君がいない世界
シリアスです、多分。
なぜこうなったのだろう。一番守りたかった人が死んだ。自分の代わりに。
この手の中には事切れた君がいる。君は言った。
「大丈夫だよ」
そう微笑みながら言った。何が大丈夫なんだ?君の腹には風穴があいていて、君の目は虚ろになっているのに。どこが大丈夫なんだ?
魔王により滅ぼされた国の姫。それが君だ。復讐のために生きて、幸せな日々を取り戻す前に死んでしまった。今、初めて見たんだ。君が微笑むところを。
僕が君の傷を癒せたらどんなに良かったか。ずっとそう思っていたのに。
僕なんか庇って死ぬなんて。
庇わなくて良かったのに。君はいつも言っていた。
「私の代わりはいくらでもいるけれど、あなたの代わりはいないのよ?」
君の代わりなんていない。いたとしてもいらない。僕には君だけなんだ。
本当は君を追って死んでしまいたい。
だけど、何度願おうがどう抗おうが叶わない。
僕は呪われているから。
死ねない呪いなんていらないのに。
僕は「勇者」なんてなりたくなかった。
魔王を倒すまで死ねず、どんな死に方をしようが蘇る。
これが呪いじゃないならなんなんだ?
君の最期の言葉が
「あなたなら私がいなくてもきっと魔王を倒せるから」
だなんて。
君にとって僕は勇者でしかなかったなんて。
そんなこと、知りたくなかった。
僕は君と幸せになりたかったのに。
そんな願いすら壊していく世界なんて滅ぼされればいい。
人の幸せを犠牲に成り立つ世界なら必要ない。
魔王が滅ぼす前に自分で壊してもいいかもしれない。
ああ、こんな世界なんて嫌いだ。
RPG的な世界で勇者と姫の恋愛系を
書いた結果、勇者がこうなってしまいました。