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とにかく俺は帰りたい!  作者: やま
第2章
20/24

20.奴隷じゃない、かも。その2

 奴隷生活1ヶ月と2週間目


 俺は今日までに数種類の仕事をした。その中には開墾地での丸太運びは2度となかった。そのかわり毎朝の水汲みは、むしろ俺がメインの仕事となった。また、倉庫整理の仕事が認められたのか「几帳面」さが生きる作業として雑草抜きや各種施設の掃除も行った。もちろん力仕事では一番の活躍をする。畜力で行う畝切りの、後方を支える役は抜群の安定感を皆に示した。しかしそれは普段3〜4人でやっている作業だと知ったのは少し後のことだった。びっくりした。そういえば、開墾地に鎮座する多数の岩の運び出しでは、俺は人力ではなく馬や牛の側として数に入っていたと思う。ていうかこの作業魔導具じゃないのかよっ!?というレベルで辛い力仕事は全部俺にくる様になったのではないだろうか。

 周りの視線もだいぶ柔らかくなった。真面目な生活や仕事ぶりが認められたためだろう。

 筋肉の朝は早い。日が出る前に起きて水汲みに精を出す。これのおかげで女性人の表情も柔らかくなったし、上腕二頭筋は子供達に人気だ。水汲み終わり、寮への短い帰り道は子供達を代わる代わる腕にぶら下げて歩くのが定番だ。ちなみに早起きのために晩もお酒は一杯までか、呑まない。早寝早起きは健康の基本だから連日のどんちゃん騒ぎはご法度だ。騒がしい中で眠ることも慣れた。仕事は朝ごはん後すぐ始まるので、食べたら即移動だ。こうすれば奴隷の中で一番に仕事場に到着できる。現場監督達の評判も良い様に思う。また、奴隷の中にも比較的真面目な奴はおり、こうした俺の行動をみて彼らは少しづつ認めてくれているようだ。ちなみに翌日の仕事場は、その日の仕事終わりに現場監督が絵で教えてくれるからこのように素早く動ける。じい様方やサボりぐせ連中に付いて動いてはこうはいかない。このような日本人気質を示した結果、俺はここに来たばかりの頃の様に忌避されたり怯えられることもなく、むしろすれ違いざまには声をかけてもらえるようにまで奴隷達の中に溶け込んだ。そういえば、じっとりとした視線もいつのまにか感じなくなった。


 わからないながらも言葉の勉強もしている。「おはよう」は『オンタ』や『オンター』。語尾を伸ばすと気さくな感じがする。「おやすみ」か「こんばんは」に当たるのが『ゼビルン』。語尾をはっきり言うと丁寧らしい。タカタナ君級(現場監督の中でも身なりや持ち物の質が良く、金もってそうで地位が高そうな人)と夜半に会う時には皆が語尾をしっかり発音するからこれに気がついた。この前覚えた『サラマータ』は「ありがとう」ではなくて「すごいね♡」の方だったらしい。つまり『すごいね』って言われて『すごいね』って返しちゃったわけだ。そら笑われるで。ちなみに「ありがとう」は『アラランカイム』で『アラン』と略されることがほとんどだ。


 特に覚えたかった言葉をやっと最近覚えた。それは――


『ゥラライヤドルベ ニトラ』

 そう、「トイレに行って来ます」だ。

 これさえわかればいつでもトイレに行ける。トイレを「ニトラ」と呼ぶことはわかっていたし『ニトラニトラ!』と連呼すればトイレには行けるのだが


 小学生男子「先生トイレ」


 教師「先生はトイレではありません」


 的な幼いやり取りである気がして、ちゃんとトイレに行きたい旨を伝えたかったのだ。これは炊事場の掃除をしていた時、仲間の1人がこの言葉を言ってトイレに向かったのを聴いて覚えられた。いや、正確には、間違って覚えてそのまま使ってみたところ、発音などをじい様方に直されてやっとこさ身に付いた。仕事と言葉の勉強、全力で駆け抜け続けるこの生活はなかなかに大変だ。


 そんな奴隷の生活も7日間に1度、丸1日休みがある。最初の休みには戸惑ったもんだ…

 まだ日も登らない未明、水汲みしようと扉を開けると、すぐ外にターラさんが腕を組んで仁王立ちしていた。目があった。ちょっと怖かった。ターラさんは素早く扉を閉めようとしたが、俺は咄嗟にそれを片手で止めた。ターラさんは動かなくなった扉を両手で持ち、体全体を使って閉めようとするも、俺は腕一本でそれをゆっくりこじ開けていく。顔真っ赤にしながら涙目でプルプルと扉に引きずられていくターラさんかわいい…と思っていると、後ろから爺さんズが登場し「早起きだなぁ」と思うと同時に「何か」ありそうだと感じた。

 そこからは大変だった。主に爺さんズが。なぜならば、言葉がわからない野人もどきに「今日は休みだよ、お仕事ないよ」とどう伝えたらいいのか、全くわからなかったからだ。俺も「何か」変だ…この雰囲気、まさか本格的な奴隷にさせられてしまいのではないだろうかっ!と勘違いして怯えて全く頭が回らない。爺さんズがマットを引いて横になってみたり、朝から酒を出して来たりしたが「休み」だとは理解ができない。なぜなら爺さんズはいつもそんな感じだからだ。しかし彼らはそれに気がつかない。あの手この手でなんとか「休み」を伝えようとしてくるが、俺には意図がわからず困惑。また日も登り仕事の時間となっているにもかかわらず、仕事をできていないことに焦りと恐怖を覚えた。

 そして爺さんズが俺を無理やりマットに寝かせようとしたところで、俺のストレスが爆発した。暴れ、外に飛び出した!すると待ち構えていたかのように、タカタナ君始め5名ほどの「タカタナ君級」がいた。彼らは小さいボードを持っていた。そこにはカレンダーよろしくたくさんのマスが縦横に並んでおり「鍬を持っている人」が7マス続いた次に「横になって寝そべる人」が1マス書いてあり、それは7マス1マスと規則正しく連続していた。タカタナ君は「横になって寝そべる人」を指差し、その後俺を指差した。

 ティンときた。

 俺、今日休みなんだと―――



 休みの日は主に、ついに復活させた筋トレをしたり子供達と遊んだりしている。奴隷の子供達は20名弱いるが、俺と遊びたがるのは水汲みメンバーのまだ幼い5人ほど。その中でもガルドとブルーガはよく懐いてくれて、休みの日じゃ無くても遊んでとせがんでくる。ガルドは茶色い髪と瞳で活発な子。尻尾が生えているので物語の獣人っぽい感じ。ガルドの様に奴隷の中には明らかに人間以外が混じっている人達がいる。ブルーガもその1人で、金髪に赤い瞳で耳が気持ち長く、先が尖っている。物語にいるエルフなのだろうか?性格は臆病で、ガルドの後ろに隠れ、ビビりながらやってくる。

 遊びは主に筋トレだ。なぜなら俺が筋トレしていると子供達がやってくるから。クランプをこなしていると横に並んで真似をしてくるが10秒保たない。ガルドとブルーガはなぜか必死に行なっている。きっと俺のようにマッスルな体に憧れているのだろう。可愛い奴め。しかしムキムキまでの道のりはこんなものでは無いぞ?


 以前こんなことがあった。クランプをしているとガルドとブルーガが寄ってきて真似をしていた。俺は何分でもクランプしたままで居られるが、2人ははすぐに潰れてしまう。それをみていたアウガ爺さんが2人のクランプを邪魔しにきた。具体的には、クランプでプルプルしている2人を横から押すのだ。哀れ、筋トレに精を出す2人は転がってしまう。アウガ爺さんはひとしきり笑ってからかった後(2人にポコポコぶたれていた)俺の方に目をつけた。案の定俺を転がそうと押してくるが、俺はビクともしない。じじいがちょっと押すぐらいで、鍛え抜かれた140キロのマッスルが負けるわけがない。俺はあえて不安定なサイドクランプに移行して爺さんを挑発する。年甲斐もなくムキになったアウガ爺さんは押したり引いたりしてくるが、俺のバキバキの体幹をもってすれば耐えることなど造作もない。さらに余裕な顔で挑発すると、あのじじい蹴りを入れてきやがった。まあ、それでも全然バランスを崩さないのだがなっ。しかし、それをみた子供2人はキラキラした目でアウガ爺さんの真似をしてきた。喜びながら押したり引いたり蹴ったりと俺を倒しにかかる。初めは俺のマッスルを示すいい機会だと思っていたが、じじいと子供3人から蹴りを入れらていると、なんだかだんだん悲しい気持ちになってきた。最終的にはどこからかやってきたターラさんのストップがかかってリンチは終わった。

 その時サイドクランプをしていた俺に、不意にターラさんのデリケートゾーンが見えそうになり、愚息が反応!思わずくの字に折れた。

 アウガ爺さんの爆笑とガルド・ブルーガ両名の軽蔑した目、そしてターラさんの人を射殺す視線に言葉を失った…。だってラッキースケベってすごい興奮するじゃんよ……。

 筋トレ以外だとケンケンパや手押し相撲、追いかけっこをして遊んでいる。



 ついこの間、女性寮から男性寮へ2人の新人が入ってきた。中学生ぐらいのまだまだ幼さが残る感じだったが、風呂場で一緒になった時、下はボーボーだった。

 …その年まで、女性寮にいたの?えっ?もうとっくに思春期だよね?向こうの生活はパラダイスだったんじゃないの?いや、目のやり場に困るか…。

 奴隷達の生活には謎が多い。そもそも出産が許されているんだから婚姻も?こんなに優遇された奴隷生活なら当然…なのか?




 そんな生活に転機が訪れたのは奴隷生活も板についた3ヶ月を超えた時だった。


 寮でガルド・ブルーガと休日を満喫(仲良くお昼寝)していると、タカタナ君と彼より地位の高そうなスキンヘッドの男が1名、そして、騎士と思しき甲冑に身を包んだ男女2名が訪れた。男の騎士はヘルムを小脇に抱えた赤髪の美男子。顎と首がよく発達していて、使い古された甲冑の下もよく鍛えられていそうに見える。女の騎士は青みがかった長い黒髪で、柔らかい曲線を描いた白く汚れのないスマートな甲冑を着ている。いきなりそんな一行が現れたので、休みのみんなも俺も「なんだなんだ」状態。

 タカタナ君が玄関の近くにいたやつを捕まえて何か話している。その間、騎士2人は室内をぐるっと一周見渡していた。ゆっくりと、吟味する様に。

 誰かを訪ねてきたのか?と2人を見ていると、目が合ってしまった。男の騎士はにっこり快活な笑顔を見せてくれた。女の騎士は、ニタリと顔に裂け目が入る様に笑った。その目は暗く淀んでいるように見えた……。薄気味悪さを感じていると、


『ヤノギサア!』


 間違った発音で俺を呼ぶ声に我に帰る。騎士2人はにっこり人好きのする笑顔でこちらを見ている。


 あれ?さっきの気味が悪い笑顔は気のせい…?


『ヤノギサー!!』


 玄関前で俺を呼ぶのはムイハだ。あいつはいつまで経っても俺の名前を覚えやがらねえ。俺はムイハに抗議する。


「ヤナギサワだっつってんだろ!」


 ムイハは肩をすくめて両手を上げた。「何言ってんのかさっぱりだぜ」の外人ジェスチャーだ。なんでこの世界はちょいちょい見知ったもの出してくるんだよ。



 彼らは懐かしい物を持っていた。あの森で作った葉っぱのバッグ、中にはナイフでくり抜いた水筒が1本、日記とペンが入っていた。ナイフはボッシュート。まぁ当然だろう。

 …あ!もしかしてあのナイフの事情聴取だろうか?ヤバイ…何も説明できないぞ……

 嫌な脇汗をだらだら流していると、タカタナ君はいつもの笑顔で俺の方をバシバシ叩き、身分の高そうな男は微笑みながらそれを見ていた。女騎士も笑顔だったが、俺を見る目は笑っていなかった。すごく嫌な感じがする。

 男の騎士は、俺の筋肉をマジマジ見て頷いていた。

 荷物を俺に渡して彼らは帰っていった。ただ俺にコレを返しに来たのだろうか…。騎士を2人も連れて?謎が残るが考えてもわかるもんじゃないかと諦める。ただ。あの女騎士はなんか怪しい。


 場がひと段落するとみんなが集まり、リュックに中身に興味津々。思えば俺たち奴隷は「持ち物」というものがほとんどない。着るもの、履くものぐらいだ。カップやマットは誰のものでもない共有の物だし、仕事道具は全て貸し出しのものだ。何かを所有すると言う事はまず無い。

 みんな目をキラキラさせてリックと水筒を見ている。懐かしい品とは言ってもただの葉っぱと木だ。思い出の品ではあるが今の生活には必要のないものだしー、コレはガルドとブルーガにあげてしまおう。喧嘩せず仲良く使うんだよ?

 大人も混じってリュックを背負ってみたり、水筒の栓を抜いたり挿したりと楽しそう。俺は外に出て、久しぶりに見る日記を開いて中を読んでみた。森での活動記録になねこを思い出し少し寂しい気持ちになってしまった。なねこ、どうしてるかなぁ。心配してるかな…。グスン。

 俺みたいな巨漢がめそめそしててもキモいだけなので、この奴隷生活のことを書き足していこう。


 つらつらとこの3ヶ月間のことを書いていると、目の前に人が立った。誰ぞ?と思い顔を上げると、驚いたような顔のターラさんが立っていた。


『&¥アサ&€£+タ$%#ノ?』


 声を震わせて何かを訪ねてきたような口調だ。


「あ?え?なんて言いました?」


 思わず日本語で聞き返す。ターラさんはまだ何か言おうと口をわなわなさせたが、結局俺をキッと睨んで歩き去っていった。

 俺、なんかやっちゃった?




 この日を境に、俺への「言葉の勉強」が始まった。教えてくれる教師役はターラさんだ…成績不振をドヤされないか不安だ……。

 朝、いつもの水汲みを子供達にじゃれつかれながら行い、朝餉をいただくと、午前中の仕事は終わりだ。食事の後片付けを横目に授業が始まる。

 ターラさんが食器を並べて(と言っても種類は3つだけだ)一つ一つ指をさして教えてくれる。仕切りのついた皿。給食で使いそうな樹脂製っぽいやつ。先の割れたスプーン。こちらも樹脂製っぽい。最後に酒を飲むときと同じコップ。コレまた樹脂製。

 皿は『アガ』、先割れスプーンは『トチ』、コップは『デドル』。コップ強そう…。


「アガ、トチ、デドル…アガ、トチ、デドル…アガ、トチ、デドル…」


 繰り返し口に出して覚える。


()ガ、()チ、デ()ル』


 イントネーションを指摘された。


()ガ、()チ、デ()ル!」

 ドヤ顔で確認すると、ターラはこっちをみてなかった。何かボーとした表情で考えている風。……先生集中してください。



 男子寮の扉の前に移動した。ターラさんは玄関の引き戸を開けたり閉じたりしている。


『コウン ロ ミーハ』

 ターラさんはゆっくり発音しながら引き戸を開けて言った。『ミーハ」は「扉」とか「ドア」に当たる名詞だ。


 また、ターラさんは引き戸を閉じて言った。

『スクーロウ ロ ミーハ』


 最初のが「ドアを開ける」次のが「ドアを閉める」と言うことでいいだろう。英語チックな文法だなぁ。


 その後、鍋の蓋を開けたり閉めたり、壺の蓋を開けたり閉めたりを学んで、今日の語学は終わった。

 昼飯が並ぶまで少し時間がありそうだったので、今日学んだことを地面に書いて復習していく。適当な石を拾ってカタカナで書きながら声にも出して、より記憶に残るようにする。ブツブツ言いながらひたすら書いていると、それを珍しがったガルドとブルーガが寄ってきた。2人はさっそく俺の真似をし、もにょもにょと喋りながら地面に絵みたいなものを書いていた。

 長い曲線や、丸、乱暴なギザギザ線。2人は小学校4〜5年生ぐらいの年頃だが「文字」らしきモノを書いていない。コレは奴隷達みんなに言えることだが、彼らは字が書けない、字が読めない。しかし、ごく一部の者は読み書きができる。爺さんズはその一部に入っていたりする。年の功だね。

 俺は地面に「ヤナギサワ」とカタカナで名前を書き、ガルドとブルーガに見せた。


「ヤ・ナ・ギ・サ・ワ」

 と言いながら一文字づつ指差していく。

 2人は一文字づつ目て追っていく。最後の「ワ」までいくと、足で地面の字をザッザッと消し出した。そして逃げた!


『『んきゃ〜〜〜〜〜〜』』


 早いっ!

 しかし身長2メートル越えの股下をなめるな。こらしめてやる!

 という感じで、()()()()追いかけっこが始まった。なぜか捕まえられないんだコレが。2人とも歳に似合わない脚力であっという間に俺を突き放してくる。種族的なものなのだろうか?


 追いかけ疲れ、膝に手を当て肩で息をしていると、2人が背中を登ってじゃれついてくる。なんとやんちゃな野郎どもか。特にブルーガ。ビビりながらも、やると腹を決めたら結局いつもいたずらをやりきる。なかなかの手練れだ。2人は俺の背中に飛び乗って頬を擦り付けてきおる。かわいいやつらめ。

 3人できゃっきゃしていると炊事場から鋭い視線!全員で即座にそちらを見る。

 視線で人を殺しそうな、いや殺すつもりだろうターラさんが仁王立ちしていた。

 随分遠くにいるが、俺たち3人は蛇に睨まれた蛙のように動けなくなった。いつのまに座っていたのか、近くにいた昼飯を待つ面々もとばっちりを食らって固まっている。彼女はいつも通り組んでいた腕を解き、まさに「ズンズン」という擬音がぴったり当てはまる様こちらに近づいてきた。ガルドは怯え切り顔面蒼白。ブルーガは白目剥いてる…。流石の俺も恐怖に打ち震えた。

 ターラさんは子供2人の襟首をむんずと掴みあげ、俺にきつーいメンチを切って、昼飯が並んだ卓の方を顎でしゃくった。


『ハ、ハラマラ…』

 俺は「ごめんなさい」を言い食卓へ向かった。

 爺さんズがニヤニヤながらこちらを見ていた。


『カーアサウェルタアーノ…』

 ターラさんは振り向いて小さい声で聞いてきた。かろうじて聞き取れはしたが、意味は全くわからない。何か聞かれている事はわかるのだが答えられずにいると、彼女はため息をつきかぶりを振って歩いて行ってしまった。


『ハラマラ、ターラ』

 俺は謝りながらも一つの出来事を思い出していた。さっきの言葉、以前ターラさんが震える声で聞いてきた言葉と同じなのではないかと。


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