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通り魔

作者: かま

自身で制作したボイスドラマ(https://youtu.be/wxpNW2VqFKQ)を小説にしたものです。

 大学に向かう準備をしながら、垂れ流しにしていたテレビの音声に耳を傾けた。


「…通り魔」


 最近、SNSを中心に問題となっている通り魔。


「同じ話題ばっかりだな〜」


 よく飽きもせずに同じ話題ばかりに触れることができるなと思うが世間はそうじゃない。

 通学中の電車の中でSNSを開けば、そこにも通り魔という単語が羅列されている。

 道端で襲われるという本来の通り魔とは違い、未知の部分が多い話題の通り魔に皆怯えているんだろう。次は自分が被害者になってしまうのではないか、目の前の人物がもしかしたら通り魔なんじゃないのか。そんな小さな不安に囲まれているからこそ、SNSで不安を共有して小さなコミュニティを作っている。皆、自己防衛で必死なのだろう。

 あまりSNS事情に詳しくない俺でもある程度自然に通り魔のことを知ってしまうくらいには通り魔という存在が認知され、溢れている。SNSやニュースはもちろん、電車の広告や大学内の貼り紙にも通り魔に注意という文言がある。どこもかしこも通り魔だらけ、といった状況になっている。SNSフォロワー十数人の俺からすれば通り魔は縁遠い存在だろうと思っていたが、知らないうちに近しい存在になってしまっているのかもしれない。

 そんなことをぼんやり考えながら、今日も電車に乗り、大学に向かう。そして、面倒な講義を受けて課題を片付ける。世間が騒がしくてもやることは変わらない。


「…疲れた」


 また一段と難しい内容の講義だったノートを見ながら思う。ただ、幸いなことに課題自体は楽なものだ。講義で固まった背筋をぐっと伸ばして、リュックに入れたスマホを取り出す。これくらいの課題であればスマホでも終えられるだろうと画面をタップする。


「ん? 妙に通知が多いな…」


 嫌な予感を覚えながら、メッセージアプリを開くと都市伝説好きの友人からメッセージが送られて来ていた。

 嫌な予感が的中した。この友人は都市伝説の話題になると突拍子もなくなる。最早嫌がらせレベルなのでは、と思いながらもメッセージを遡る。

 どうせ謎のオカルトトークだろうと思っていたが、それは違った。また、通り魔について。そしてリンクが添付されている。友人曰く、突如として現れた通り魔発見ツールらしいが、どうも胡散臭い。それに友人は通り魔認定されてしまったとのこと。友人が加入しているオカルトグループでも通り魔認定された人が多く、悪趣味なジョークツールとしてSNSでは炎上中らしい。最後にお前もやってくれとメッセージが送られてきた。

 それくらいなら付き合ってやろうとリンクをタップする。そこに表示された説明に従い、作業を進める。アカウントを登録したり、質問に答えたりとそれなりの量の作業を終えるとロードが始まる。

 ロードが終わり、あなたは通り魔ではありませんという文字が画面に表示された。


「出るじゃん、通り魔判定以外も」

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