表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/43

良希16歳 婚約のやり直し

予想外の事が前話にあり、止まってしまいました。(言い訳)

 病院の一室。その扉の前。


「………」

 不安げに視線を揺らして、良希はドアノブに手を伸ばしている。


 意識を取り戻した。


 その連絡が来たので病室に来たのだが、いざ病室お前に立つと不安が込み上げたのだ。


 本当に………。

 不安。


 身体が震える。


『あんたさえいなければ!!』

 あの言葉はいまだ呪縛のように身体を蝕む。


(俺のせいで爺ちゃんが………)

 すべて自分のせいで起きているのではないかと錯覚するほどその言葉にずっと縛られていたのだ。


 がたがた

 震えてドアノブを持つ事が出来ない。


 すっ 

 ふとその震える手が握られる。


「…………ッ」

 そこには番の姿。


 大丈夫。


 眼差しが向けられる。


 包み込むような”音”が彼からする。


「ありがとう。信之」

 勇気が出る。


 そっと扉を開く。


「遅いぞ!!」

 苛立ったように椅子に足を組んで座っている静夜と。


「よく来たな」

 嬉しそうに笑うベットの住人。


 ずっと寝たきりだったから身体が思うように動かないという感じだが、そこには確かに。

「爺ちゃん!!」

 大事な家族の元気な姿。


 思いっきり抱き付いてしまう。


「危ないだろうっ!!」

 注意する兄貴の声に答える余裕なんてない。


「良希の事を言えんだろう。お前も泣いていたくせに」

 爺ちゃんの言葉に。


「っ!! んなわけ………」

 そっぽ向いて事実だと態度で告げている兄貴の姿。


(ああ………良かった……)

 喪わなくて……。


「彦五郎さんっ!!」

 ドアのところでじっとこちらを見ていた信之が大きな声を上げる。


「起きたところそうそう申し訳ありません!!」

 床に腰を下ろして正座をする信之。


「良希と正式に番の契約を結びました!! だから改めて結婚を前提に婚約させてください!!」

「信之……」

 なんでいきなり……。


 いや、そもそも俺と信之は……。


「あの時はまだ番だと確信を持てないで一方的だった。だから改めてお願いしたいんです」

 良希の家族になりたいのだと。


「……………」

 爺ちゃんは黙っていた。


「――静夜」

「決めるのは俺じゃねえ」

 兄貴はそれだけだった。それは反対をしないと言っているのと同義だと言うのに――。


「一緒に幸せになれるかい?」

 真っ直ぐな強い声だった。


「良希だけを幸せにしようとしないで二人で一緒に幸せになれるかい?」

「そこに良希がいれば」

 信之の言葉はただそれだけだった。


「そうか……」

 頷く。


「良希は?」

「じ…爺ちゃんがいて……兄貴がいて……信之がいて……倉田家のみんながいれば十分幸せだよっ!!」

 我が儘だと言われるけどそう思ったのだ。


 全部欲しいのだ。


 だって……。

「俺は、最初の話の時にみんなの家族になれると聞いて嬉しかった……」

 兄貴……兄ちゃんだけだった。

 信じられる家族は。


 それが爺ちゃんに出会って、爺ちゃんに厳しくとも優しく育ててもらえて。

 家族というものを教えてもらった。


 そこに信之が加わると聞いて嬉しかった。

 倉田家みんなが俺の家族になるのだと知って婚約すると決めたのだ。


 みんな手放したくない。


 もう、お前なんていらないと言われるのは嫌だった。

 そんな言葉にもう負けたくないのだ。


「全部欲しいっ!!」

 だから………。


「ちっ」

 兄貴が舌打ちをする。


「やっと言いやがったな」

 悪態を吐いているがどこか嬉しそうだった。


「ようやく自分の望みを言ってくれたな」

 爺ちゃんは涙を浮かべていた。


「あっ………」

 その時になってやっと知った。


 俺は初めて自分のしたい事を自主的に言ったのだと。

 

そろそろ終わりの予定なのに……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ