表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夫がよそで『家族ごっこ』していたので、別れようと思います!  作者: 青空一夏
第二部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/69

おまけ コミカル版ざまぁ

 ※こちらは本編とは別のおまけです。コミカルです。残酷ではありません。

 •───⋅⋆⁺‧₊☽⛦☾₊‧⁺⋆⋅───•



 修道院に入って、私は悟った。

 ここは――私の知っている世界とは、まるで違っていた。


 まず、朝起きる時間。

 五時ではない。四時だ。

 しかも、起床の鐘など鳴らない。鐘の音に頼るのは甘え、というのがこの修道院の教えらしい。

 代わりに、厳しい修道長の怒鳴り声が、石造りの廊下に響き渡る。


「眠れる仔羊ども! 神の光を浴びよ!」


 いや、浴びたくない。眠い。寒い。まだ夜です。


 涙目で起き上がり、冷水で顔を洗い、朝の祈りへ。

 祈りは二刻。立ちっぱなし。もちろん、微動だにしてはいけない。

 一度、寒さに震えたら、「動くな」と厳しく叱責され、腕立て伏せを10回×3セットさせられた。

 なぜ、神への祈りで鍛錬を課されるのか。問い詰めたい……


 食事は一日二回。

 朝は黒パンと野菜スープ。ソーセージや卵は二日に一回しか出てこない。

 夜は豆やじゃがいも中心で、肉はたまに、ほんの少しだけ。しかも、食事中は一言も喋ってはならない。音も立ててはならない。

 スプーンが器にカチンと当たっただけで、「無駄口に値する」とされて罰を受けた。

 解せぬ……。


 労働も厳しい。

 修道院の畑で雑草をむしるのは当然として、夏場は重い桶を担いで水を運び、冬場は凍った地面を耕す。

 「自然と一体になれ」という教えらしいが、指がかじかんで自然と一体になる前に、指先が自然に死にそうだった。


 さらには戒律の数々。

 一、笑ってはならない(神の前では常に厳粛であれ)

 一、鼻歌を歌ってはならない(この意味は修道院長もわからないらしい)

 一、くしゃみをしたら三度祈れ(悪魔が隙を狙っているため)

 一、鳥を羨ましがってはならない(自由の象徴ゆえ、禁忌らしい)


 最後の戒律を聞いたときは、さすがに泣いた。

 鳥くらい、自由に羨ましがらせてほしい。


 夜、ひとり寝台に沈みながら、私は小さな声で呟く。


「……私、いったい、何をやらかしたのかしら」


 思い出すたび、胸が痛む。

 そして次に、無性に笑いたくなる。

 こんな、過酷な、ばかばかしい戒律に泣かされる自分が、あまりにも情けなくて。


 夜空に瞬く星を見上げ、私は固く誓った。


「もしあのときに戻ってやり直せるのなら……今度はエルナさんと仲良くします……絶対に神殿に告げ口になんか行きませんっ!」


 けれど、当然ながら時間が巻き戻るなんて奇跡は、私には訪れないのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ