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【サイクロプス的少女】

 

「グァゥ!? ガァゥ!」

 

 俺がサイクロプス達の前に出ていくと、いじめっ子サイクロプス達は何か驚いた様子でそう声をあげた。


「すまん、何言ってるかわからん」


 俺はそれだけ言って、後ろを振り返る。するといじめられっ子サイクロプスが俺のことを不思議そうな目で見ていた。


「今からあんたに助太刀する。話はそれからさせてもらうよ」


 一応話しかけてみるが反応はない。


「ご主人、こいつら斬っていいのぉ?」

「あーでも殺すな。殺して反感買っても困るから。追い払う感じで」

「はぁい」

「ホムラはおりろ」

「仕方ないのぅ」


 ホムラはひょいっと俺から降りると、トコトコと歩いて隅の方へ行った。

 俺は腰から剣を抜く。


「さて、剣を見て逃げてくれると有難いんだが……」

「グァゥ!」

「無理か、仕方ない」


 サイクロプスは棍棒を俺に振り下ろしてきた。俺はそれを横に避ける。

 流石に今までの経験で、ある程度の攻撃は慣れたな。サイクロプスは確かCかDランクだったっけ。

 俺は避けたついでに、剣を少し斬りつける。


「グァ!」


 サイクロプスの単調な攻撃を避けて、少し斬る。それを繰り返していると、サイクロプス達も怯え、逃げ始めた。


「次来たら殺すぞ」


 俺は通じるかわからないが逃げていく彼らにそう言った。行った途端足早に去って行ったから効いたかもしれない。

 俺は剣を収め、いじめられっ子サイクロプスの方へ振り返る。


「終わったぞ」


 サイクロプスは少し怯えているように見えるけど、さっきと違って逃げる気配はない。どうやら掴みは成功したらしい。


「話が通じるかわからないけど、頼みがある。魔人になってくれないか?」

「グァ……?」


 まだよくわかってないかな。

 俺はサイクロプスを指差した後、ノンのことを指差す、という動作を繰り返した。

 すると理解したのかサイクロプスも自分の指をさして、今度はホムラのことを指差す。


「そう! 魔物から魔人になるってこと! どう、助けたお礼っていうのも変だけど、俺の為に魔人になってくれないか? ただそうなると一応俺のしもべみたいな契約になっちゃうけど」


 伝わったかはわからない。

 ただサイクロプスは少し迷った様子だったが、間を置いた後、頷いた。


「これ、やっていいのかな」

「別にいいじゃろ。魔物が魔人化を断る理由がない。それはつまり圧倒的な進化だからのう。まぁ妾のような神魔にとっては弱体化じゃが?」

「ノンもいいと思うよぉ。魔人化なんてみんなの憧れだよぉ」

「そ、そうか。なら遠慮なく……『リライフ』!」


 俺のスキルが発動し、サイクロプスの体が眩く光り始めた。そして光が治ると、そこには人間と同じ肌色をした単眼の少女が現れた。髪は基本的に黒く、ところどころに薄い緑色が入っている。そして前髪は斜めに切りそろえられていた。

 これ毎回思うけど人化するとき髪とかどうやって決められてるんだろう。とりあえず全裸だし着るものを渡しておこう。

 そう思って俺は羽織るものを手渡した。


「えっ、これ僕……本当に魔人化してます!」

「ああ、これが俺のスキルだ」

「凄い! 凄いです……」

「今更だけど勝手に助太刀してよかった? 俺的には君がそこの猪達を守ってるように見えたからさ」

「はい。僕、この子達を殺されたくなくて、だからありがとうございました」


 少女は、そう言って猪達を撫でようとしたが、猪たちは「誰だこいつ?」みたいな顔をした後、みんなで一斉に走って逃げてしまった。


「あ」

「逃げたな」

「ま、まぁいいですよ……無事なら」

「貴様、殺されたくないと言ったが、何故じゃ? サイクロプスは猪が好物のはずじゃが」

「ちょっと前に、怪我してる猪がいてなんか可哀想に見えたから、僕手当てしたんです。そしたら愛着湧いちゃって」

「なるほど。それで好物も食べれん阿呆になったと」


 ホムラがバカにしたような声でそう言った。


「いや、猪は食べますよ?」

「え? 食べんの!? 今の流れで!?」

「はい、あの子たちは特別ですが、他の猪は美味しそうなので」


 魔物ってこういう区別みたいなところが激しいことあるよな。


「なるほどわかった。あと実は魔人になった君は俺に逆らえないんだけど、いい? まぁダメって言われてもどうしようもないけど」

「勿論いいですよ! 僕ずっと魔人になりたかったんです。人間の人とお話ししてみたかった……」


 そう言って、俺の目を見てきたので、見つめ返すと、彼女は焦った様子で大きな目を逸らした。


「あっ、あのごめんなさい。気持ち悪いですよね、1つ目なんて……」

「そんなことないさ。大きくて可愛い目じゃん」

「え……そ、そう、ですか?」

「ああ、自信持って」

「わ、わかりました」


 彼女は少し照れた様子でそう言った。目だのツノなんだのはそれぞれの個性だからなんでもいいと思うけどな。


「あ、そうだ。名前、ないだろ? 名前決めてもいい?」

「は、はい。お願いします」


 えーと。サイクロプス、単眼、1つ目、緑、シャイ、ボーイッシュ。

 

「よし、お前の名前は、『サシャ』だ」

「僕の名前は……サシャ」

「問題ないか?」

「は、はい! ありがとうございました」

「さて、それじゃちょっとサシャの能力見せてもらうよ。『鑑定』!」


 俺の目の前に青い炎の板が現れる。


 ♦︎


 名:サシャ

 種族:サイクロプス→サイクロプスヒューマンプラス

 体力:A

 魔力:C

 攻撃力:S

 守備力:C

 知力:C

 精神力:F

 器用さ:A

 俊敏性:S

 運:D

 信頼度:A

 スキル

『鑑定』『グラウンド』『見極め』


 ♦︎


 お、やった! 鑑定ある!

 えと、スキル説明は……。


『鑑定』

 対象人物の能力を可視化することができる。条件は、対象相手の体に触れ、10秒間どちらも動かないこと。

『グラウンド』

 土属性魔法。地面を隆起させたり、岩を剥がして操ることができる。

『見極め』

 相手の攻撃などの動きが繊細に見え、動きの癖、軌道などを読み取れる。


「鑑定ってこんな条件あったんだ」


 俺のはないけど……これは俺が魔人化させた魔物にしか適用できないっていうのが条件なんだろうな。


「えーと、じゃあサシャ。俺の肩に触れて10秒くらいしたら鑑定のスキルを使ってみてくれ」

「え? は、はい……1、2、3――」


 彼女は言われた通り俺の肩に手を触れた。


「9、10。えと、『鑑定』」


 彼女の目の前には緑の炎を放つ板が現れた。おお、成功したらしい。


「俺の能力なんて書いてある?」

「えーと……す、すみません。読めません」

「あ、そりゃそうか。ご、ごめん」


 俺は彼女側に回って炎の板の中を覗いてみた。

 さてさて、どんな能力になってるやら……。

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最強な主人公が無自覚のまま冒険するお話です
おつかい頼まれたので冒険してたら、いつのまにか無双ハーレムしてました〜最強民族の【はじめてのおつかい】〜 >
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