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第2話 颯爽登場!


どうも、連投です!


この話は「メカクシティアクターズ」のdazeを聴きながら書きました!


宜しくお願いします!

 

 入学式会場である体育館に入る聖斗。

 何だか外が騒がしいようだが、努めて無視することにしたようだ。


 体育館の中には新入生全員分のパイプ椅子が並べられており、そこから2組と書かれたプレートが立っている所を見つけると、そこに向かって聖斗は歩き出す。そこそこに人は集まっているようで、外にいる生徒たちが入れば席は埋まってしまいそうだ。


 そして、ここでも先程と同じような出来事が起こる。


 「きゃー! あの人超カッコよくない!?」

 「モデルみたいです!」

 「2組かー! 私も同じクラスになりたかったよ!」


 女子生徒たちは、2組の椅子に座った超絶イケメンを見て、隠そうともしない大声でそんなことを喋り出す。内心は嫌で仕方がないが、自分がどういったところで更に場が騒々しくなることは経験済みの為にここでもスルーことにした。


 一々こんなことに目くじらを立てていては心身共にもたない。

 若くして様々な経験をしてきた聖斗は、最早呆れを通り越して達観しており、そのスルースキルの右に出る者はこの年代ではいないだろう。


 なるべく女子たちの声を自分の意識外に飛ばそうと、別のことを考えようとする聖斗の耳に、またも新たな騒々しい声が聞こえてくる。


 「くそっ! なんだあのイケメン野郎! 男から見ても見惚れちまうくらいだ」

 「俺らが束になっても勝てねぇよ」

 「諸君、我々の青春は終わりを迎えたと言っても良いだろう」


 そう、今度は女子生徒ではなく男子生徒たちの声だ。

 女子たちは、聖斗のイケメン具合に顔を赤くしながらあれやこれやと話に花を咲かせている。


 一方の男子たちは、聖斗のあまりのイケメン具合に腹を立てた男子生徒たちが顔を赤くしながらあれやこれやと話に花を咲かせている。


 若干名、ハアハアと息を荒らげながらこちらに熱視線を送る男子生徒もいたが、聖斗の野生の勘? のようなものが脳内に警告を鳴らした為に、絶対に目線を合わせないように目の前のステージだけに焦点を合わせた。


 そして、聖斗は心の中で思う。


 また、俺の学校生活は青春なんてものとおさらばだ、と。


 モテまくる癖に何をと言う者が大多数だろう。

 しかし、聖斗からしてみればそれは青春なんて言葉で美化される甘酸っぱいものではない。これは、戦争なのだ。


 と言っても、聖斗が戦争を仕掛けるでも仕掛けられるでもない。

 聖斗の預かり知らない所で、彼を賭けた熾烈な戦いが繰り広げられるのだ。


 通っていた中学ではあまりの規模と苛烈さに、学校側が介入して非常に厄介なことになってしまった。聖斗は悪いことを一つとしてやっていないのだが、その原因として挙げられる聖斗が一声掛ければ鎮まったのではないかと、校長先生並びに担任教師から高圧的に言われたことは今でも覚えている。


 何故自分が怒られなければならないのか、理解出来なくはないが自分抜きで勝手に大きくなった話を自分ひとりのせいにしないで欲しくないと訴えるも無駄であった。


 その他にも色々なことが重なって、聖斗は次第に他人というものが信じられなくなっていった。女子からは最早人ではなく、自分の見た目だけを買った景品扱いをされ、男子からは理不尽な嫉妬と恨みの篭った視線を浴びせられるばかりであった。


 そんな彼の心はズタズタであったが、1人の友人がいてくれたからこそここまで来れた。正直、鬱病の一歩手前まで進んでいた聖斗の手を取り、引き返させてくれたのは他でもない自分の親友。


 そして、その親友は自分のことが心配だという理由で進学先を同じにしてくれた。この神喜多高校は中々偏差値が高い学校であったが、一生懸命勉強して一緒に合格通知を見せ合った時は嬉しくて涙が出た。


 その時に流した涙をイジられることもあるが、本当に心の底から嬉しかったことと、その親友相手ならば自分の涙を見せても良いと思っている聖斗は後悔していない。


 一緒に登校しようと提案をしたのだが、当日の朝の集合時間ギリギリになって遅刻の旨を連絡された。先に行っておいてとメッセージアプリで送られてきたので、了解と返信して先に聖斗だけ来たのだ。


 そろそろ、入学式が始まる時間。

 外にいた親衛隊たちも、聖斗の背中姿に向かって祈りを捧げた後それぞれのクラスの椅子へ座っていく。どうやら友人はまだ着いていないようだ。


 開会までもう後1分、これは間に合わないだろうと思った聖斗は気持ちを切り替えて入学式開会に臨む。


 バンッ!!!


 と、そこで後方の生徒出入口から扉を開く大きな音が聞こえる。

 もう全員集まった頃だろうと判断した教員が扉を閉めた矢先に、一人の生徒が息を荒くして入ってくる。


 「せ、セーフ……!」


 そう深い呼吸をしながら、何とか時間に間に合った生徒に皆が注目する。


 「き、君。危ないからそう音を荒立てて入ってくるものではない」

 「あ、はい。すみません!」


 いきなり入ってきた生徒を軽く(たしな)める教員。

 その教員に向かって元気一杯の声で、頭を下げて謝罪をする女子生徒。

 

 染めている訳ではなく、地毛で少し明るめの茶髪をボブカットにした朗らかそうな可愛い女の子。背は女子高生の平均身長程で、顔も非常に整っている。あくまでも自然な薄い化粧は彼女の魅力を余計底上げさせていた。


 美少女と呼ぶに相応しい女子生徒は、下げていた頭を上げてキョロキョロと周りを見回した後に目的の対象をその視界に捉える。


 「あっ! しょう君見つけた! 私も2組だよー!」


 彼女の視界の中心には親友の男子生徒。

 銀色の綺麗な髪をして、神秘的な容姿をしている『氷王』と呼ばれる超絶イケメン。そう、白峯聖斗だ。


 「茅咲(ちさき)

 「しょう君と同じクラスになれて良かったよー! あ、隣座るね!」


 いつの間にか聖斗の隣に移動し、腰を下ろす女子生徒。

 彼女の名前は絵星茅咲(えぼしちさき)と言い、小さい頃からの幼馴染みで聖斗の信頼してやまない親友である。


 「全くお前は。……まぁ、改めてよろしくな」

 「うん! よろしく!」


 可愛らしい童顔を、喜色に満ちた表情に染める茅咲に、聖斗はため息を零しながらも先程までの無表情とは違い、その口角は上がっていたのだった。



3話は明日の17:00頃に更新します!


読んで頂きありがとうございます。


もし気に入って頂けたらブックマークして頂けると幸いです。

また、ポイント評価、感想も貰えるとモチベーションが上がりますので宜しくお願いします!

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