295:WCS本戦!①
お待たせしました!
本当は昨日投稿予定だったんですが、寝落ちしてしまったので今投稿します⋯⋯発売日まで実質後3日と言う事で⋯⋯ナニトゾ⋯⋯
課題や自己練習をしながら過ごしていたけれど、とうとうやってきたWCSの本戦の日。
今日僕は先輩と一緒に会場へとやって来ていた。
もちろん、本戦へ出場する為に。
「とうとう来ちゃったね」
先輩は少し緊張した様子で、僕にそう言った。
「す、凄く緊張します⋯⋯」
「わたしも、今心臓がバクバクだよ」
会場へ向かう足が緊張のせいか凄く重く感じる。
そう思っているとふと、手を握られた。
「優希くん、行こっか」
「は、はい⋯⋯」
手を握られるだけなのに、今まで感じていた緊張とは違って、恥ずかしさが込み上げてきた。
「わたしもこう見えて、凄く緊張してるんだ。
⋯⋯その、急に手握ってごめんね?こうしてると、安心するんだ」
先輩は少し照れながらそう言ったけど、先輩が安心するなら⋯⋯仕方ない、よね。
無事に会場へ入ったら更衣室へ向かい、着替え終わった後は、控え室で僕達の順番が来るのを待っていた。タイムスケジュール的にあと30分もしないうちに僕達の出番が来てしまう。
「大丈夫、わたし達ならやれるよ」
先輩だって緊張して大変なはずなのに、僕に優しい言葉をかけてくれる。
「はい!」
僕は勢いよく返事をすると、精神を集中する。
今日は緊張のせいか、上手く白姫ゆかになりきれない。しっくり来ないと言うか、言葉にするのが難しいけれど。
「ふぅ⋯⋯」
大きく息を吸って、深く深く入り込む。
いつも以上に集中すると、頭の中がふわふわとして来た。
そして、ふわふわしていると何かのスイッチが入ったのか、急に周りが鮮明になった。
すると、妙に落ち着いて来て、今なら何でも出来るそんな気がしてきた。
『⋯⋯うん、大丈夫』
「優希くん?」
『もう大丈夫だよ、遥お姉ちゃん』
「ゆかちゃんモード⋯⋯」
「ゆかちゃん、頑張ろうね」
『うん!』
そして、ボク達の出番がやって来た。
♢
その日、会場に集まっていた観客は皆、口を揃えて今日のあの二人はやばかったと言っていた。
勿論、俺もその一人になる訳だが、この時の俺はただ推しが出るからという理由でここに来ていた。
普段こういった大きなイベントは東京近郊で行われる事が多い。だけど、WCSだけは愛知県でやってくれる。つまり田舎民の俺でも行きやすい場所と言うわけだ。
「へへっ、掲示板の民達全員がここに来れてるわけじゃ無いみたいだしな⋯⋯後で感想でも書き込んでやるとするかな?」
俺は世界の預言者と言うコテハンで掲示板にいる、しがないサラリーマンだ。今日は運良く休みが重なってくれたお陰で、こうしてゆかちゃんの出るイベントに参加出来ていると言うわけだ。
ゆかちゃんの出番はまだまだみたいだが、これまでに登場した人達のコスプレのクオリティはかなりのもので、原作再現を重点的にする人や、本人の動きが合わさって面白く感じる人などとにかく色々なレイヤーさんがいる。
中にはVTuberのコスプレをする人もいたし、昔からやっている人気アニメの主人公やそのヒロインなど、見ているだけで楽しくなる。
そんな時間を楽しんでいると、次は日本代表の出番がやって来た。つまり、俺の推しであるゆかちゃんと、その相方であるHaruさんの二人が出てくる。
待ちに待ったその瞬間、ステージに出て来た二人は——控えめに言って天使だった。
まずHaruさん、彼女の衣装は今までの魔法少女衣装を更にクオリティアップさせており、黒をベースにしているのもあって本当に天使、いや、堕天使のようだ。
次にゆかちゃん、今までと同じくダークな衣装を着ている。原作的に、闇堕ちしてしまったキャラをイメージしているのだから当然なのだが。
そして会場が二人の登場によって盛り上がる。
いや、盛り上がりすぎだろ!?
一部では海外の人が『あれで男!?ありえないだろ!?』だとか、『天使は本当にいたんだな⋯⋯JAPANに』だとか、『テイクアウトは出来ないのかしら?』といったちょっとHENTAI混じりだったりするが、英語で喋っているからか周りの反応も薄い。この近辺だと聞き取れたのは俺くらいか?
「(ま、ゆかちゃんが可愛いから、皆性癖歪ませて帰るんだろうな)」
これがきっかけでゆかちゃんがもっとバズれば嬉しいんだが。
なんて事を考えていたら、早速曲が流れてきた。
前回と違う曲だなーと考えていたら、どうやらあの漫画のキャラクターソングだったらしく、聴いたことのある人も少なそうだ。
メインがVTuber、モデルとは思えないくらいしっかりとダンスを出来ている二人。
そして、曲も後半にさしかかり、ラスサビに入ろうと言う瞬間、ゆかちゃんがクルっとターンを決めるその瞬間に、衣装が切り替わった。
黒から、薄いピンクの魔法少女へと。
この作品は悪堕ちした魔法少女を、その子のクラスメイトの女の子が助けるために奮闘し、最終的に主人公の味方になるというシーンがあるのだが、それの再現なのだろう。
「いや、これはやべーな⋯⋯」
語彙力なんて一瞬で消えるくらいの尊さとダンスの良さ。もう終わるなんて考えたく無いくらいだ。
そして、最後。
『あなたは一人じゃない』
曲の最後の歌詩、その部分と同時に、Haruさんがゆかちゃんを思い切り抱きしめた。
「えっ」
周りもざわざわと騒ぎ始めた。
何より、ゆかちゃんの顔が恥ずかしさから真っ赤に染まっているのだ。
「ウッ」
あんな表情、リアルで見せられて耐えられるわけ、ねー、だ⋯⋯ろ⋯⋯
流石に睡眠時間平均3時間は死ぬかと思いました




