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第2話 エミ
広場で剣を振るうエミ。剣士である彼女は、時々こうして軽快に剣を振るっては汗を流している。
「エミさんの剣捌きは随一ですね」
背後から聞こえた声に振り返ったエミは、向けられた言葉に謙遜の言葉を返した。
「そんなことないですよ」
剣士として褒められるのは、純粋に嬉しい。そう思いながらもエミは、素直に感謝の言葉を口に出来ない自分に苦笑した。
「剣の腕は然ることながら、エミさんは笑顔も素敵ですよね」
「なんですか、急に!?」
突然の褒め言葉に、エミは剣を取り落として赤面する。
「エミさんの周りにいる人みんな笑顔になっていくのは、エミさんの太陽みたいな笑顔のお陰なんだろうな……と思って」
「いやいやいやいや! そんなことないですって!」
紅潮した顔の熱さに耐えきれず、エミは両手で顔を仰ぎ始める。それでも収まらない熱を抱えながら、受け取った言葉を思い返し、エミは顔を上げた。
「ありがとうございます!」
そう言って笑ったエミは、太陽のように眩しい表情を浮かべていた。