第4話 ヨウタ
野外に置かれた収納箱に上体を突っ込んでいるヨウタ。
「何を……しているんですか?」
「整理」
近くに感じた気配から予想通りの質問を受けたヨウタは、想定通りの答えを返した。
「整理? 整理って……」
ヨウタは収納箱の周りに置かれた大量の物を、手当たり次第に収納箱の中へ投げ込んでいる。とても整理しているとは思えない音を立てながら物が投げ込まれていく収納箱を前に、呆然としている気配を感じ、ヨウタは愉快そうに笑った。
「そんな入れ方して、出すの大変じゃないですか?」
「平気平気。適当に手を突っ込めば、大体、欲しい物に届くから」
「それはもう、ある意味才能では……」
その言葉に声を上げて笑ったヨウタは、自身に向けられる呆れた気配を見遣る。
「それに……」
そこで言葉を切ったヨウタは、力強く親指を立てた。
「放っといたら、ハルトが整理しといてくれる!」
「それ分かっているなら、入れる時に整理すればいいのに……」
「嫌だ、面倒臭い」
返答の代わりに溜め息を返されたヨウタは、手の届く位置から物がなくなったことに気付くと、少し離れたところに散らばる物を収納箱の側に投げ始める。
「雑ですね」
「壊れるような物ないからね」
そう言いながら最後に、ヨウタは鶏を抱え上げた。
「えっ……ちょ、ちょっと!? それ入れる気ですか!?」
「うん。スペースあって入りそうだし」
「生き物ですよ!?」
「そうだね」
「そうだねじゃないです! 駄目ですよ!」
「なんで?」
「いや、なんでって……生き物ですよ!?」
慌てる声に耐えきれなくなったヨウタは、鶏を置くと腹を抱えて笑い出した。
「ごめんごめん、嘘。冗談。どんな反応するかなと思って。ちょっとした好奇心」
「私で遊ぶの、やめてください……」
「あははは、ごめんって」
ヨウタは笑いながら、再び収納箱へ物を投げ入れ始めた。