【錬金術師】
クエストが終わって、俺たちはギルドに戻ってきていた。あたりは陽が落ちてきている。
「エリナさん、クエスト終わりました」
俺はそう言って持ち帰った保存瓶をエリナさんへと渡す。
「早かったですね。ポイズンニュートは中々手強い魔物だと思いましたが」
「ま、まぁ俺も少しは強くなったって事で」
「じゃあフリードさん、5万デリーはこちらでわたしますが、今回は依頼主のイリアステルさんが別の報酬を手渡しされるそうなので、ここに書いてある住所に向かってください」
そう言ってエリナさんは依頼書に書いてある住所を指差した。
「わかりました」
「終わったら一応ギルドに戻ってきてくださいね」
「はい」
というわけで俺たちは、依頼主のイリアステルさんの家へと向かった。
「す、凄い古い家ですね。僕の魔物時代なら走ったら壊れちゃいそうです」
サシャが家を見てそう言った。
彼の家は、王都の離れの方にあり、年季の入った小さな家だった。
「ごめんください。クエストを受けたものですが」
玄関の戸を叩いてそういうと、少しして扉が開いた。中から出てきたのは、髪の毛がボサボサの20代前半くらいの男だった。四角の眼鏡をかけているが、割と顔は整ってるな。
「貴公が吾輩の依頼を受けてくれたものか。これは有難い。中へどうぞ」
「あ……はい。お邪魔します」
中に入ると、既に本だのゴミだのが散らかっていた。この人は整理整頓できないタイプか。
部屋に入り、椅子に座るよう促されたので俺たちは座った。ギシギシと今にも足が壊れそうな椅子だ。
「吾輩がイリアステルである。ここでは錬金術をしている」
「錬金術なんて珍しいですね。いったいどんな事をしてるんですか?」
「究極的にはあらゆる物を金に変えて大金持ちになろうと考えているのである」
案外俗っぽい性格だなこの人。もっと高尚な考えでもあるかと思ったが。
まぁけどこの家のボロい感じを見たらあまりお金がないんだろうな。錬金術なんて珍しいからどっかのお抱えにでもなれるかと思ったけど。
「何か成果は出てるんですか?」
「うむ。色々と作ってみた。そこで貴公に渡す報酬がこれだ」
イリアステルさんは、後ろの方から液体が入った瓶を持ってくると、机に置いた。
液体は青い色をしていて、一見ポーションのようにも見える。
「これは?」
「吾輩の特性『元気になる薬』だ。これを飲めば1日の疲れもバッチリ取れるのである」
「凄いじゃないですか。試したんですか?」
「いや、吾輩は使ってないのである」
使ってないのかよ。じゃあ効果わかんないじゃん。
「大丈夫なんですかこれ」
「大丈夫である! 吾輩を信じるのである」
「そ、そうですか。では有難く貰っていきます」
「ところで貴様は今何をして金を得ているのじゃ? 見たところ錬金術は儲からなそうじゃの」
キョロキョロと辺りを見渡したホムラがそう言った。
「貴公は、人弧族であるか? 珍しいのである」
「不敬な。妾をそんじょそこらの人弧族と一緒にするでない。妾は、神魔――もがががぐ」
「まぁまぁホムラその辺にして」
俺はホムラの口を手で抑えた。
ここで神魔だった事を言ったりしたらまたややこしい事になる。それは置いといてもらおう。
「それにそっちはサイクロプスヒューマン? それともゲイザーヒューマン? それとそっちはスライムヒューマン。凄い組み合わせであるな」
「ひぇっ、あんまり見ないでください……僕はサイクロプスの方です」
イリアステルさんが興味有り気にじろじろとサシャ達の事を見始めた。サシャは怖がって俯いている。
「吾輩は貴公らに興味を持ったのである。もしよければまたきて欲しいのである」
「わかりました。この薬の効果とかも後で報告しに行きますよ」
そう言って俺はとりあえず液体の入った瓶を持って、立ち上がった。
「ではこれで失礼します」
「ああ、また来てくれ」
俺は家から出て、報告をしにギルドへと向かった。
それにしても、変わった人だったな。
「あ、フリードさん。お帰りなさい」
「とりあえずイリアステルさんから報酬は頂きました」
「そうですか。ではこれでクエストは終了になります。お疲れ様でした」
さて、さっさと帰るか。テンネ達もお腹すいてるだろうな。
「あ、そうだ、フリードさん。先ほどフリードさんの幼馴染を名乗る人がここにあなたを訪ねてきましたよ?」
「幼馴染って……」
まさかロイヤー!? いやあいつらは捕まってるはずだし……。
「ど、どんな人です?」
「えーと、女の方でしたよ。フリードさんと同じくらいの歳で、名前は……リズって言ってました」
「リズッ!?」
なんであいつが……ここに?
俺に会いにきたのか!?
「はい。フリードさんを探してたみたいですけど、ギルドとしては個人情報を教えるわけにもいかないのでお引き取り願いましたが。フリードさんは不幸の家の持ち主としてちょっと有名ですから、情報を手に入れてもしかしたら家に行ってるかもしれませんね」
「な、なるほど……わかりました」
今更なんであいつが……俺のことを嫌ったんじゃなかったのか?よくわからないけど……聞いてみるしかないか。
俺はとりあえずギルドを出て、家へと向かった。




