その低く静かな声が響いた瞬間、門前の空気が一気に張り詰めた。王都騎士団長としての気迫を、誰もが感じたのだろう。騎士たちは最敬礼の姿勢で、頭を下げ続けていた。


 ──さて、ここからが本番よ。


 私は背後の馬車に目をやる。ルカはぐっすりと眠っていて、アルトがそのそばに優しく寄り添っているだろう。私のだいじな子たち――宝もの……この子たちに格好いいところを見せなきゃね。


 ママは頑張るわよ!






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