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39話 気持ち悪い(視点:四条結)

 まただ。また、私の陽の恋心を成就させよう作戦は、成功したけど、完璧じゃなかった。


 川瀬くんの妹ではある、川瀬添さんの乱入こそあったけど、それでも陽と川瀬くんとの絡みはあったし、それに彼は陽に言ったんだ、似合うよって。これを成功と言わずして何と呼ぶのかな。

 けど……そこまで。これまでと同じように川瀬くんと陽との仲がほんのちょっと縮まっただけ。ゴールには、辿り着けてない。

 一体何時になったら、陽は川瀬くんに告白するだろう。何時になったら付き合うのだろう。

 

 そして、そんな他人事の恋に、一喜一憂する私は一体何なんだろう……


ーーーーーーー


 月曜日、詰まるところ、あの成功と言えど完璧とはいかなかったアウトレットモールの件から初めての学校。


 いつも、私は昼食を陽と共にしていた、曜日に関係なく。月曜日であるこの日もまたそう。何の約束もせず、私達は部室に集まる。

 昼食では部活の時のように無言じゃない。他の人達と同じように話しをする。内容は様々。基本的には学校の事が中心だけど、この日は違っていた。


「結、今日の部活休んでいいかな」


 お弁当を広げ、向かい合いながらお弁当を食べていく私達。そんな最中、陽が申し訳なさそうに、言ってきた。

 委員会なのかな、そんな思いで、私は口を開いた。


「良いけど、何か用事でもあるの」

「うん、ちょっと……ね」


 あまり言いたくは無いのか、言い淀む陽。多分少し前の私なら聞かなかったと思う。踏み込むべきじゃないとか思って。

 けど、この時の私は聞いて見たいと思った。それはアウトレットモールの件があったからかもしれない。とにかく私は、分かった、とそう次の言葉をそう紡がなかった。


「何で?」


 直球に、私は聞く。昔のように。

 そして、そんな私の言葉に陽はしどろもどろになった。


「いや……それは……」

「言えないの?」

「……と遊ぶの」

「うん? 何て言ったの」


 最初らへんが上手く聞きとれない。

 私は体を乗り出す。そうして、陽の口元に耳を近づける。

 そして、漸く私は彼女の言葉を聞くことが出来た。


「広と遊ぶ約束があるの」


 恥ずかしいのか、陽の頬がほんのり紅い。そんな彼女を今、間近に見ているのだから、それこそいつも以上に彼女の事を可愛いといつもの私なら思うことだろう。

 けど、その時の私はそう思わなかった。ただ、この時は彼女の言葉に驚いた。


「えっ……川瀬くんと遊ぶ約束?」


 思わず聞き返してしまう。そして、そんな私のオウム返しに、陽は首肯した。


「うん、約束……したの。今日一緒に遊ぼうって」


 聞き間違いじゃない。陽は川瀬くんと遊ぶと言った。間違いなく。そして、その事を聞いた私の胸に広がったのは、陽と部活が出来ない悲しみなどでは無く。ただ、純粋な……喜びだった。


「良かったじゃん陽! 川瀬くんと二人っきりになれて」


 ウサギのように、ピョンピョン駆け回りそうな衝動を抑え、私は陽の手を取る。

 そして、その陽はと言えば、照れ半分困り半分のような、そんな表情を浮かべていた。


「何で結が喜ぶのよぉ。それに……ただ遊ぶだけだから」

「遊ぶだけって、それでも十分過ぎるよ。それで何、何処で遊ぶ予定なの」

「……私の部屋」

「陽の部屋!? 凄い、良く川瀬くん提案出来たね、陽の部屋で遊ぼうだなんて」


 興奮が収まりきらない私。だって、そうだ。私が介入せずとも、川瀬くんと陽が接近してくれたら、嬉しいに決まってる。

 勝手に舞い上がる私。そんな私に陽はまた口を開いた。


「うん、私が提案したの。だって私が広に、遊ぼうって言ったんだから」


 照れたように、けど、溜めることなく言う彼女。

 けど……私は違う。私はあっさりと言った先程の彼女の言葉を、上手く聞き取る事が出来なかった。先程とは別の意味で。


「……えっ、今何て言ったの陽」

「ん?……だって私が広に、遊ぼうって言ったんだから」

 

 彼女は言葉を口にする。

 そして、その言葉は、私が記憶していたものと、一語一句同じだった。

 だからこそ、私は上手く飲み込めない、飲み込む事が出来ない。


「陽が……誘った? 川瀬くんを」

「うん、私が誘ったの、広を」


 キョトンとした、何故そんな事を聞くのか分からない風の陽。

 彼女からしてみれば、なんてことは無い当たり前の事かもしれない。けど、私は違った。

 

「陽、凄い、凄いよ! それって凄い前進だよ!」


 喜ぶより更に過剰に、私は感情を爆発させた。それこそ、握っていた陽の手を振り回すぐらいの爆発だ。そして、そんな私の行動に陽は振り回された。


「ちょっ、結。どうしたの急に」


 手を通して体を揺らされる陽。けど、そんな状況になっても嫌な顔一つもしないのは彼女らしくもあった。


「急に、じゃないよ。だってこれって初めての事でしょ」

「初めて? 何のこと」

「陽が、自分から誘った事だよ」


 陽は私が知る限り、二年生になったから三度、川瀬くんと遊んでいる。一つ目はヤオンで、二つ目はネズミランドで、三度目はつい最近のアウトレットモールで。

 どれも、それなりの成果は出している。けど、問題はどれも私が発端だと言うこと。一つ目も二つ目も三つ目も、私が陽と川瀬くんが共にいられるように計った。

 けど、今回は違う。私は介入してないし、それに結が()()から提案した。これを前進と言わずして何と言うのだろう。

 思っていたより近づいていたかもしれない。陽と川瀬くんは。もしかしたら、告白もそう遠くない? 


 そんな考えだったからこそ、わたしは喜びを全身で表す。開いている窓から外へ流れる程、大きな声も出して。

 けど、陽は違うらしい。

 私の言葉を受けた陽は、固まっていた。表情は無表情に近くなり、口も半開きとなっている。フリーズしているかのように。

 けど、その事を不思議に思う前に、彼女は動き出す。艶やかな唇が動き、そして、白い肌を携えた表情も困り顔へと変わった。


「別に何でもないよ。私から誘ったことも昔はあったんだから」

()()、でしょ。少なくとも私が陽と出会った、高校2年間じゃそんな事は一度も無かったよ。」


 私は笑っていった。裏表のない。純粋な思いから。

 けど、そんな私の言葉を受けた陽は、何か考え事をするかのようにまた表情を曇らせる。


 そしてそんな彼女を前に有頂天の私はただ単に、これまでの事を思い出しているんだろうなと、思うのだった。


ーーーーーーー


 陽は上手く出来たのかな。川瀬くんともっと近づくことは出来たのかな。それとも、もう告白しちゃったとか?


 当事者でない私は、思いを膨らませる。

 その日、ずっと私はその事ばかり考えていた。それこそ、午後の授業も、帰りも、夕食の時も、寝るときも。

 それしか、能がないように、私は想像する。


 だから、明日が楽しみだった。

 どうだった、上手く言った? と早く聞きたかった。

 連絡だけなら別にラインでも良い。けど、少なくとも今回は会って直に話を聞きたかった。


 そうして長い夜を超えて迎えた、火曜日。

 寝不足の体よりも心の方が元気だ。一刻も早く結果が聞きたい。そんな思いで私は学校までの道のりを自転車で漕いでいく。

 でも、だからと言って、学校に着いた私は陽のいる2-1には行かなかった。

 だって、2-1には、陽以外にも当事者である川瀬くんがいる。彼のいる教室で聞ける筈がない。それに何処かに陽を連れ出しても川瀬くんが不審がる。

 

 だからこそ、私は待った。

 正午の、昼食の時まで。あそこなら、陽と二人きり、安心して話せる。

 部室、そこは陽と私との空間。そして、そこを私は、気に入っている。いや……そんな言葉では言い表せないほど、あの場所、空間が好きだった。


 昼食の時間。授業が終わって早々私は部室へと向かう。

 けど、部室にはまだ陽は居なかった。

 いや、当たり前か。まだ、授業が終わってから5分も経っていない。普段陽は大体授業が終わってから10分位でやって来る。だから、彼女が来るまで私は待った。時間にして約5分くらい。けど、5分とは思えぬほど、長く感じた。

 その間、私は意味もなく部室内を歩き回る。さながら我が子の心配をする母親のように。


 けど、母親のように、待っていた子がやって来たとき、私がかけた言葉は、その子を思う言葉じゃない。私がかけた言葉は、私自身の欲求を満たす言葉だった。


「それで、上手くいったの陽」


 陽が部室に入って早々、私はそうきりだした。私にとっては漸く言えた言葉。けど、彼女にとっては違う。

 陽は答えず、首を傾げた。


「上手くいった? 何の事、結」

「ほら、あれだよ。昨日の放課後、陽の部屋で川瀬くんと遊んだんでしょ。どうだったの」

「あぁ、その事。うん、楽しかったよ」


 そう自然に、平然と、何事もないように、彼女は言った。

 そして、その言葉で、私は予想ついてしまった。予想ついてしまったのなら、それが声に出てしまう。


「楽しかった……て、それだけ?」


 呆れが混じりつつも、甲高い声を私は出す。一方陽はと言えば、そんな私の言葉に冷静に反論した。


「それだけだよ。だって、遊んだだけなんだから」

「遊んだって……だって、陽達は高校生なんだよ。その年頃の男女が部屋で遊ぶ。何かあっても可笑しくないでしょ」

「可笑しくはないよ。何、結。最近そう言う行為がある本でも読んだの」


 にやついた表情となる陽。本当に遊んだだけらしい。しかし、それでも、だめ押しで私は聞けずにはいられなかった。


「読んでないよ……けど、本当に遊んだだけなの」

「……遊んだだけだよ。本当に」


 そう言って、陽は微笑む。けど、その微笑みが何時ものような慈愛に満ちたものじゃなく、顔に影が落ちているように見えたのは、私の勘違いなのだろうか。

 

 ……いや、私の勘違いに違いない。きっと、期待が大きかった分、そう見えてしまったに違いない。

 私は短絡的にそう思った。


 ……けど、考える時間があれば、私は気づけたかもしれない、陽と川瀬くんとの間に何か合ったということに。

 それが出来なかったのは、ひとえに考える時間がなかったから。


 あの後、陽から再び今日の部活は休むと、聞かされた。


ーーーーーーー


 陽は休む理由について、昨日と同じように言葉を濁らした。そして、昨日と違うのは最後まで濁り切らしたということ。

 けど、想像はついた。委員会の用事なら言うだろうし、川瀬くんとまた用事があるなら、きっと言うだろう。

 

 濁らすのは、言いたくはないから。

 そして、そんな彼女の行動に私は見覚えがあった。夏休みが終わり、二学期が始まった日。

 陽は告白された。川瀬くんではない男子生徒に。

 

 きっと、今日もまたそうなのだろう。陽、話している間に、第三校舎裏側の方をチラチラ見てたし。

 

 それにしても、また告白される側か。陽が告白する側に回るのは何時になることやら。

 それに川瀬くん、女子の部屋で、陽と二人きりっだったのに本当に何もしなかったのかな。

 普通の男子なら、勢い余って、ということもありえそうだけど……まぁ川瀬くんなら仕方ないのかな。彼鈍感だし。


 けど、男なら、こう……ガツンといってほしい。じゃないと可愛そうだ、陽が。

 それにしても一体、どうしたら川瀬くんは動いてくれるのかな。思いきって、陽が告白される現場を見せるとか? いや、それはやり過ぎか。

 そんなことしたら陽に、絶縁されかねない。


 なら……だったらどうすれば良いのだろう。

 そんな思いで私は下駄箱までの道のりを歩いていく。

 時刻は放課後。授業が終わり、生徒達は部活動に励む時間だ。


 けど、私にはその予定がない。だからこそ、考え事をしながら、部室へと向かわず、下駄箱へと向かっていたのだけど、そんな折り、見知った人物が目に入った。


 普通の体格に、普通の背に、普通の髪型に。彼は後ろ姿だった。

 きっと、一年生の頃だったら、誰だが分からず、そして何事もなくスルーしていたに違いない。けど、今の私は分かる。後ろ姿でも、彼が川瀬くんだと言うことに。


 川瀬くんは廊下の曲がり角で立ち止まり、体を隠しながら廊下先を覗いていた。そんな覗き魔みたいな彼の行動が気になり、私は彼に声をかけた。


「川瀬くん、どうしたのそんな所で」


 只の好奇心で私は尋ねる。

 そして、そんな私の言葉に、川瀬くんは廊下先から目を離し、私の方を向いてくれた。


「あぁ、四条さんか。こんにちは」


 彼は口を開いた。

 けど、その口から出たのは、覇気を全て消し去ったような、か細く、脆い、声だった。

 それに、彼の顔もまた、声と同じくらい、血色が悪い。唇は紫がかり、肌も心なしか白く見える。それに、瞳もまた濁っているように見える。


 とにかく普通の、いつもの川瀬くんじゃない。当然の事ながら、私は慌てた。


「ちょっ、どうしたの、川瀬くん。気分でも悪い? それとも熱中症でもかかった? それとも風邪?」

「どうしたのって。僕は健康だよ。熱もないし、吐き気もない」

「なら、どうしてそんな顔になるのよ」

「どうしてって、僕がそんな気分だからじゃないかな」

「そんな……気分?」


 そこで、私は思い出す。先ほどまで川瀬くんが廊下先を覗いていたことに。

 そこに何かあるのだろうか、彼をこんなにした元凶が。

 待たしても私は好奇心で……いや、ひょっとしたら気づいていたかもしれない。けど、それでも、後悔すると分かっていても、私は覗いたと思う。だって、そうしないと先には進まないから。


 廊下先には二人の男女がいた。男女といっても生徒同士じゃない。先生と生徒だった。二人はやけに親密に、それこそ普通の先生と生徒の関係には見えなかった。やけに互いの顔を見つめ会うし、やたらと女子生徒の方は男性教師の体をペタペタと触るし、男性教師もそんな彼女の行動を拒絶しないし。

 とにかく普通じゃない。異質だ。だからこそ、普段の私なら見てみぬ振りをして、急いでこの場を立ち去るだろう。

 けど、今の私は立ち去らなかった。それは川瀬くんが近くにいるということもあるだろうけど、それ以上にその二人が私の知る人物だから。

 川瀬添と崎島教助。私と少なからず関わりのある人物。

 でも……彼は違う。彼は私以上に彼らと関係を持っている。

 そして、中でも彼女に対して彼が抱いている思いは……


 気がついた時、近くにいた川瀬くんは座り込んでいた。廊下に尻をつけ、頭をぐったりとして。

 普通なら、容体を聞いて、保健室なりに助けを求めるだろう。けど、私はそうはしなかった。私は彼の容体を心配しなかった。

 私の胸の内に生まれたのは刺々しいもの。私は彼に言いたい事があった。彼にぶつけたい感情もあった。抑える事なんて……出来なかった。


「……川瀬くん、昨日陽の家に行ったんだってね」

「………」

「答えてよ!」


 目線を会わせずに立ったまま、彼を見下ろしたまま私は叫んでいた。

 曲がり角の先、廊下にいる二人に聞こえたかもしれない。けど、この時の私はそんな余裕なんてなかった。


 この時の私の脳裏に浮かんだのは、陽の姿だ。川瀬くんの事を嬉しげに話す陽。川瀬くんとの買い物を楽しみにする陽。川瀬くんからのプレゼントであるヘアピンを、髪に着ける陽。川瀬くんから似合っていると言われ恥ずかしがる陽。

 全部、全部、全部、川瀬くん繋がり。


 なのに……なのに、川瀬くんはそんな陽を無視するの。見ないの。

 貴方は…………彼女しか、見ないの?


 許せなかった。自分の事じゃないのに、自分の事以上に私は、勝手に、一人勝手に川瀬くんを憎んだ。


 きっと、今の私は醜い顔をしているに違いない。そして、それを川瀬くんは知らない。

 だって、叫ばれてもなお、彼は頭を下げているままなのだから。


「行ったよ」


 気力なく、彼は答えた。

 けど、そんな彼の態度が尚更私の怒りを燃え上がらせる。


「だったら、何とも思わなかったの、何も感じなかったの。陽の事を良いとも思わなかったの!」


 言い過ぎたと思った。暴言じみた言葉を彼に浴びせたことじゃなくて、陽の件で。

 これでは陽の思いを踏みにじる事になる。だって、これだと、陽は君の事が好きだと、言っているのと変わりない。彼女の思いを、彼女の了承なしに告げる事になってしまう。

 

 けど、そう分かっていても、冷静にはなれない。それほどまでに私はヒートアップしていた。だからこそ、川瀬くんの言葉は重要で、一言だって私は聞き逃さなかった。


「良いとは思ったよ」

「なら、何でっ」

「けど、陽は友達だ。友達として、楽しく過ごせたよ」


 相も変わらず気力なく、けど、スッキリとした声で彼は言った。

 それを聞いて私は思った。分かってないと。まだ、川瀬くんは陽が自分の事を好きだと気づいてないと。

 なら、まだ覆せるかもしれない。私が陽の思いを無視してでも、言ってしまえば。川瀬くんは陽の事を見てくれるかもしれない。思ってくれるかもしれない。

 

 それは、耐え難い程、魅力的だった。


「だったら、友達以上になろうとは思わないの」

「……」


 その魅力に私は……


「友達や幼馴染以前に、陽は……女……だよ」

「……」


 抗えなくなる。

 もう、喉まで来ていた。陽は貴方の事が好きなのよと。


 ……けど、結局の所、私は言わなかった。いや、言えなかった。だって、それより前に、彼が口を開けたのだから。


「僕が陽を好きになることはないよ」


 ハッキリと、聞き間違える事がないほどに、彼は明瞭に言った。私がある意味望み、望まなかった答えを。

 そして、その答えを前に、私は……


「な、何で……」


 これしか言えなかった。

 そんな無力な私に、尻もちをついている彼は顔をあげて視線を合わせてきた。

 彼は……笑っていた。


「だって、僕は妹の事が()()()()()


ーーーーーーー


 どうやって帰ってきたか分からない。

 気がつけば私は自室にいて、ベットに倒れこんでいた。

 窓から夕日が射している。赤く情熱的な、それでいて、終焉を思わせる寂しさ。

 

 繰り返し、思い出すのはあの時の川瀬くんの表情、言葉。

 笑っていた。でも笑顔じゃない、自虐するかのような笑ってくれとでも言うような、痛々しい笑い顔。

 言っていた。妹が好きだと。きっとlikeじゃないloveの、好き。


 何度も何度も思い出す。嫌だと思っても、見たくないと思っても、壊れたデッキのように、繰り返し映像が流れる。

 そして、その映像を見る度に、思い出す度に私はこう思った。


 気持ち悪い、と

 

 

 

 

 


次は川瀬添視点となります。

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