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良希??歳 信之??歳 

これで最終回。

 東静夜は怒っていた。

 怒髪天の勢いで怒っていた。


「正座!!」

 本当は外で正座させたかったが仕方ないので剣道道場で二人を正座させることにした。


 しゅたっ


 馬鹿二人は並んで正座をしている。


「俺が悪いので良希を責めないでください!!」

 うるせえ!!

 鼓膜が破れるだろう。


「あっ、兄貴……信之じゃなくて俺が……」

 ぼそぼそというんじゃねえ!!


「黙ってろ!!」

 一喝。


 びくっ

 二人が震えあがって黙る。


「おい、てめ~ら」

 竹刀でぼっこぼこにしてやりたいが、それは竹刀を持つ者としてはしてはいけない事だと理解しているのでやらない。


 だが、叩きのめす事が出来るのなら今すぐしてやりたい。


「自分たちの立場分かっているのか」

「「………」」

 反論できないよな。分かっていたら。


「それなのにどうして、子供が出来るんだろうなぁ~」

 身を縮ませる。


「説明しろ。くそ弟」

「…………高校と大学で別れてしまって寂しくなって、その……」

 くそ弟がぼそぼそと説明する。


「で、何でそれに乗っかった? 生意気ガキ」

「良希が可愛かったからです!!」

「よぉし。歯ぁ食いしばれ!!」

 殴っていいんだよな。よし殴ろう。


「兄貴がいい顔をしている……(悪い意味で)」

 心の声がただ漏れだぞ。誰がしゃべっていいと言った。


「俺はいくらでも殴っていいので良希は殴らないでください!!」

 むんっ

 何堂々としてやがる生意気ガキ。


「信之……」

 感動しているんじゃねえくそ弟。


「反省してねえな」

「海よりもしています!!」

「意味分かんねえぞ!!」

 なんでそこで海が出てくる。沈みたいと言っているのなら勝手に沈んで来い。


 この馬鹿なんとかならないかと呆れてものが言えなくなっていたら。


 ずずっ

「失礼します」

 道場に一礼して入ってくるのは。


「小夜子……」

「小夜子ちゃん」

 この馬鹿のせいで苦労している妹の姿。


「お兄ちゃんの対応は私がしますよ」

 にっこり

 ……………目が笑ってねえな。


 汗だらだら流しているガキにざまあ見ろと思いつつ、見学体制に入る。


「――お兄ちゃん」

「さ…小夜子……」

 何を言い出すのか怯えているガキに、

「責任取れないうちに手を出さないと言っていたのはどこの誰だったでしょうね~」

 ぴくぴくっ

 血管が浮き上がっているな。


「私は馬を兄にしたつもりはないけど。あっ、馬と比べたら馬が可愛そうね」

 ぐさぐさっ

 言葉の刃が容赦なく切りつけているな。


「私の兄はいつの間に自分の稼ぎで家族を養えるようになったのかな~」

 ぐさっ


「一人前の男になってから結婚すると聞いていたんだけど~」

 ぐさぐさっ


「ああ。手を出す速さは一人前の男って事なのね!! 知らなかったな~」

 ぐさぐさぐさっ


「最低」

 ぽきっ


 あっ、真白になっているな。


 自業自得だと思いつつまだまっ平らな腹を見る。

 この馬鹿な弟から赤ちゃんが出来たと報告されたのは数分前。


 赤ん坊は嬉しい。

 ある意味自分と同じ血が流れている者に嫌悪感を感じていた自分も弟もそんな存在を持ちたいと思えないだろうなと思っていたのにその報告をされて嬉しいと思える自分に驚かされた。


 誰もがお祝いモードになっていたが、ここでこの馬鹿たちが、大学一年生と高校三年生だという現実を叩きつける者がいないといけないと思ったのでその貧乏くじを引く事にした。


 説教の始まりである。


 だが、その嫌われ役に小夜子まで加わるとはな……。


「良希」

「はッ、はい!!」 

 いつもなら何と返すだろうけど状況を理解しているな。

 

「守れるのか?」

 言いたいのはそれ。


「俺たちを産んだ奴は自分勝手な理由で俺達を捨てた。お前は自分勝手な理由で子供を作って都合が悪くなっても守れるのか」

 学校もある。勉強も。仕事もするだろう。そんな苦労をする中子供まで世話を見れるのか。


「…………」

 じっと床を見て。


「…………自信はない」

 はぁ!?

 何をいきなり言い出すんだ。このクソガキが。


「でもっ!!」

 顔を上げる。

 キラキラと金色の目と合う。


「俺は一人じゃないからっ!!」

 その目を知っている。


 守るためなら手段を択ばない目だ。


「手伝ってくれるだろう。兄ちゃん」

 確信している目だ。


 ったく。

「人を当てにすんじゃねえ!!」

 ぼこっ

 頭を叩く。


「っ!!」

 痛いと手で押さえているが叩いただけで強く殴っていないぞ。いつもなら殴っているからな。


「………ったく」

 舌打ちをするが、口の端が緩む。


 頼るのが苦手だった馬鹿な弟が助けてと言えるようになったのは大きな進歩だ。それを出来るようになったのは。


(お前のおかげだろうな…)

 いまだ真っ白になっている信之に視線をやる。


「仕方ねえな」

 手伝ってやると告げると。


「ありがとう!! 兄ちゃん!!」

 と突進するように抱き付いてくる。


「急に動くな」

 お腹の子供に響くだろうが。


 叱りつけるがこの空気を読まない……いや、空気を読んでいるからわざとだろう馬鹿弟は。


「兄ちゃんと雷斗に子供が出来たら俺も手伝うからね!!」

「なにぃぃぃぃ!!」

 真っ白になっていた信之が復活した。


「お義兄(にい)さん。どういう事ですかッ!? なんで雷斗とッ!?」

 わあわあ騒ぐクソガキに。


「うるせえ!!」

 と物理で黙らせる。


「なんで気付いたんだ?」

「だって、俺耳良いし!!」

 バレバレだったよと告げるクソガキに。


「誰かに言ってねえだろうな」

「言うわけないじゃん」

 まあ、そうだろうな。


 取り合えず、騒いでいる信之の口を封じとけばいいかと思っていると。


「静夜さん」

 にっこり


「静夜さんは分別があると信じてますので」

 と、倉田家最恐の存在が脅すのをこくこくと頷いてしまった。


 この馬鹿のような事はしないと心に誓い。結婚する時にようやく手を出す事が出来るのはまた別の話。






 倉田家の遺伝子の恐ろしさを知らされるのはそれからすぐ。

 良希が子だくさんの一家を作るのは。

 



結婚させる終わり方をさせる時はなぜか子だくさんの家庭にしたくなります。子供が出来ない設定の場合は養子がいっぱい設定になったり。つまり大家族に憧れているんですよね。


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