ピンチ、ピンチ!
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──ピンチ、ピンチ!
『ファイアフライからウォースパイト! 敵がこちらを狙って発砲!』
『ウォースパイトからファイアフライ、了解。反撃を許可する』
アーサーたちを狙って空賊が機関銃を発砲。アーサーは射線に入らないように巧みに飛びながら、飛行艇へ急ぐ。
『ファイアフライからソードフィッシュ! 攻撃を許可する!』
「了解です!」
私は狙いを定めていたエンフォーサー小銃の引き金を絞る。乾いた銃声が空に響き、アーサーを狙っていた機関銃に銃弾が命中。
「敵機関銃沈黙!」
まずはひとつ!
『こちらファイアフライよりソードフィッシュへ。陸戦隊員を降下させる。援護を!』
「了解!」
私は空賊の飛行艇の甲板に到達したアーサーたちを狙う敵を探し、空賊の飛行艇周辺を飛び回る。機関銃は両舷に設置されているので、後方に回り込んだアーサーたちはその射線から逃れている。
だが、まだ油断はできない。
『陸戦隊員が降下!』
ラムリー中佐とヘイワード中尉たちがエンフォーサー小銃を手に、空賊の飛行艇内に突入していくのが見えた。ここまでくれば敵はアーサーを狙えない。そう思っていた。
空賊のひとりが船橋から身を乗り出すのが見え、次の瞬間私はその手に小銃が握られていることに気づいた。
狙いはラムリー中佐たちではない。アーサーだ!
「ソードフィッシュからファイアフライ! 狙われています! 回避を!」
『了──』
銃声が空に響き、アーサーの体がグロリアとともに揺らいだ。
被弾したのはグロリアだ! グロリアの左翼をライフル弾が突き抜け、姿勢を崩したグロリアがそのまま降下を始める。
現在、私たちが飛行している高度は2000メートル。この高度から落ちれば……!
「ああ! ワトソン、追いかけて!」
「分かった!」
ワトソンが急降下し、バランスを崩したまま落ちるアーサーとグロリアを追う。
高度計が急激に地上に近づいているのを知らせる中で、私とワトソンは降下を続ける。そして、何とかアーサーと並ぶ高度まで降りてきた。
「アーサー! グロリアの姿勢を立て直してください! こちらで負傷した左翼を支えますから! 急いで!」
「分かった!」
アーサーはグロリアを落ち着かせて何とか姿勢を整えさせ、それを助けるために私とワトソンが負傷したグロリアの左翼を抱えて持ち上げようとする。
高度計の数字が安定していき、何とか海面ギリギリで私たちはホバリングした。
「大丈夫ですか、アーサー、グロリア!?」
「大丈夫だ、ストーナー伍長! グロリアも落ち着いている。すまないがウォースパイトに戻るまで支えてくれるだろうか?」
「もちろんです」
私とワトソンに支えられて、アーサーとグロリアは高度上げ、ウォースパイトへと帰投する。グロリアは苦痛に時折顔を歪め、その度にアーサーはグロリアを励まし、彼女の頭を撫でていた。
そして私たちは無事にウォースパイトに着艦。
「ジョンソン中尉! ご無事ですか!?」
「私は大丈夫だ。しかし、グロリアが負傷した。手当を頼みたい」
「すぐにホーキンス先生を呼んできます!」
ウィーバー上等兵が竜医のホーキンス先生を呼んできて、ホーキンス先生は早速グロリアの傷を消毒して治療し始めた。
「ジョンソン中尉、ストーナー伍長。ご苦労だった。助けあったおかげで誰も死なずに済んだぞ。ラムリー中佐からも人質を無事に奪還し、敵を制圧したとの報告を受けている。本当に、本当によくやった!」
「ありがとうございます!」
イーデン大尉が感激したのか涙を僅かに浮かべて言い、私たちは敬礼を送った。
こうして私たちは無事に空賊の取り締まりに成功した!
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