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【スライム】

 

 装備も購入した俺たちは、次の日装備をつけてギルドへ赴いた。


「装備も買ったし新しいクエストを受けよう」

「頑張るにゃ」


 そしてクエスト一覧を見て目についたものを見る。それはスライム採取だった。

 スライムは回復薬であるポーションの元にもなるため、こうやって討伐兼採取クエストが貼られている。

 俺は受付に向かい、クエストを受注することにした。今日もいつものお姉さんだ。


「あら、フリードさん。装備買ったんですね」

「あ、はい。俺の事覚えててくれたんですね」

「それはもう。ずっと薬草採取されてましたから」


 そう言って「うふふ」と笑うお姉さん。

 か、可愛い。年齢は俺より少し上に見えるけどいくつなんだろう。


「あ、あの今日はスライム採取をお願いしようと思って」

「そうですね。装備も問題ないようですし、かしこまりました。少々お待ちください」


 そう言って彼女はカウンターの裏から瓶を4つ持ってきた。


「この瓶にスライムの核液を入れてきてください。核についてはご存知ですか?」

「はい。スライムの体内にあるスライムの心臓のようなものですよね。で、その核を壊すと中から核液と呼ばれる液体が出てくると」

「はい、その通りです。では大丈夫そうですね、気をつけて行ってらっしゃいませ」


 手を振って見送ってくれた。

 さて、頑張るか。


 俺たちは、そのままダンジョンへと潜った。スライムは比較的浅い階層で出てくるので一階か二階あたりで探してれば見つかるだろう。


「あ、フリード。スライムなのだ!」

「なに!」


 テンネが指差した方には、確かに透き通った水色を持ち、地を這うスライムがいた。


「よ、よし。やってみるか」


 俺はじりじりとスライムに近づく。

 こいつ目とかないからどこ向いてんのかわかんないんだよな……。まぁ動いてる方が前なんだろうけど。

 俺は近距離からスライムに向かって短剣を振り下ろした――つもりだったが。


「ぐぉっ!?」

「にゃっ? フリード!?」


 なんだこいつ! いきなり飛びかかってきやがった! 顔面に張り付かれた、まずい……息が……。

 俺は思わず張り付くスライムを手で叩くがスライムに打撃は効かない。焦る事で酸素がなくなり余計苦しくなる。


「にゃ、にゃにゃにゃ! フリードを、離せええええ」

「もががががが」


 痛い痛い痛い! テンネが引っ張ってくれるのはいいけどスライムごと俺の顔の皮膚も剥がれそう!


「だ、だめだ。剥がれないのだ。ごめんフリード。フリードの事は忘れないのだ」


 勝手に殺すな、合掌するな!

 くそ、流石にそろそろ息が限界だ。

 剣はまだ手に持ってる。これを俺の顔を傷つけないようにスライムに突き刺す!

 スライムの核は表面の水色より少しだけ青く、球体状だ。そこを剣で、突く!


 核を突き刺すと、どろっとした液体が中から溢れて、スライムは俺の顔から離れて形を保てなくなり崩れた。


「はーっ、はーっ、はーっ。し、死ぬかと思った」

「にゃはは! フリードの顔アンデッド族みたいに真っ青なのだ!」

「お、お前な……まぁいいや核液の回収をしよう」


 スライムは初心者向けとされているが、油断しているとやられるらしい。今ので十分理解した。

 俺は崩れたスライムの中から青色の核液だけをすくい取り採取した。この感じだと10回くらい入れてビン1つってところだな。


「よし、ちゃちゃっとクエストこなすぞ、テンネ」

「あーい」


 そうして俺たちはスライムを倒して核液を採取していった。


「にゃあフリード、あのスライム見て」

「ん? ……ってでかっ!」


 テンネが指差した方には他のスライムよりふた周りほど大きいスライムがいた。

 あのサイズならかなりの核液が手に入りそうだな。


「よし、狩るか」

「行くにゃ!」


 俺たちは走り出し、手慣れた様子でスライムに斬りかかった。剣がスライムの体を切り裂いた――かと思ったが、


「くそっ、普通より硬い!」

「切り裂けないのだ!」


 俺たちの剣はスライムに弾かれた。そして俺たちの存在に気づいたスライムは、体を一気に広げると、俺の全身を呑み込んだ。


「フリード!」


 まずい! まさか全身を呑み込まれるとは!

 息ができねえ。こいつには剣も通らないしまずい。このままだと死ぬ。


 服が溶け始めてる? なるほど消化しようって魂胆か……。

 しょうがない。こいつは最終手段だったが……しのごの言ってられないな。効いてくれよ!


「『リライフ』!」


 まばゆい光が辺りを包む。

 瞼を閉じ、それが止むのを待つと光が消え、残ったのはボヨンとした弾力のある感触だけだった。なんだかとても気持ちいい。


「む?」


 声は俺が発したものではない。俺の背後にいるスライムだ。どうやらスキルは成功したみたいだな。さて、どんな顔をしてるやら。


 そう思い、振り返ると、そこには青いおっぱいがあった。


「なんだこれ!?」


 びっくりして少し距離を取ると、スライムの時のまま青く透明な肌を持つ、人型の魔人がいた。

 頭から爪先まで青く透明な物質で構成されている。いや、瞳だけはエメラルドだ。整った顔をした美少女だ。


 そして何より彼女は、胸が大きい。身長はテンネより小さいのに、テンネよりふた回りは大きい。こいつに挟まれてたからさっきは気持ちよかったのか。


「これは、どういうこと?」


 スライムの女の子は首を傾げていた。

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最強な主人公が無自覚のまま冒険するお話です
おつかい頼まれたので冒険してたら、いつのまにか無双ハーレムしてました〜最強民族の【はじめてのおつかい】〜 >
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