139:冬コミ2日目!(中編)
お待たせしました!
ご指摘を受けた事もあり、1部分から小説のルールに従った形式になるように、そして読みやすいように改稿していく事にしました!
少しずつにはなりますがもし読み返す事があればここ変わったかもとなると思いますのでご報告させていただきますね!
「(し、しまったああああああ!)」
私は今、大変な状況に陥っていた。
そう、綾乃ちゃんに頼んでいたゆかちゃんの薄い本、それを入れた紙袋を持ったまま、私は優希くんとカラオケに来てしまっていた。
ぜ、絶対に中身を見られないようにしないと、私終わる......終わっちゃう......。
だ、だって仕方ないんだよ!
ゆかちゃんと私や、薫さんの絡みの本や、俗に言うアブノーマルなやつとか色々出てたんだもん!
その中でも絵柄の綺麗な物だけを選んだのにかなりの数になっちゃったんだよ!
え?どんな本なのか気になる?
......私の口からは言えないかなぁ。
なんてそんな事を脳内で考えていたら優希くんに話しかけられた。
「華さん?華さーん?大丈夫ですか?」
私を見上げながら話しかける優希くん。
なにこのかわいい生き物。
今すぐ抱きしめたい衝動に駆られるけれど我慢。
私は出来る女なんです。
「あっ、大丈夫だよ!」
「何度か声をかけたけど返事が無かったので何かあったのかと思いましたよ!」
何回も声をかけてくれてたなんて、どうして気付かなかったんだろう私。
まぁいいや、とりあえず今は可愛い優希くんと一緒の時間を楽しまなきゃ。
「それでどこに向かってるんですか?」
「とりあえず、私の知ってる配信も出来るし、更衣室なんかもあるカラオケ屋さんがあるからそこに向かおうかなって思うんだけど、優希くんはそこでも大丈夫?」
私がそう言うと優希くんは笑顔で答えた。
「はい!大丈夫ですよ!」
「良かった、それじゃもうちょっとで着くから、もう少しだけ歩くからね。」
「はい!」
元気の良い優希くんの返事を聞くと、私たちはカラオケ屋へ向かって歩き始めた。
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華さんと一緒に歩き、カラオケ屋さんに到着した僕達。
受付を済ませて案内された部屋へ入ると華さんがもじもじとしていた。
「どうかしましたか?」
「えっと、優希くん恥ずかしいと思うんだけど、お願い聞いてくれないかな?」
僕に出来ることだったらいいかな、と思ったから、そのまま華さんにその事を伝える。
「僕に出来ることだったら良いですよ!」
「本当!?じゃあ今日一緒にいる間だけでいいからコスプレしてる所を見せて欲しいな!」
い、いきなり飛ばしてきたね華さん......。
でも男に二言はないって言うし、僕も見せてあげるって言った手前、断る事はしないよ。
「は、はい!......そ、それじゃあ着替えて来ますね......。」
「い、行ってらっしゃい!」
僕は部屋を出ると更衣室へ向かい、衣装を着た。
もちろん、ふわちゃんの衣装の色違いのやつだよ。
着替えにもかなり慣れて来た僕はささっと着替えると更衣室を出て行った。
そして更衣室を出た所で丁度隣側にあった女性用の更衣室から出てきたコスプレをした女の人が僕を見てフリーズしていた。
どうしたんだろう?
「え?男の子?え?女の子じゃなくて?男?えっ?」
小さく何かを呟きながら、視線が上にある男子更衣室と女子更衣室の札を行ったり来たりしている女の人を横目に僕は部屋に戻って行った。
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「お、お待たせ、しました......。」
部屋に入る瞬間、誰かに絶対見られると分かってるこの瞬間だけは今でも慣れる事が出来なくて、とても恥ずかしい。
でも部屋に入った僕の目に入ってきたのは輝くような瞳で僕を見つめる華さんの姿。
「......かわいい。」
反応は僕の想像よりもずっと大人しくて、ほっとした。
流石に勢いで飛びかかって来るなんて事は無いよね。
「ほんっとうにかわいい!!!!!!」
前言撤回、やっぱり華さんだったよ。
飛びかかっては来なかったけど、指がわきわきしてる。
抱きしめようとしてたりしないよね?
大丈夫だよね!?
「お、落ち着いてください!?」
「落ち着いてる、落ち着いてるよ?
でも、可愛いものは可愛いんだよね!!」
物凄く圧力を感じる華さんの笑顔。
もしかして僕は、選択を誤ったのかな?
そ、そうだ、白姫ゆかっぽく言えば、きっと落ち着いてくれるはず!
「お、お姉ちゃん、落ち着いて欲しいな?」
「......お姉ちゃん?」
一瞬そう呟いて、動きが止まる華さん。
き、効いたかな?
「華、お姉ちゃん?」
ダメ押しのつもりでもう一回言ってみる。
「あの、ゆかちゃん、もう一回いい?」
「華お姉ちゃん?」
一瞬華さんが落ち着いたように見えたその瞬間——
「あああああああああああ!!!!
もう我慢出来ないよぉ!!!!
ゆかちゃんうちにお持ち帰りする!!」
ぎゃ、逆効果だったあああああああ!!!!
華さんはガバッと僕に抱きつこうと立ち上がり、にたぁ......と怪しい笑みを浮かべながらこちらに迫ってきた。
ま、まずい......こ、このままだとまた、あの時と同じ事が起きちゃう!
トランス状態に入らない為にも、自分のまま、自分のまま乗り切らないと!
とりあえず、どうしよう。
「お、おうちはダメだよお姉ちゃん!」
「なんで?一緒にご飯たべたり、ゲームやったり、お風呂入ったり、ベッドで一緒に寝たりしようよ!!!!」
僕は男なんですけど!?
そんな事されたら大変な事になるのは目に見えてるよね!?
あれ?僕から何かをするシーンが浮かばない......?
うん、この事は忘れよう。
「な、何か今一個だけお願い聞いてあげるから落ち着いて欲しいな!」
「お願い......?何でもいいの?」
こ、この際なりふり構ってられないよね。
「う、うん!でも変な事はだめだよ!」
「分かった、じゃあ......」
そう言って僕にお願いを伝える華さん。
僕はそれを仕方なく受け入れる事にした。
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どうしてこうなったんだろう。
僕は今、華さんの膝の上に座らされて、おまけに華さんの腕でガッチリとホールドされている。
「優希くん、次は何を歌いますか?」
上機嫌で嬉しそうな声を出しながら僕に問いかける華さん。
......あれ?さっきまでゆかちゃん呼びだったのになんで急に名前で呼んだんだろう?
「あれ?いつから僕が正気の状態だって気付いたんですか......?」
「あっ......。」
「ま、まさか最初から知って......?」
「ナ、ナンノコトカナー?」
「絶対気付いてましたよね!?
僕すっごく恥ずかしかったんですよ!?」
僕から目を逸らしながらとぼける華さん。
「ご、ごめんね?」
「まぁ、その、気付かなかった僕も僕ですけど......。」
少し静かな時間が流れた後、せめて隣に座ろうと思い動こうとしたら——
ぎゅっ
「あ、あの?華さん?」
「終わるまではこうしてて良いって言ったのは優希くんだよ?」
「いや、あれは、その。
華さんを落ち着かせる為に言っただけで......。」
僕がそう言うと、華さんの僕を抱きしめる力が強くなった。
あ、あの、当たってる、当たってるんですけど!?
「ひゃっ!?は、はなさん!?」
「だーめ、今日は離しません!」
そう言って僕をぎゅーっと抱きしめる華さんの僕を抱きしめる力が徐々に強くなっていって、背中に当たる柔らかい感触が広がっていくのを感じていた。
その柔らかい感触が何か気付いた僕は今にも燃え上がりそうなくらい恥ずかしい。
絶対僕をトランス状態に持っていく気だよね!?
「せめて力を緩めてください!」
「うふふ、恥ずかしいのかな?」
「そ、そんな訳無いですけど!」
僕がやめてと言っても揶揄われて終わってしまう。
「ねぇ、優希くん。
どうせだし、このまま残りの時間配信しちゃおうか。」
「えっ?」
何かとんでも無い事を言い始めた華さん。
「こ、このまま?」
「うん、そうだよ?」
この体勢で?配信を?
配信するのはいいんだけど、せめて隣に......。
「どうせあと少ししか時間無いんだし......ね?」
「は、はい......。」
配信しながらの方が多分安全......だよね?
華さんはスマホをテーブルにセットして配信開始ボタンを押した。
もちろん、僕を抱きしめたままで。
最近朝が凄く眠いです...