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運命だと分かる前に本能は気付いていた  作者: 高月水都


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信之15歳 ただ祈る事しか出来なくて

ごめんね……うん……。

 詳しい事は分からなかったけど、AICとかABCだったかそれをして様子を見る事になった。


「何か変化があったらご連絡しますから」

 静夜さんと良希は病院に、お爺さんの傍に居たがっていたが、二人とも未成年という事もあり、一度帰った方がいいと看護師さんに告げられた。

 

 店の片付けをして、様子を見に来た母さんとなぜかついていくと頑固に粘った雷斗が待合室に辿り着いた時二人はお医者さんから説明を受けていた。


 倒れてすぐに発見して救急に連絡したから無事だったと。だが、まだ油断はできない。ご高齢なので最悪の事態も覚悟してください。


 そう告げられた二人は憔悴していた。


 静夜さんは憔悴していることを隠そうとしていたが、バレバレだった。


「佐紀さん。すみませんが」

 静夜さんがずっと泣き続けている良希の背中を叩きながら、

「こいつを泊めてくれませんか」

 多分家じゃ休めないだろうから。


「それはいいけど、静夜くんは?」

「俺は家に帰ります。何かしていた方が落ち着くけど、こいつは多分、家に入ったら爺さんが倒れた事を思い出して落ち着かないだろうから」

 ほらよっ

 乱暴に良希の背中を押して信之の腕の中に収める。


「いろいろと面倒だけど。こいつは倉田家で居る方が落ち着くからな」

 ご迷惑を掛けますが。

 静夜さんが頭を下げる。


「静夜兄ちゃん」

 雷斗がギュッと静夜さんの服の袖を掴む。


「雷斗?」

「雷斗くん……?」

 どうしたんだ。


「静夜兄ちゃんも一人ぼっちは嫌だよ……だから……」

 絶対離さないと告げるように力一杯掴んで。


「僕が……僕がおじいちゃんちに泊まる」

「はッ!?」

 何を言ってやがると珍しく慌てている静夜さんと絶対するといつもの消極的な態度はどこ行ったんだと思わせる雷斗の強い眼差し。


「雷斗……」

「だって、お母さん。静夜兄ちゃんも怖いよ。でも、我慢しているんだよ」

 だから傍に居たい。


「………静夜くん。申し訳ないけど、雷斗をお願いできるかしら」

「母さん……?」

 まさか母さんが許すと思わなかった。


「…………」

 静夜さんは困っていた。


「静夜兄ちゃん。何かをしている方が落ち着くなら僕が一緒にいるよ」

 それしか出来ないけど。

 雷斗は泣き出しそうだった。だが、泣かずに静夜さんを見つめている。


「………明日起こさねえぞ」

 静夜の返事はそれだった。


「うん!!」

 嬉しそうに背中にくっつく雷斗を連れて静夜さんは東家に戻る。


 雷斗が泊まると聞いて小夜子が雷斗の荷物を鞄に入れて東家に届ける。戻ってくるのが遅かったが、きっと雷斗に迷惑を掛けないようにと注意してきたんだろうな。


 そんな事で良希は倉田家に泊まる事になり、客間に布団を敷く。良希が心配だったから自分の布団も用意して隣に敷いた。


「爺ちゃん……」 

 布団の中で良希は泣き続ける。


「どうしよう……爺ちゃんが……爺ちゃんが……」

 死んじゃったら。

 その言葉が怖いのか喉から出てこない。


「――大丈夫だ」

 気休めにしかならない。


 本当に大丈夫なのかは誰にも分からないのだから。


「大丈夫だから」

 良希の布団に入って、強く抱きしめる。


「信之ぃぃぃ」

 怖いよぉ。

 縋るように背中に回される腕。

 涙でパジャマが濡れるが構わない。

 

(神様)

 いるか分からない神に祈る。


(良希から奪わないでくれ。良希にとって大事な家族なんだ)

 まだ早い。

 良希の手から零れ落ちるのは。


 いなくならないでと泣き続ける良希から奪わないでくれ。


(お願いだから!)

 祈る事しかできない自分が悔しかった。


 良希の不安を取り除くことも。良希のお爺さんを回復させる力もない。


 ただ、その悲しみに寄り添う事しかできない自分が歯がゆかった。

そのころ東家では……。

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