【迷宮と姫⑦】
起きたらどこぞの神々がポイントを入れてくださったようでジャンル別日刊ハイファンタジーに入る事が出来ました。ありがとうございます!
神は魔物娘好きだったようですね……
では今後ともよろしくです。失礼しました。
ダンジョンから連行された俺たちは、そのまま王都にある城へと連れていかれた。そして広間のような場所に入る。どうやら今、城には王と王妃はいないらしい。どこかの国へ出かけているようだ。
ばねみたいに金色の髪を巻いているリールラって女の子がこの国のお姫様らしい。初めて見たけど綺麗な子だ。けどお姫様にしては凄い強気な感じがするけど。
「それで? じゃああなた達はルクスの玉がどこに行ったのかはわからないってことかしら」
「そ、そういう事になります」
リールラ姫がきいてドミニクとかいう男の人がそう答えた。すると近くにいた兵士の1人が彼とロイヤーとゾックの3人を鞭で叩いた。彼らは低いうなり声を出す。凄い痛そうだ。
俺たちは兵士の人が無実を訴えてくれたおかげでとりあえずは助かった。本当にありがとう兵士の人。まぁただの兵士じゃなくて、アイデン騎士団の人だったみたいだけど。
「あなた達がどれほどの大罪を犯したか分かっているの? ルクスの玉はただの綺麗な玉じゃないのよ」
「す、すみません」
「すみませんで済む問題じゃないの! ていうか私の試練も台無しにしてんだから謝って許すわけないでしょーが! 死刑よ死刑!」
姫の怒号とともに再び彼らに鞭が飛ぶ。姫は息を荒げながらなんとか冷静さを保とうとしているように見えた。
そして姫が死刑といったことで、3人とも目の色を変えた。
「ちょ、ちょっと待ってください。死刑って、本気ですか? 僕は、まだ死ぬわけにはいかないんです!」
ロイヤーが腫れた背中で媚びるようにそう言った。だがリールラ姫は汚いものを見るような目で淡々と返す。
「知った事じゃないわよ、そんなの。王家の秘宝を盗もうとした挙句に紛失してるんだから死刑に決まってるでしょ。少し考えればわかるじゃない、馬鹿なのあんた?」
「うっ、嘘だ! 僕がこんなところで死ぬはずがない! 僕は! 僕は!」
ロイヤーが喚いてるのを見て、姫の近くに立っていた、レバノンとかいうお爺さんが口を開いた。
「リールラ様。これ以上はラチがあかないかと。後は拷問官に任せるべきです。情報を吐かせるだけ吐かせた後に、死刑にするべきですぞ」
「ふぅ……そうね、連れて行きなさい」
「はっ」
「やめろっ、離せ! 僕はまだ死にたくない! やめろぉ!」
「くそ! ロイヤー! てめえについてきたせいでこんな事になっちまった! ふざけんな、くそ!」
姫がそう言うと、ロイヤー達は引きずられてどこかに行ってしまった。ロイヤーとゾックがそれぞれ恨み言を口にしていたが、それも聞こえなくなる。
するとリールラ姫は、俺たちの方へと目線をやった。
「さて、次はあなた達だけど……確かに調べさせたらダンジョンの一角に落とし穴と閉鎖的な空間があった事は確認したわ。だからあなた達があの時間にあの場所にいた事に関しては事故だったということは認めましょう。それに我が兵を救ってくれた事にも感謝いたします」
「あ、ありがとうございます」
「だけど、規則は規則よ。あなたはいてはいけない時間にあのダンジョンにいた。だから少し罰は受けて貰うわ」
「わかりました……」
「罰の内容だけど、あなた達にはルクスの玉の行方を追ってもらう。監視のためにアイデン騎士団から1人付けるけど、基本的には自由でね」
俺はそう聞いて、少し驚いてしまった。いくら俺が兵士を助けたからといって城の秘宝を見ず知らずの俺に捜索させるとは。
俺の表情から言いたいことを読み取ったのか、姫はそのまま続ける。
「不思議そうな顔をしてるわね。仕方ないのよ。今回は事が事だけに、ギルドへの公開依頼はできない。アイデン騎士団だけで解決するにも人数はあまり多くないもの。捜索の人数は増やさなければ。今は使えそうなものは全て使うしかないわ」
「な、なるほど。わかりました」
「あなた達には準備が出来次第追って連絡をするわ。とりあえず今日はこの城に泊まりなさい。色々と手続きが必要だから」
「はい」
そういうわけで何やら面倒な手続きを諸々終えた後、ご飯を用意された上に俺達は部屋も一室用意された。どうやらまとめてここで寝ろということらしい。
まぁベッドが大きいから寝られはするか。
「それにしてもテンネ、よくあの場で何も言わなかったな。いつもだったら姫とかになんか言いそうだったからヒヤヒヤしてたよ」
「ん? だってお腹空いてたし」
「あ……そうですか」
相変わらずテンネは自由に生きすぎてて俺の手には負えんな。
しかしこんな事になるとは。何が起こるか分からんものだ。ロイヤー達も、なんであんな事をしたんだか。正直死刑っていうのは少し可哀想な気がしなくもないが、別にだからといって必死に引き止めようって気にもならないしな……。
昔はあんなにみんな仲良く無邪気に遊んでたのにな……なんでこうなったんだか。
「ロイヤー、ゾック……馬鹿な奴らだ」
俺は天井に向かってそう小さく呟いたのだった。




