花と空と夜と月と彼と《彼》
花が枯れると
心に寂しい歌がながれる
空が曇ると
心に寂しい虹が架かる
夜が息苦しいのは
心に痛い未来が怖いから
おぼろ月
ほんのりと
ほお染めて
酔っている
さなか
彼は
罪びとの顔をして
無実を信じている
彼は
そんなことだから
幸せって顔をして
夜を歩くんだ
彼は
一向にへらない情熱を
持て余した突風の吹く道をゆく
彼は
前と夢とを見てる
ただそれだけ
彼は
それから蜃気楼になるのだとしても
ただそれだけ
彼は
ゆっくりと
彼は
ゆっくりと
歩くんだ
立ち止まらずに
何処へ
無垢なる闇へ