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【休息】

 

 ヴィーナスさんが去った後、俺たちはクエストの報酬を貰い、ギルドから出た。

 そういえば、ロイヤー達は大丈夫だろうか。


「どうしたフリード? にゃんか浮かない顔をしてるぞ」


 え、そんな顔してたか。別にそこまでロイヤー達の心配をしてるつもりなんてなかったけどな……。


「いや、少しロイヤー達がどうなったか気になってね」

「にゃんだ心配してるのか? あんな奴ら放っとけばいいにゃ。あんだけ息巻いてた割に情けない奴らなのだ」

「まぁ……そうなんだけど」

「テンネ、マスターは優しい人。あなたみたいに単純じゃない」

「にゃんだとリン!」


 あぁ、テンネとリンの口論が始まってしまった。俺のせいだけど。でもロイヤーの事は心配というより気になっているという方が近いかもしれない。


 ロイヤーもゾックも、今となっては友達でもなんでもないが、昔はよく遊んだ仲だ。流石に死んだとなっては気になる。

 まぁ冒険者を続けてれば、奴らが生きてるなら会う日もあるか。

 とにかく今日は疲れたし、さっさと寝よう。そう思い、俺は宿をとった。


「あぁ疲れた」


 思わず俺はベッドにダイブする。あぁ、ふかふかで気持ちいい。


「疲れたにゃあ」

「おぶっ」


 テンネが俺の真似をしてベッドにダイブしてきた。しかも俺の上にだ。


「俺の上に乗っかるなよ」

「にゃはは。いいじゃにゃいか、フリードはあったかいし」


 そう言って心地好さそうに体を丸めて俺の上でうずくまるテンネ。何してんだこいつ。

 ふと、俺の目線にはテンネの黒い尻尾があった。なんとなく、本当になんとなくだが、それを掴んでみた。


「にゃっ……」


 嫌に官能的な声が響いた。なんだどうしたんだ?

 そう思い、テンネの顔を見ると、珍しくテンネが恥ずかしそうに頬を赤らめていた。


「にゃ、にゃにするにゃ! フリード!」

「何って、尻尾掴んでみた」

「そ、んなとこっ、触る、にゃああ」

「もしかしてテンネ、尻尾弱いのか?」


 そう思い、俺は悪戯心が芽生える。掴んだ尻尾を上下にしごいてみた。

 すると面白いようにテンネは身体をくねらせ、俺の動きとともにビクビクと跳ね上がる。


「にゃっ、駄目っ、やめっ、おっ」

「ほれほれー」

「にゃああぁあ――っ!」


 一段と大きく跳ねたかと思えば、テンネはビクビクと痙攣してしまった。やりすぎたかな。目は虚ろで、口からは少しよだれが垂れている。


「はーっ……はーっ……はーっ……はっ」

「ご、ごめんテンネ。やりすぎた」


 テンネは息を荒々しく吐くばかりで、答える余裕などないようだ。な、なんかいけないことをしてしまったような……。

 それを端の方でみていたリンは、俺と目が合い、こう言った。


「マスター、えっち」

「ご、誤解だよ」


 リンに少し白い目で見られたが、否定した。

 その後、テンネもなんとか復活し(めちゃめちゃ叩かれたが)、俺たちは就寝した。


 ただ、早朝俺は妙な感覚で起きることになる。


 ん? なんかひんやりするような。全身が気持ちいいな……水に浮かんでるかのようだ。

 でも、なんだか少し息苦しいような? ていうか息できないな。あれ、やばいなんだこれ苦しい。


「もががが!?」


 目を覚ますとそこは、青いスライムの体内だった。俺は寝ぼけたまま慌てて、顔をリンの体内から引き剥がした。


「はっ、はっ、はっ……し、死ぬかと思った」


 なぜ俺の頭だけリンの体内に入り込んでたんだ?


「んん? 朝から、うるさい。マスター」

「誰のせいだ!」

「何が?」


 俺はリンに事情を説明した。


「ああ、それは私が途中でマスターを抱き抱えて寝たから、かな?」

「は?」

「なんか抱き枕が欲しくて。そしたらちょうどいいところにマスターの頭が」

「マスターの頭が、じゃないよ! だいたいお前服どうした? 服があったら頭だってすり抜けなかったのに」

「服? ああ邪魔だから脱いだ」


 そう言って、リンが指差した方向には乱雑に脱がれた服の痕跡があった。


「やれやれ……」


 どうやらまだまだ俺は魔物使いとしては未熟らしい。まさか寝ている間に窒息死させられそうになるとは。

 俺はぽかんとしているリンを見て、怒る気も失せて、再びベッドに潜って寝た。

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最強な主人公が無自覚のまま冒険するお話です
おつかい頼まれたので冒険してたら、いつのまにか無双ハーレムしてました〜最強民族の【はじめてのおつかい】〜 >
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