【久々のクエスト】
ちょい少なめです。
エリナさんとのひと騒動も終わり、次の日になって俺はギルドへと訪れていた。
「せ、先日はどうもお騒がせしました……」
エリナさんが恥ずかしそうに顔を赤らめてそう言った。
「いえいえ、気になさらないでください」
「ほ、本当にありがとうございます。そ、そうだ、フリードさん。プレート、届きましたよ」
エリナさんがごそごそと受付の机から何かを取り出した。それは、銅で出来た冒険者のプレートだ。
そう、実はこの前のエルフ国の一件で、俺はいきなりCランク冒険者になる事になったのだ。
「失くさないように体のどこかにつけておいてくださいね」
「はい、わかりました。じゃあ俺はクエスト探してきます」
「はい、ごゆっくり」
クエストが張ってある掲示板の方へと向かう。
「ほぅ、これが人間どもがやっている依頼か……興味深い」
ホムラが、ふむふむと頷きながら張り出された依頼書を眺めている。ちなみに依頼が張っている掲示板の位置が高いので、俺が抱きかかえてわざわざ見せてやっている。腕が疲れてきたんだが。
依頼を受けるだけなら俺だけいいと言ったのに、ホムラが興味を示して付いてきたのだ。
「これなんてどうじゃ?」
ホムラが指をさした依頼内容はこうだった。
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依頼主:イリアステル
制限:Cランク以上
依頼内容:ティナルア湿地にいるポイズンニュートの毒肝を手に入れて欲しい。魔物は名の通り強力な毒を吐きます。
報酬:5万デリーと私の錬金術で作った特別な薬品
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ポイズンニュートか。確か巨大なイモリって感じだったな。口から毒を吐いてくるんだよな。
「よし、受けてみるか。それにこの報酬の錬金術で作った薬品ってのも気になるし」
「うむ。妾の時代でも錬金術を使えるものは殆どおらんかったからのう。ちぃと興味が湧いたわ」
錬金術士なんて滅多にお目にかかれない。こういう機会で見ておくのもありだろう。
「エリナさん、これでお願いします」
「はい。あぁ、このクエストですね、これは――」
軽い説明と魔物の紹介を受けた後、正式にクエストを受注した。
さて、一旦家に戻ろう。
というわけで家に戻ってきた。リビングで勢揃いした魔物娘たちにクエスト内容を告げる。
「今回はポイズンニュートだ。つまり毒を使ってくる。俺たちも人が増えてきたし、一度のクエストには4人くらいで行きたいと思ってるから、向いてそうなやつを選ぶぞ」
とはいえ、確か俺たちの中で毒耐性スキル持ってるやつはいなかったよな……。
そう思って、みんなのスキルを確認してみると、前と比べて変化があった。スキルが増えているのだ。テンネとリンが増えていた。そんでもってリンの方のスキルは、なんと毒耐性スキルだ。
『中和』
毒に耐性ができる。体の中で中和する。
おお、これは素晴らしい。
「よし、まずリン」
「はい、マスター」
「後は……サシャも連れて行こう。まだ一緒にクエストしたことないし」
「は、はい」
「後は妾じゃな。これでちょうど4人。終わりじゃ」
ホムラが割り込んできてそう言った。まぁクエスト選んだのもこいつだし、いっか。
「じゃあ一応このメンバーで行こうと思うけど異論あるか?」
「私はいいぞ。暇なうちに散歩をいっぱいしておくにゃ」
「ノンはこの前行ったからいいやぁ」
「僕たちはどうせ昼に行動できないからね。ねぇ、姉ちゃん?」
「そうね。別に寂しくなんかないわよ」
レモンが腕を組んでそう言った。若干寂しそうに見えるのは気のせいだろうか。
「じゃこのメンバーで行こう。行ってくるよ、みんな」
俺はそう言って、家を出た。
さて、ティナルア湿地か。北西の方だったかな。
そんなことを考えつつ、俺は馬車を見つけて乗り込んだ。ティナルア湿地までは2時間ほどかかって着いた。
あたりには木が生い茂り、そこかしこに沼がある。地面もあまりしっかりしてないな。
「ぐちょぐちょします……」
サシャが足を上げて不満げにそう言った。
「さて、どこにいるのかのぅ?」
「お前はまず俺の背中から降りてくれないか?」
ホムラは勝手に俺の背中におぶさっていた。彼女いわく歩くと泥が服につくから、らしい。こいつ本当に俺に服従してんのか?
「ポイズンニュートはあまり表に出てこない。森の奥の方にいると、本に書いてあった」
リンがそう言った。
「それじゃあとりあえず進んでみますか」
俺たちは奥へと進み出したのだった。




