325:薫さんとデート④
お待たせしました!!
「んっ⋯⋯」
あれ?どうして私寝てるんだっけ?
「あっ、薫さん気が付きましたか?」
目が覚めたら私の前には優希くんがいて、ひざまくらをしてくれている。
「⋯⋯夢?」
これはきっと夢。優希くんの膝の上で眠るなんて豪華すぎるし、私にとって都合が良すぎる。
「夢じゃないですよ!?」
「夢に決まってるよ⋯⋯」
「ど、どうしたら信じてくれるんですか!?」
「それなら⋯⋯は、ハグしてほしいな」
「え、えぇ!?」
流石に夢だからって大胆すぎたかな?
でも、夢だから少しくらい良いよね。
って待って。こんな展開、前もあったような⋯⋯
「ハグ、ですか⋯⋯」
「あれ?なんかデジャヴが⋯⋯」
「こう⋯⋯で良いですか?」
優希くんがそう言うのと同時に、暖かな感触が私を包む。
「あわわわわわわわ」
夢じゃない。
これ、現実だ。
優しくぎゅっと私を抱きしめる優希くん。
少し香ってくる、汗の匂い。昔自分の父親が仕事から帰ってきたときのようなツンとする匂いじゃなくて、良い香りと思ってしまう。
嗅ぐだけで安心してしまう私はきっと変態なのかもしれない。
でも、それをふわっとじゃなくて直に嗅ぐことになるということは。
「⋯⋯」
予想通りと言うべきかクラクラする。
頭がフワフワしてくる。
まるでお酒を飲んだかのように、酔ってくる。
これはきっと、麻薬。そうに違いない。
「⋯⋯薫さん、も、もう良いですか?
その⋯⋯恥ずかしいです」
「⋯⋯やだ、もっと」
私の口が言うことを聞かない。
もっと欲しいって、口に出してしまう。
これ以上このままでいたら、戻れなくなるのに。
隣にいるだけじゃ、足りなくなってしまうのに。
「⋯⋯こ、今回だけですよ?」
優希くんは緊張のせいか声を震わせながら、私の耳元で囁く。
そんな優しいけど、危なっかしいところも大好き。
「ねえ優希くん」
「は、はい!何ですか?」
やっぱり、答えを聞かせて欲しい。
そう言えたらどれだけ楽か。
「⋯⋯なんでもない」
「ふふっ、なんですかそれ」
優希くんはくすくすと笑いながら聞き返してくる。
「だ、だって⋯⋯」
「だったら、僕から一言良いですか?」
「な、何?」
「⋯⋯薫さん、好きですよ」
「えっ」
♢
「ええええええええ!?!?」
突然薫さんが声を上げながら飛び起きる。
「うわぁ!?いきなりどうしたんですか?」
「あ⋯⋯あれ?」
周りをキョロキョロと確認すると、首を傾げている。
「い、今のは⋯⋯夢?」
「ふふっ、どんな夢見てたんですか?」
「ええっと⋯⋯それは⋯⋯その⋯⋯」
「言えないような夢だったんですか?」
「そ、そういうわけじゃ⋯⋯ないけど」
「じゃあどんな夢だったか僕気になります!」
「む、無理!言ったら恥ずかしくて、死んじゃう!」
「しょうがないですね⋯⋯」
なんて言ってみたけど、実際はどんな夢だったか僕は知っている。
それが夢なのかどうかも。
「薫さん、そろそろ時間ですし帰りませんか?」
「う、うん。そうしよっか」
どこか納得いっていない様子の薫さん。
でも、寝惚けていた薫さんが悪いんですよ?
なんて、心の中で思ってみたり。
それから帰る準備をした僕達はホテルへと帰ることに。
カラオケ屋さんから出ると、僕は自然に薫さんと手を繋いで歩く。
一瞬、驚いたような表情をしていたけれど、薫さんは嬉しそうな表情をすると、繋ぐ手の力をほんの少しだけ強めた。
ホテルまでは遠くはなくて、割とすぐに戻れてしまう。
僕の気持ちも大分整理出来てきたけれど、このまま帰ってしまって良いのかな⋯⋯?
そう思っていても、時間も時間で出かけるわけにもいかない。一応まだ高校生だから遅くまで出歩くのも問題だしね。
そうなると⋯⋯考えられることは一つ。
「あの、薫さん」
「ねぇ優希くん」
「「えっ」」
口に出そうとした瞬間、声が被った。
「か、薫さん先どうぞ!」
「ゆ、優希くんこそ!」
「そ、そんな大したことじゃないですよ!」
「私もだよ?」
被ってしまったせいで、タイミングを逃してしまった。勇気を出したのに、気が抜けてしまう。
「じゃ、じゃあ単刀直入に言います!!」
「う、うん」
「また、今度何処かに遊びに行きませんか?」
「えっ」
「だって今日、少し不完全燃焼だったんじゃないですか?僕、結構こうやって色々考えるのって苦手なんだって気付いたのもありますけど⋯⋯やっぱり薫さんの行きたい場所に行くのが一番だと思ったんです」
「それってつまり⋯⋯私の行きたい場所に付き合ってくれるって⋯⋯こと?」
僕がそう伝えると、薫さんは一瞬何か凄く考え込むと、絞り出すようにそう言った。
「はい!」
「そ、そっか⋯⋯それなら今度行きたい場所があるんだけど⋯⋯良いかな?」
「もちろんですよ!」
「えへへ、じゃあ楽しみにしておくね?
いつにするか教えてくれると嬉しいかな?」
「僕の予定的にも出来れば夏休み中が良いですね!」
「そうだよね。じゃあ空いてる土日とかあったりするかな?」
「それなら来週なら空いてますよ!」
「うん、じゃあその日にしよっか。
必要なものとかあったら早めに教えるからよろしくね?」
「はい!」
そんな話をしながらホテルへ帰りつつ、僕達はまた遊びに行く予定を立てた。
「それじゃあ薫さん、おやすみなさい!」
「優希くんも、おやすみ」
ホテルへ着いた僕達は、おやすみを言うと部屋へと戻っていった。
ようやく作業が一段落したので、また忙しくなるまでは更新出来るように頑張ります!!




